NAVERまとめにおける「フロー」と「ストック」

  • 17 April 2013
  • のぶやん

NAVERまとめに限った事ではないのですが、コンテンツのフローとストックについては、検索するといろいろな場所で議論されています。もちろん、LINE社長の森川さんのインタビューであったり、LINE広告事業部の田端さんの記事の中でも見かけます。日本においては、特にフローが重視される傾向があって、Twitterやブログなどで「新鮮な情報」の地位がかなり高いようです。逆に言えば、新鮮な情報以外は見向きもされないという傾向があります。

インターネットは、フロー情報重視

日本のユーザーの多くは、インターネットについて「新鮮な情報を得るもの」と考えていて、雑誌のようにまとまった情報を探す場所とは認識していないようです。日本では、新聞を買う人が多い(特に高齢者)事で知られています(読売だけで1000万部)が、インターネットは、新聞の代わりとして、もしくは新聞にはない新しい情報を仕入れる場所として多くの人が認識しているように思えます。

雑誌の代わりであったり、普通の書籍の代わりにインターネットを積極的に利用していこうという動きは、少ないように思います。その理由としては、書籍のように大きな金銭が動きにくいので、まとまった情報を発信する人が少なかった事であったり、インターネットの技術的な問題で上手にコンテンツを見せられなかったりという事が原因になっているかもしれません。日本において電子書籍が失敗する理由も、インターネットはあくまでフロー重視という多くの日本人の考え方があるからかもしれません。

どのようにストック情報に接するか分からない

日本では、長い期間に渡ってYahooトピックが有効であったように、多くの日本人(特に高齢者)は、どのようにストックされた情報を探せば良いのか分かりません。日本語におけるストック情報を探すには、Googleで検索をして、その上で重要なホームページを何枚か開いた上で、良さそうな情報を「自分でまとめあげる」という作業が必要になります。Googleの情報では、フロー情報とストック情報はごちゃ混ぜになっていて、自分で回答を見つけだすのに時間がかかる原因にもなっています。

Google検索では、新しい情報を見つけようとしても情報を見つけられなかったり、逆に「まとまった情報」を見つけようとしても見つけられないという2つの欠点がありました。NAVERまとめでは、少なくとも「新しい情報」「まとまった情報」を見る事ができるので、Google検索とは違う価値を持っていると思います。ただ、まだ発展途上で、Google検索に代わる感じではないです。

NAVERまとめのフローとストック情報

NAVERまとめでは、Togetterや2chまとめサイトのようなフロー情報(共有される情報)を行っていく半面で、カテゴリのような形でストック情報も重視する姿勢を見せています。非常に難しい問題は、NAVERまとめの注目まとめに「ストック情報」を掲載したとしても、Twitterなどで共有もPVも伸びないという事です。

いかに良いまとめでストックしておく価値あったとしても、PVが伸ばせなければ、多くの人に見られず意味がありません。運営側もPVの伸びないストック情報にも気を使って、ある程度までPVを伸ばせるように置いていてくれたりしますが、PVが伸びないものはいくら注目まとめに入れておいても、なかなかPVが伸びないです。それほどまでにインターネットユーザにとって「新鮮さ」というものが重要なのだという事らしいです。

フロー情報について

ユーザーが共有するフロー情報

インターネットユーザーにとって価値ある情報は、(1)新しい情報であるか(2)自分が今、必要とする情報のようです。特にFacebookやTwitterは、フローの性質が強くて、90%以上が「新しい情報」として共有されています。残りの10%が「(2)自分が今、必要とする」とあれば、共有されるのだと思います。もっと簡単に考えれば、インターネット上でTwitterやFacebookなどのソーシャルメディアを使った「短期間のブームを巻き起こす」というのが、「可能になった」というか、それとも「重要になった」というか。

Yahoo砲の存在

そう言えばYahooがYahooトピックの下にウェブサイトのリンクをつけて、それが「Yahoo砲」と呼ばれたりする事があります。私も何度か幾つかのホームページでYahooからリンクされたのですが、Yahoo砲の威力は凄まじいものがあり、本当に見づらい小さなリンクをされただけで、簡単に2-3万PVぐらい集まってしまうのです。最近では、NAVERまとめの中のまとめがYahoo砲(Yahooの中にあるコンテンツからのリンク)を受ける事も稀にありました。

ニュースの中に「関連リンク」を入れる事によって、「もっと知りたい人はこちらをどうぞ」という事の意味だったようです。NAVERまとめでは、「関連まとめ」が表示されていますが、今の段階では自動で選ばれているのですが精度があまり良くないようです。これから精度があがっていくものと期待されます。

フローの話題というのは誰が作るか?

