「気持ち」と「情熱」の違いは何か

  • 17 March 2015
  • のぶやん

ゲド戦記を私も見たのですが、糞つまらない作品で、全部見るのに非常に苦労しました。宮崎吾郎さんについて宮崎駿さんが言ったのは、「気持ちで映画を作っちゃいけない」という事と、「大人になっていない」と。宮崎駿は、ゲド戦記に自分のコピーを見ているような気になっていたようでした。言い換えれば、オリジナリティが欠けているという事でしょう。

スタジオジブリの作品は、このゲド戦記以降は、「情熱」を感じるというよりも、気持ちで作られた感じが強くなっていきます。言い換えれば、独創性に欠けていて、枠の中を出た作りが出来なくなっているような感じがあります。宮崎作品の特徴としては、あれもやりたい、これもやりたいという中から、良いシーンを抜粋して見せていくという手法がとられているのです。「千と千尋の神隠し」などは、ストーリーがないけど何だか面白いというのもそんな所で、作られたストーリーほど飽きるものはないんですね。深みがある作品というのは、どこか分かりづらいものの組み合わせだと思うのです。

気持ちと情熱の違い

自分の記憶の中から出た単なる「気持ち」で作品を作ろうとした場合には、人を感動させるものはできないというのは何故なのでしょう。ブルーハーツの曲を聞いていて思うのですが、人にもともと伝えたいことがあって、それを歌で表現していくという手法を取ったに過ぎないということなのかもしれません。それが映画かもしれないし、演劇かもしれない。

先に「何か伝えたい思い」というものがあって、それに次いでその方法があるのですが、それが逆転してストーリーが先にあって、何を伝えるかを後から考えるような作品になってしまっているのだと思います。そうなると、見ている人からすると「押し付け感」が否めない感じになってしまいます。

宮崎駿にしても、高畑勲にしたって、東映動画の労働組合で意気投合している訳ですけど、そこにあるのは社会に反発するエネルギーであったりする訳です。そこで自分たちがアニメーションで社会を変えるという方向で作品が次々と実現していくのだと考えています。そういうパワーが膨大な作業量にも耐えるエネルギーを生んで、凄まじい作品を生み出してきたのだと。

本当に大事になるのは、自分が何をしたいかという情熱を持つ事なのだと思います。今の日本の社会では、豊かな社会になって反骨精神を持つ動機が失われてしまいました。こんな中で情熱を持てなくなっているのは、若者だけではなくて、宮崎駿や高畑勲自身もそうであると思います。

情熱に人は感激するし、情熱に人は動かされる


Placido Domingo - Granada
 


Juan Diego Florez sings Granada

宮崎駿の情熱とは?

カリオストロの城は、1979年(宮崎駿が38歳頃)に監督を務めている作品な訳ですけど、製作期間は僅かに4ヶ月しかかかっていません。「かぐや姫の物語」なんていうのは、製作期間が8年もかかっていますけど、カリオストロの城は僅か4ヶ月です。このカリオストロの城自体は、宮崎駿が非常に力を入れた作品でしたが、観客動員は振るわずでしたが、情熱をかけた作品だけあって、現在でも色あせません。当時作られた多くの作品は、とっくの昔に「見るに耐えない品質」になっているにも関わらずです。

カリオストロの城の場合には、お姫様が何者かに追われていて、それをルパンと次元が助けるシーンが冒頭にあります。そこで言われている言葉は、次元「どっちにつく?」ルパン「女」という答えです。ルパンのスケベぶりが出ていて、子供たちに悪影響を及ぼすような発言なのですが、作品自体が生き生きしたものになっています。

お金の為に作る作品は残らない

お金の為に何かをしようと思っていると、情熱的な作品を作り上げる事はできません。良い作品を作りたいと思うならば、情熱を傾けていく事が全てであり、それが結果としてお金を生み出す原動力になるのだと考えています。1本の映画作品を作ろうと思った時には、単にそのロケ地に2-3日取材に行って楽しい旅行をして、それで作画を行って美しい風景を描いただけでは、アニメの良さが何も見えてきません。

スタジオジブリは、確かに映像として「高いクオリティ」を表現できるようなスタジオを持った訳ですけど、肝心の情熱を持った人材と言うものが欠けてしまっていて、独裁的な宮崎駿、高畑勲の事務所みたいになっている感じがあって、それに反発する事がないような感じになってしまっています。作品自体は、高品質、高いクオリティを感じさせるものなんですけど、そこに情熱を感じることができなければ終わりなんです。

