インターネットを使うだけの消費者と、インターネットで稼ぐ人の違い

  • 25 October 2016
  • のぶやん

人間の一般的な生活というのは、労働を行う事によって金銭を得て、その金銭で物を買うなど消費活動を行う事によって成立しています。しかし、最近の労働形態というものが変化してきており、消費と労働の垣根が非常に曖昧になってきています。例えば、ゲームのプレイヤーが無料で遊ぶという行為は、『ゲーム会社の為に無償労働を行っている』と解釈する事も出来る訳です。

オンラインゲームでは、いかに時間・お金をかけたかを競わせる事によって、『凄いね』とゲーム内部のユーザーに言わせる『認証欲求』が働くように作られています。基本的には、現実社会のブラック企業と何も変わる所はないわけです。ブラック企業の場合にも、上から圧力をかけて『お前はその程度か』と言わせて、無給・無休でどんどん働かせる事を目的としています。

消費の拡大による労働価値の低下

先進国において労働価値が低下しているのは、確かに『労働生産性が上がった』という事も出来ますが、労働者が必要ではなくなって、消費者を労働者にする動きが広まったという事でもあります。分かりやすい例をあげると、『ビュッフェ形式』というものがあります。レストランなどでウェイターに運ばせず、自分で運ぶのですが、これが『自分の労働』として換算されます。自分でご飯を運ぶことは、別に悪い事ではないのですが、食事中に席を立つという事で、落ち着いて食事するには程遠いという状況になるでしょう。

任天堂のゲームのように『オフラインゲーム』の目的は、『ゲームを売る』と言う事にあり、製造業の上で交換できるソフトがあるという状況でした。これがスマートフォンのゲームになってくると、アプリソフトすら無料になって、その上で遊んでいるうちに課金のコインが必要となる一段階進んだモデルになっています。こうなってくると、無料のオンラインゲームで遊ぶという行為は、『遊ぶ』という労働に換算する事ができます。それはゲームの中で秩序の取れた遊びであり、ゲーム会社のみが利益を出せます。

遊んでいればお金になる次元

Youtubeで広告が掲載されて収入になっているという人を聞くと、『好きな事でお金を得られて羨ましい』と感じる人がいるかもしれません。それと同じ事はゲーム業界でも起ころうとしています。誰かにゲーム上でお金を支払って貰う事によって、自分のお金が得られるという方法です。それは、『セカンドライフ』という形で2007年頃に日本でもメディアが取り上げられましたが、実際にはゲームが重いなどの理由でそれほど流行しませんでした。

部屋に居ながら世界と繋がるということは、オンラインで『労働』を行っている事と同意義になり、労働といものが体を酷使するものではないという事が良く分かります。実際の『オンライン労働』がどれぐらいであるかは、算出されていないので、経済学として分かりません。

物理的に物を保有する事の非効率

電子化が進んだ世の中においては、物理的に物を所有する事は、全く無意味な世界になってくるかもしれません。何故ならば、『3Dプリンター』が発達していくと、設計図さえあれば、誰でもコンピューターに設計図を入力すると、簡単なものであれば、自分で製造できてしまうからです。100円ショップに行かないで、近くの『何でもショップ』にカタログを持っていけば作ってくれるというような状況が発生する可能性があるという事です。

特に物を保有する必要がないというのは、『お金』であったり、『データー』などを持っていれば、それをいつでも『物』であったり、『労働力』に変化させることができるという事でもあります。

労働力を買えない場合は自分が労働者

自分が経済主体として持ち合わせたお金を支払って、他の人からサービスを受ける中で経済は回ります。他人の労働力を買うほどの余力を持ち合わせていない場合には、ビュッフェサービスのように自分が働くしかありません。かつては、お金というものは、保有できる量に限界点が存在していて、お米を長期に保存する事はできませんでした。貨幣経済が発展していくと、お金を蓄えたり、借り入れたりする事ができるようになりました。手元にお金がなくても、『自分の労働力』を担保にしてお金を借り入れる事もできるようになりました。