Yahoo砲じゃないですけど、Googleの検索でその日に検索されるキーワードであったり、Twitterで拡散されるタイトルというのは、その多くが人工的に作り出されたものである事に気がつきます。例えば、芸能事務所の仕事は、上手にメディアに対してタイミングの良い話題を提供して、人々を驚かせたり、反響を持たせる事にあります。いわゆる「まとめサイト」と同じで、大した事もない事がメディアで取り上げられて、それが拡散されるという事は良くあります。

AKB48の誰が丸坊主にしたなんていう事は、別に事件として重要でないばかりか、自分たちの生活にほとんど関係ありません。しかし、こういう「お笑いのネタ」のような話がインターネット上で拡散されているのが現実です。それはまるでソーシャルゲームで世界観が作り出されるかのように、現実でも情報の偏りというものが生まれて、現実世界が動いている事を知ります。最も分かり易い例は、戦時中の「大本営発表」で、多くの国民が本当か嘘かも知れない情報しか知れず、それに反応してしまっていました。

ストック情報について

Googleに支配されたストック情報

ウェブ上に出回っているコンテンツは、全てGoogleのロボットが収集しているとされていて、「Google検索の上位に表示されなければ、無いのと同じ」とさえ言われています。Yahooの検索エンジンもGoogleを採用した事によって、日本のインターネットのストック情報は、事実上、Googleのコンテンツランキングによって大きな影響を受ける事になっています。これは非常に大きな問題を生み出していて、例えば自社の名前で検索した場合に、自社に大幅に不利な情報が検索されたり・・・・といった事態を生み出しています。

Googleの検索のキーワードのランキングは、ほとんど変化が無くて固定されてしまっているので、私たちが「特定のキーワード」で検索して、毎日数千人が同じサイトばかりを見る事によって、「情報の強化」が起こってしまって、結果としてバランスを欠いた情報が出回る可能性があります。例えば、Google検索エンジンで「良い歯医者」と検索した時に、本当に良い歯医者ではなくて、Google検索エンジンに1000万円を投入していた歯医者が検索されるという事が出てきます。まあ、これはGoogleに限った話ではなくて広告でも同じなのですが、問題は「ユーザーがこの事に気がつかず、潜在的に検索を信頼してしまっている、もしくは、信頼せざる得ない状況にある」事かもしれません。

フロー情報の検索でストック情報を表示する

毎日のように検索エンジンで検索されるネタというのは、世の中に沢山あります。そのような情報は、毎日のように膨大なアクセス、トラフィックを生み出すので、ストック情報と言えども、フロー情報なみにアクセスを集める事ができる可能性があります。言い換えれば、昨日とか今日とかの話題ではなくて、「ここ1-2年のホットな話題で検索されやすそうな話題」という事になります。もしくは、生活する上で必要な知識で毎日検索されているようなストック情報もあるでしょう。

NAVERまとめが、プラットフォームとしての地位を確立する方法はいくつかありそうですが、その1つがこのGoogle上で検索されるほぼ全てのストック情報で上位表示を行っていくということかと思います。そうすれば、NAVERまとめを直接見たほうが早くなるので、自然にGoogle検索を使う人が減少していき、NAVER検索を使う可能性がでてきます。ビックキーワードをいかに大量に取り揃えられるかというのが1つの方法として考えられます。

フローとストックのまとめ

どのようなウェブサービスにしても、フローとストックはどちらも必要になるでしょう。TwitterやFacebookの場合には、その「会員情報」自体がストックにあたり、会員が流す情報がフロー情報として利用されています。NAVERまとめのようなウェブサービスでも、検索エンジンの精度を高める事を目指すのであれば、ストックは絶対に必要となるのですが、現状ではそのインセンティブのバランスはあまりうまくいっていないように思います。

あまりにTwitterやFacebookなどのフローを重視しすぎると、1年後に見た時に全く使い物にならない情報になってしまっている可能性があります。1年後にも使える「ストック情報」というものをどのようなインセンティブにして処理するかというのも、非常に大きな課題として残されているように思います。現状では、「カテゴリ」を設けて、そこに何度か表示する事によって長期的なインセンティブを目指すような形になっていますが、カテゴリは「自分の興味に当てはまる」という訳でもないので、あまり機能していません。結果として、NAVERまとめ上において良いストック情報を作り出す動機に欠けるように思えます。

今のNAVERまとめを見ていると、口では「良いまとめを集める」と言っていますが、実際にはPVを上昇させる事に気をとられすぎていて、フロー情報を重視しすぎ(実際はユーザーがフロー情報を好んでいる)ている所があります。言い換えれば、NAVERまとめが「まとめサイト」とあまり変わらないイメージを持つようになってきているのですが、「情報のプラットフォームになる」というのであれば、もう少しストック情報の強化が必要になりますね。

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