このブログだって全くお金にならないけど、自分の頭を整理するうえでやる意味はあると思っているし。

無難な作品に個性がなくてつまらない

クリエイティブな作業と言うのは、映画の大作に限った事ではないのです。多くのキュレーターを抱えるNAVERまとめであっても、最近になってトップページに出てくるのは、無難な作品ばかりですね。広告主を意識してしまうのは仕方ないのですけど、もう少し反抗的なものがあってもいいんじゃないかなと思うんですね。そういう反抗的なものは、後からサービスを飛躍させる原動力になる可能性を秘めているからです。

NAVERまとめに限った話ではなくて、私がプロデュースしているウェブサイトであれ、イベントなどでの人選であれ、少しぐらい変わった人選を行ってぶっ壊した方が面白いものになる事が多いのですが、周囲が無難な人選を望む事が多いのです。それが高いクオリティを実現すると言えばそうかもしれないですけど、高いクオリティだけが必ずしも良いものとは限らないんですね。せっかく良い人選をしていったにも関わらず、無難なところで決まっちゃうとがっかりしますね。高いクオリティの意味を勘違いしていませんか?と。

会社にいて情熱を失う人たち

会社員で頑張っていて、社会を良い方向に持って生きたいという情熱を持ち続けているというのは、簡単な事ではありません。雇われている人なんて、所詮は給料が貰えて、休日に楽しく遊べればいいと思っている人が大半です。そんな人がどうして情熱的なものを作り出す事ができるというのでしょうか?本当に僅かな金額がポケットに入ってくればいいと考える程度でしょう。

私は、情熱を話してくれない人に面白みを感じません。お金儲けの話は大好きなんですけど、生活に困らないぐらいのお金儲けなんて誰でも出来る事なんです。少しの能力があれば、人より金を稼ぐ事なんて、それほど難しい事ではありません。だけど、1度きりの人生でそんな詰まらない事を考えていたって意味が無いと思うのです。付き合う人たちは、みんな情熱を持った人たちの方が楽しいと思っています。情熱があるか、情熱がないかで付き合う人を決めたいのです。

情熱を貰ってばかりでいいのか?

情熱をくれる歌手とか、情熱をくれるテレビ番組とか、そういう情熱的な人々を賞賛するという事は、簡単で誰にでも出来る事です。だけど、そこで自分が持った感覚であったり、情熱などを人に伝える機会というものはあるのでしょうか。会社員の人と付き合っても、面白い人が少ないのは、ちっとも情熱というものを感じられなくて、日々の業務をやっていればいいみたいな雰囲気があって。ほんと、そういう話ってつまらないよね。


コピーと本物の違いとは?

情熱の薔薇・・・・ブルーハーツ。聴いているだけで「情熱」が伝わってきます。情熱とは、こうやって伝えるものなんですね。人は、本気で歌を見てほしいと思ったら、衣服すら脱ぎ捨てるのかもしれない。

下の動画が下手糞なコピー作品。情熱など何も入ってないので、曲が全く良く聞こえないのです。名曲というものがどうやって生み出されるか良く理解できます。歌自体は上手なんだけど、そんな事は、人に何かを伝えたいと言う時に関係ないんだわ。これが10年後も残る訳がないでしょう?情熱が入ってないからさ。仕事というものをなめんなと。


自然と調和することの意味

日本で一流の建築家とされている丹下健三は、東京都庁を設計した人として有名ですけど、東京都庁は、今になって多くの設計上の問題を抱えていた事が判明しています。東京都庁だけではなくて、丹下健三が設計した多くの建物が構造上の問題を抱えていたのです。上野にあった高級ホテルのソフィテル東京の建物は、1994年に設計されましたが、2008年には解体されています。また、 グランドプリンスホテル赤坂・新館(1982年)も解体されました。このように丹下健三の設計に多くの無理な点があった事が明らかになったのです。

スペインのサグラダ・ファミリアに関しては、建設に100年以上かかっていますけど、自然を活用したような流れるような形が自然に作用して、こんなに長期に渡って建物が維持できるのだと考えます。サグラダ・ファミリアについては、100年後の今見ても「斬新だな」と思いますが、都庁については既に陳腐化してしまっており、建築の魅力などを感じることはなくなっています。

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都庁

 

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