巨大化したプラットフォームというのは、アップル、グーグル社などは、国家並みの予算を持っており、国家よりも国民の監視などなく自由にお金を使う事ができます。今では、権力を持つのは国家のように見えて、実は『財閥化した企業』となっています。国家の株主は国民ですが、財閥企業の株主は国民ではないので、財閥企業が株主の事を考えて行動する事はありません。

デジタル化できないとオワコン化

大学の講義などは、本来は全て動画になって、優秀な講師が1人いれば1年の授業は十分に足りるのです。簡単に言ってしまえば、全国の数万人の非正規雇用である授業のみを受け持っている講師は、『話題になるほど凄い授業』をしない限りは、ビデオ講師にその地位を代替されてしまうのです。

英語を上達したければ、高額の英語教室に通うよりは、自宅で英語アプリをやっていた方が上達が早い事は確実でしょう。英語教室に行くには、交通費のコストもかかりますし、1時間2000円という高額の受講料を支払わなくてはいけません。それに比べて、アプリならば、1ヶ月1000円払えば有料のアプリで学習する事ができます。

ビットコインの『採掘』現場

鉱山で金を採掘するとなると、過酷な労働環境と辛い重労働というものでしたが、今のビットコインの採掘現場というのは、コンピューターが無数に並べられているだけです。そこで行われている採掘とは、A→Bという『未承認取引』というものを探し出して、それを承認するという作業になります。詳しくはここにも書いてありますが、発掘競争というものが行われているという事です。

世界中でパソコンが大量に使われてビットコインの発掘が行われていて、その仕組み自体というのは、かなり安全であるとされています。開発者の1人は、中国が70%ものビットコインを集めている事に対して『失敗だった』と述べています。しかし、中国がビットコインの発掘作業の7割を行っている事が『不正常な状態である』と決めつけるのは早いです。何故なら、現実に工場などの多くが中国に立地しており、中国が『世界の工場』と言われるまでになっていて、オンラインでの発掘作業というのを中国がほとんど引き受けていてもおかしくないからです。

そもそも、『発掘作業』というものは、安全性を確保するためにデーターを取引台帳に記録する作業の事であり、その報酬として支払われるのがビットコインです。この発掘作業には、コンピューターを貸し出して、その作業に従事しなければいけません。取引台帳の更新作業が日々行われて、これによって通貨の安全性が保たれる仕組みになっています。

電気代だけで赤字になるビットコインの発掘

ビットコインの発掘には手間がかかりますが、個人の規模でやった場合であったり、世界一電気代が高い日本で発掘を行った場合には、電気代を支払うと赤字になってしまうという事です。1台のパソコンであれば、1ヶ月500円~3000円ぐらいが相場になっているので、複数台を稼働させる場合には、確かに電気代がかなりの金額になる事は間違いなさそうです。

ビットコインの発掘で何が行われているかを良く考えると分かるのですが、行われているのは『コンピューターによる消費活動から生み出す投資活動』と言える訳です。コンピューターは無料で動かせる訳ではなくて、ハードを作る作業が必要で、動かす為に電気代も必要で、更に監視する僅かな人件費も必要になるかもしれないのです。実は、これが『ビットコインの発掘』と呼べる実態です。ビットコインの発掘というのは、誰かの消費活動によって支えられると考える事ができます。

ビットコインは、金塊・石油のように有限なものであるとして、既に総量と発行期限が決められているのです。採掘する度に採掘者にお金を支払っていくのですが、それがどんどん半減して、最後になくなってしまって支払えなくなった時が枯渇にあたります。

総発行量:2,100万BTC
発行期限:2140年頃

これに対して、既に発掘済みの割合が75.95%に達しているのです。ビットコインは、最小単位が、0.00000001 ビットコインとなっていて、提唱者の名前をとって「1 satoshi」といわれる最小単位が設定されています。6,929,999番目のブロックで得られるビットコインが1 satoshi 以下になってしまうという事で、6,929,999番目のブロックで『枯渇した』という事になるというのです。1ブロック毎に50コインからはじめて、210,000ブロックごとに得られるビットコインを半減させる。そして、6,929,999番目のブロックが、報酬がビットコインの最小単位0.00000001 (1 satoshi)を上回る最後のブロックという事です。

