時間とお金から物を作りだす概念-労働者がお金持ちになれない理由

  • 2 December 2016
  • のぶやん

アメリカは、貧富の格差が拡大しているとされていて、テレビの特集になったりしています。

モノづくりの中心は中国

2000年以降は、モノづくりの中心は、完全に中国になっています。日本からも製造業の多くが中国・広州などに移動しました。モノづくりの多くが中国で行われるようになり、『世界の工場』などと言われるようになるまでに発展しました。中国のGDPも急成長を遂げて、中国の国民所得も大幅に上昇しました。

物を作る製造業というのは、雇用が生まれやすいという特徴があります。中国に大量の工場が立んで、そこで大量の雇用を生み出しました。農村部から出稼ぎに来た『農民工』などと呼ばれる人たちが大規模な工場で労働者として働いて賃金を得て生活する姿が珍しくありません。その分だけ日本・米国などでの雇用が失われる事になりました。

消費者の便利が雇用を減らす

消費者の消費が便利で安くなればなるほど、多くの労働者がいらなくなるというジレンマに陥っています。アマゾンの商品が中国から届いて、それをインターネットで配達して貰うようなシステムでは、町の小売店すら不要で、中国の工場からアマゾンの集配所に届いて、そこからダイレクトに家庭まで販売されます。完全に量販のシステムが作られて、販売店すらいらない状況になっています。

ホワイトカラーのシステムなども、今まで複雑な会計を行ってきた会計士であったり、税理士などの仕事も会計ソフトなどに置き換わっていく事で、雇用が少なくなると予想されています。個人事業主などの簡単なものであれば、オンラインの会計システムがサポートしてくれて、そのまま税務署に提出できるようになっています。

自宅にいながらドミノピザ

私も頻繁に使う楽天デリバリーでドミノピザですけど、自宅にいながらクリックするだけで、全国のどの場所に居てもピザがすぐに届きます。自宅にいながら誰とも会わずにピザを注文で来て受け取れて便利すぎるサービスなのですが、外食が減る事になるので、外食の店員さんが間違いなく減少するという問題点はあります。

日本人は、外食を好んでいて、特に東京では外食するレストランが数多くあるのですが、料理をせずに外食で浮いた時間を働いているという事実もあります。日本人の労働時間は、今でも長時間労働が話題になるほどで、電通などでは長時間労働が原因で過労死する若い女性がニュースになりました。空いた時間を豊かにのんびり過ごすのではなくて、ドミノピザを自宅で注文して空いた時間を仕事に費やしている可能性がある訳です。

労働者の価値が減少

中国で大卒者は、日本の10倍で600万人以上になろうとしています。それと同時にグローバル掲載の中で労働力が過剰になっていて、更にコンピューターの発達という技術革新によって、労働者の価値が著しく低下しています。技術革新は、労働者の価値を大きく減少させました。日本の労働者は、中国の大量の労働者と競争する事は難しく、大きな失業リスクにさらされていると言えるでしょう。日本において非正規雇用が増えている背景には、そうした背景があります。

グローバル化は、クラウドコンピューターで更に発達しようとしています。グローバル化した中でも、労働者の移動というのは制限されていますが、サービスだけが移動するような状況になっています。例えば、Google社のサービスは、米国で提供されているにも関わらず、日本で提供を受けているような状況です。このような状況では、日本に会社が存在していなかったり、日本に小規模な支店を構えるだけでサービスが提供出来てしまいます。

例えば、サーバーを提供する会社がアメリカにあっても、日本語で日本人向けにサービスを提供する事が行われいます。この場合には、日本における雇用が完全にゼロですが、サービスが提供されて、その対価が支払われています。グローバル化とインターネットなしには、このような事はなしえなかった事です。

中間層が不要になる

アマゾンの配送を考えても、必要なのはアマゾンのシステムを動かす少人数の社員、アマゾン出荷工場のアルバイト、そして配送業者だけです。今まで中間層が担ってきた『店舗における商品説明』などは、オンラインで顧客自身が確認するシステムになるので、それだけ中間層の労働者がいなくなって、代わりに中間層だった人たちがスマートフォンで店員がやっていた事を自分で行うようになっています。

