ワイキューブ

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1000円札をコツコツ集めていけば、優雅に暮らせるようになるかもしれない

  • 31 May 2017
  • のぶやん

ワイキューブが絶好調の時に『千円札は拾うな。』という書籍を出版したワイキューブの安田佳生さんですが、ワイキューブは40億円もの債務を抱えて破綻しました。1000円札を拾うなという本を書いていたころから、結果的には1000円札を拾っておいた方が良かったのではないかという結論になった訳です。

ワイキューブ自体は、1990年のバブル絶頂期の頃に安田佳生さんがリクルートから独立して25歳で立ち上げた企業です。当時は、お金を借りる事はそれほど難しくないバブル時代だったので、安田さんは銀行からどんどんお金を借りました。その結果、企業は急成長を遂げる事になります。新卒に対する待遇の良さから、就職人気ランキングでは、17位にランクインする事もあったという事です。会社説明会に15000人集めるほどの盛況だったという事です。

社員に対する好待遇

社員に好待遇を用意する事で良い人材を確保しようとして、社員の平均給料を引き上げて、750万円まで給与をあげたという事です。オフィスの1階にバーやワインセラーなどを設けて、社員を集められるようにブランディングしたという事です。しかし、それらのお金は銀行からの借り入れで賄われていて、実際には人件費にほとんど消えたので会社に利益が全く残らない状況になっていました。

安田さんは『会社の売り上げが伸びていれば、利益が出なくてもいいと思っていた』と述べているとおり、売り上げを伸ばすことに注力して、利益を全く出していなかった事で手元に現金がほとんどありませんでした。売り上げが下がってくると、社員の給与という固定費が大きくかかるようになって、会社として資金の返済すら難しくなっていきました。

1000円札をコツコツと集める

1000円というのは、人が1時間の労働時給で働くものです。それを8時間分ほど集めれば、1日は働かなくて済むようになります。つまり、1000円札を8枚ほど集めれば、誰かの1日分の労働を購入する事ができるか、もしくは自分が1日休みを取る事ができます。1000円札を10枚集めれば1万円になります。100枚集めれば10万円になります。200枚ほど集めれば、20万円になって新卒の1ヶ月の給料となります。

1000円あれば、1回のご飯を十分に食べる事ができます。自炊を行うのであれば、1日分のご飯にする事も出来るでしょう。本当にご飯を食べる事ができなくなってくると、1000円というのは、1日を過ごせる大切なものです。衣・食・住の中で、人間が特に生命になくてはならないのは、食ですが、それはお金がないと買う事ができません。日頃から1000円札を集めておく事は、自分が休みを取れることに繋がるので、心の余裕に繋がります。1000円札を日頃からコツコツと集めておかないと、お金がなくなった時に飯を食うのも難しくなります。

安田佳生さんの書籍

私、社長ではなくなりました。 ― ワイキューブとの7435日

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安田佳生さんのワイキューブは、どうして破綻したのか

  • 16 October 2016
  • のぶやん

ワイキューブが40億円の負債を抱えて倒産したというのは、ビジネスの事例として大変参考になる事例です。ワイキューブの件について何度も書いていますけど、社長である安田佳生さんが暴露話をしっかりとしているので、多くの経営者にとって参考になる話だと思います。

ワイキューブは、最初のうちは5人で売り上げ初年度7000万円、3年目で1億円を達成しています。こうしたところを見ると、零細企業と言えども利益体質の企業であったことが分かります。業務拡大を借り入れで行っていましたが、当初は黒字が出ていたので、借入金額が大きい事もそれほど大きな問題になりませんでした。しかし、2005年から赤字になって、借り入れの返済が苦しくなっていきます。リーマンショックから2011年3月に破綻する前までは、毎月の返済とやりくりが非常に厳しくて、銀行を歩く日々だったと語っています。

最終的に40億円の負債と自己破産で終了

ワイキューブという会社は、2011年3月に倒産しました。この会社の内情をあとから社長であった安田さんのインタビューで知ると、良くここまで持ちこたえたというのが正直な感想になるでしょう。資産といえる資産がほとんどない中で、40億円も借り入れることができて、それをバンバン使っていました。例えば、社長の安田さんの給料は、ピーク時に5000万円ほどあったそうで、それは利益の半分にあたる非常に大きな金額です。社長の金額に合わせて、役員の給料であったり、社員の給与を引き上げていく事になります。

社員の給与は、年収430万円だったものを理由もなく年収800万円まで引き上げて、その人件費が会社を圧迫して利益が出づらい体制を生み出していく事になります。また、社員は『自分たちは800万円で働いている高給取りで優秀だ』という給料水準から見て世間とは乖離した感覚を持つようになっていったと安田氏は振り返っています。今でいう新聞社のようなものでしょう。安田氏によれば、自分がグリーン車にも乗りたくて、いいホテルにも宿泊したかったけど、社員に対して後ろめたくて社員の給与も上げたというのです。社長が会社の実力以上の報酬を受け取っているような会社には、注意が必要だという事が分かります。

 


積極的な投資で売り上げが伸びない状況

ここで積極的な投資に打って出たという事です。借り入れた借金をどんどん使い込む事によって、売り上げを伸ばそうと試みていきます。西新宿の高層ビルにオフィスを構えるなどして、そのコストが大きなものになりますが、売り上げが伸びなかったので半年で撤退する結果になっています。

安田さんは、ここで人材にいくらお金をかけても売り上げが伸びない事に気が付いて、自社の媒体に広告を掲載する事で売り上げを伸ばす方法の限界を感じていました。そこで、自社媒体『就職コンパス』を2003年にやめて、その後は中小企業を相手にしたコンサル事業を展開していく事になります。『就職コンパス』は、数億円を使って数年がかりで10万人以上を集めたサービスでしたが、撤退の決断をしました。

コンサル事業に方向転換

それからワイキューブは、コンサル事業で売り上げを伸ばす方に方向転換していきます。中小企業などに対してコンサル契約を結んで、アドバイスするなどしていくようになったのです。

オフィスに工夫を凝らす事によって、メディアに取り上げて貰うなどの効果があって、1万件ほどのアポが来るようになったという事です。相手にオフィスに来てもらえば、1日何件でも商談ができますし、交通費もかからないので非常に効率的です。自分が電話をかけて、出かけていくというのは、それだけコストが高い営業方法であると言えます。

クチコミと言う時代の変化

今では、マーケティングのやり方・手法が昔とは少しずつ変化しています。最も大きな変化としてあるのは、スマートフォンでしょう。また、就職活動性に『昔よりもさらにお金がない』という点も理解すべき点としてあるでしょう。交通費がかかる企業であったり、採用活動が長引くような会社というのは、就職活動生に嫌われる傾向があります。

ワイキューブの情報(破綻当時)

【会社】ワイキューブ
【本社所在地】〒162-0844東京都新宿区市谷八幡町2-1
【創 業】1990年11月
【T E L】 03-5206-1300
【資本金】2500万円
【売上高】46億円(07年5月期)
【従業員】186人(07年6月1日)
【事業内容】売り上げ設計図立案事業、営業力強化プログラム提案事業、人材コンサルティング事業、ビジネスツール企画・制作事業など

 

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