2016年10月26日現在におけるビットコイン

ブロック数     435,974ブロック目
発行枚数     約15,948,450BTC
採掘済み割合     約75.95%
市場規模     約11,132億円
Difficulty     約2536.18億
Nethash     約16.52億GH/s

インターネットコンテンツとの違い

インターネットのコンテンツとビットコインの仕組みというのは、多くの人が参加してコンピューターで膨大な作業を行っているという点で類似しています。しかし、ビットコインの採掘を『世界中の誰か』が行っているのに対して、コンテンツの採掘というものは『Google社がほぼ独占』している状況です。Google社は自社のパソコンを使ってコンテンツの大量収集を行ってデータベースに書き込んでいますが、これはビットコインの採掘と似ています。コンテンツというのは、誰かと誰かのコミュニケーションであり、取引であると解釈する事ができます。

コンテンツというものは、実は誰か所有者が決まっていて、それを公開(発掘)するのに労力がかかっています。そして、そのコンテンツの価値というものは、世界全体が決めてコンテンツによって公開した人(発掘者)が収入を得ることができます。世界の人口が決まっている状況において、コンテンツ量が増えていくと、公開したコンテンツの閲覧者が減少して発掘したコンテンツの価値が相対的に低下する事になるので、新しいコンテンツをどんどん公開(発掘)していく必要性が出てきます。こうなるとサーバーを大型化しなければ追いついていかないという事になります。

中国・過酷では、オンラインゲームにはまりこんで、食事もとらずに3日間ほどずっとオンラインゲームに没頭した結果、死亡するという事件も起こっています。極度の緊張状態で長時間続けていると過労・ストレスになり、死亡事故に繋がるという事ですが、世界中でオンラインゲームに興じる人は増えています。仮想空間に興じる人が多ければ多いほど、仮想空間で自由度が高いビットコインの取引量が増加する事になります。オンラインゲームでプレーするというのは、間接的に『ビットコインの消費と発掘』の労働に関与している事になるでしょう。

ビットコインを人々が使う背景

ビットコインというものを人々が使い始める要因というのは、1つではないでしょう。最も可能性が高いのは、オンラインゲームなどで使う通貨が自国通貨であると、海外のプレーヤーにとって為替通貨の手数料負担が非常に大きいという事があるでしょう。その他にも、ゲーム内の通貨を実際のお金に換金したいときには、今まで自由に換金する事が難しかったのですが、このビットコインを使えば手数料が低い状態で交換する事が可能になる可能性があります。

その他にも、オンラインで通貨を扱う時に決済手段があまりに煩雑であるなどして開発コストがセキュリティで高くなりすぎたりするなど、ビットコインが利用された方が良い場面というものが沢山あります。中国人などの場合には、人民元を信用しておらず、ビットコインにも投資的な需要があります。

発掘にカネがかかりすぎて赤字

ツィッター社が赤字に苦しんでいるとされるのは、発掘にカネがかかりすぎているからであり、流通するコンテンツ量が一定であってユーザーが伸びない状況においては、取引されない無価値な情報だけが蓄積されていく事になり、簡単に赤字になってしまう事になります。Youtubeは同じ原因で赤字になってしまっていますが、こちらはユーザー数、視聴者数ともに伸び続けています。

ツィッターのつぶやきは、本来であれば無料でつぶやいて、シェアされているはずなので、コストはゼロで発掘されているはずのコンテンツなのですが、『もともと文字数が少なくて持っている価値が薄い』と判断されるためか、マネタイズに失敗して赤字になっています。ツィッター社の時価総額は、2016年10月時点において110億ドル(約1兆1000億円)となっており、身売りされるのではないかとも噂されています。