中間層がいらなくなった一方で、ファストフードの店員であったり、コンビニのアルバイト、そしてアマゾンの出荷工場で働くアルバイトなどは、依然として必要とされています。日本のかつての中間層は、こうした店員などの単純作業を行うサービス業の派遣社員・アルバイトなどになっていきました。

高度な労働者以外不要になる

コンピュータの情報が用意に国境を超えるので、企業にとって必要になる人材というのは、今まで以上に高度な労働者という事になります。大卒ですぐに使えない人を長くおいておけるほど企業の方が余裕がありません。その給与があるならば、他の労働者を雇って研究でもして貰った方が企業の競争力が高まるからです。そうした事に日本企業は気が付いていたにも関わらず、『新卒一括採用』のような採用方法をずっと継続した結果、日本企業の技術力がかなり失われたといって良いでしょう。

企業にとって、本体になくてはならない労働力というのは、ますます減少しています。例えば、カスタマーサービスの中核をなす電話のオペレーターサービスですら中国にあるぐらいで、更にサーバーが海外にあり、日本人の労働者で必要な人は、本店のマーケティング担当者と、実店舗の接客係ぐらいのものでしょう。

超高級ホテル労働者すら低賃金

今の日本では、超高級ホテルの労働者ですら、低賃金となっています。 サービス業において、かつてのような『中間層』というものがかなり壊滅しているので、ホテルの接客業などになると、年収200~300万円というのが当たり前になってしまっています。その賃金であったとしても、競争の中で求められる接客の質は、常に一流を求められる事になります。

大学のあり方が今まで通りではいけないでしょう。

まさに日本における労働者の状況というのは、絶望的とも言える状況にある事は間違いありません。30代~45歳ぐらいまでは、会社の主力として勤務できたとしても、その後からは、非常に厳しい事になります。

必要なのは高度で独創的な労働者

今後、企業に必要となるのは、コンピューターを普通に扱う事が出来て、高度で独創的な労働者という事になります。多くの中小企業などは、こうした人材が欲しくても来てくれません。何故なら、高度で独創的な労働者の賃金は、一般的に高いのに、中小企業が支払おうとする賃金が安いので、そのギャップで中小企業に人材が集まらないのです。また、中小企業では、業務の範囲が広いので、優秀であればあるほど、賃金以上の仕事を押し付けられる危険もあるでしょう。

会社に帰属しない働き方

日本が他の終身雇用制度のようなシステムというのは、会社から『終身雇用の権利』を与えられて、その代わりとして会社にプラスになるように働くという事で、非常に会社に対する関与度合いの強い物でした。こうしたシステムは、『会社は私たちのもの』という意識を従業員が持つという事に非常に役立ちました。正社員には、一定の『権利』が保障されていたわけです。それは、今のアルバイト・派遣労働者にはありません。

今の会社というのは、会社株主・経営者が一体化しており、従業員が少しずつ経営陣から距離を取るようになってきています。終身雇用・年功序列などの日本がシステムが崩れて、働いている人が会社に対して長期的にコミットする事が少なくなっています。簡単に言えば、会社は従業員の事を使い捨ての消耗品と考えるようになりますし、『会社がどうなっても知らない』と考えている従業員が多くなっているのです。

最近の会社は、特に中小企業において、アルバイトなどで採用して、従業員として会社に対するコミットメントを深めさせておきながら、相応の対価を支払わないという『だまし討ち』のような事を行うブラック企業と呼ばれる会社が増えていて問題視されています。パート・アルバイトなどの身分においては、時給制で働いているので、『言われたことだけやっていればいい』というのが当然なのです。それ以上の働き方をするのは給与の面から不可能ですが、ブラック企業ではそれを求めてくるのです。例えば、コンビニでお正月に『おせち料理を4つ販売するノルマを課せられる』などというのは、非常に悪質なブラック企業です。

株主は儲かればいいという考え

株主は、短期の株主が儲かればいいと思う株主が多くなって、従業員の事など知った事ではないという株主が増えています。株主・経営陣がこうした考え方をしていると、会社が回っていたとしても、企業の技術力などがどんどん低下していく事になります。三菱グループなどが自動車分野であったり、造船分野で失敗しているのは、こうした考え方が背景にあるからでしょう。

株主が儲かれば良いというだけではなくて、従業員にとっても良い企業である必要があります。福利厚生が良いという事だけではなくて、会社に長期的に関与出来て安心できる働き方を提供できる会社である必要性があるでしょう。

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