2016年のTwitterの月間アクティブユーザーはこの1年で500万人減って、現在3億1300万人。対するWeiboはこの1年で7000万人増やして、現在2億8200万人という事で、ツィッターとWeiboの時価総額は2016年10月に肩を並べました。ちなみに2014年にツィッターがIPO(新規上場株式)した時にWeiboの時価総額は34億ドル(約3500億円)で、Twitterは268億ドル(約2.7兆円)と8倍近い開きがあったはずなのですが、今では企業価値が同じになってしまいました。

ビットコインに半減期が設定されていますが、現実社会においても、ツィッターのアカウントのフォロワーが初期に1000人いるのと、現在の時点で1000人いるのでは価値が異なっていきます。初期の1000人は、恐らくは関与の高い1000人だったかもしれませんが、現在のフォロワー1000人というのは、『見てるかどうか分からないフォロワー』という事になります。ニコニコ動画に関しても、最初のうちは動画サービスが珍しくて多くの人がアクセスしていましたが、動画サイトが乱立すると、2016年にスポンサー企業が昨年の19社から4社になるなど、激減が見られています。

ビットコインの場合には、周期があって定期的に価値が落ちていくように設定されていますが、現実社会ではそうではなくて、政治的な要素を絡めたりしていくので、『突然に価格が暴落する』ような事が起きたりします。そういった事を起こさないためには、出来る限り人間が関与する事をやめて、コンピューター制御にしてしまった方が良いのです。例えば、ヘッジファンドに大化けを狙って投資したけど、実態はリスクをとっただけで、インデックスのファンドより収益が悪かったという事も良くあるのです。黙ってインデックスのファンドに投資していればよかったと。

見えない資産(Invisible Asset)

オンラインゲームにいくら熱中したところで、実際の生活に役立つことはないのですが、オンライゲームに熱中する人は後を絶ちません。オンラインゲームは、当たらなければ全く価値を持たないですが、大当たりするとガンホー・オンラインの時価総額が1兆5000億円で任天堂を超えたように『Invisible Asset』なのに、日本人1人が1万円の出資を行っているぐらいの超大型の企業体になったりします。

このガンホー・オンラインの評価額というのは、大企業と言われる時価総額3000億円ほどの企業の何倍もある金額であり、いかに市場でオンラインゲームの評価が高いものであり、収益が得られるものであるかを物語っているでしょう。しかし、人間の人口・遊べる時間と言うものが有限であるので、この資産価値が続く為には、ガンホーが1つのゲームに依存せずに別のゲームを開発したり、別の市場を吸収してどんどん大型化していく必要があります。

人間の感情というものは、目に見えないものですが、それは人間の多くのものを占めています。例えば、恋愛感情などで、人間は傷ついたり、病気になったりする事もあります。そうした事を考えると、見えるものよりも、見えない事の方がむしろ重要であるという事が良く分かります。

見えない資産が搾取されやすい

見えない資産というのは、見える資産に比べて搾取されやすい特徴があります。例えば、銀行口座が1億円の人が5000万円に減少しても、生活に困らなければ実感しづらいかもしれません。同じように『年金を貰える制度』といのは、年金基金に対する将来的ン貰える債権なわけですけど、それが削られたとしても、目の前の生活で困る事はありません。数字が動くだけでは、人は実感を得づらいので、その分だけ鈍感になってしまう可能性があるという事です。

政府における信頼・会社に対する信頼なども実は重要な資産なのですが、こうしたものが失われている事に当人たちは鈍感になりがちです。

オンライン化していく書籍

書籍というものは、それ自体は単なる紙なのですが、中身に良い事が書いてあったり、面白かったりするとベストセラーで100万冊売れたりします。その証明として、『電子書籍』たるものは、電子化されているので紙の価格がゼロなのですが、紙で販売される書籍とほとんど価格が同じでも買い手があります。中身が良ければ、何に書き込んであるかという事を気にしないという事でもあります。
 

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