検索エンジンにおける情報のターゲッティング
Twitterにおいて、「渋谷なう♪」とぶつやいたとします。友達と一緒にいて、美味しいお店を探すというのは、頻繁に起こる行動です。以前であれば、リクルート系の「ぐるなび」を使ってクーポンで検索していたかもしれませんが、この方法だと口コミは恣意的に歪められ、不味い店に入るという結果が良く起きました。そこで食べログになりましたが、結局は自分があったお店を探すには時間がかかりました。
口コミが信用できない
ぐるナビの口コミは、店側が書き込みを行っていた事が大きな問題となりました。また、クーポンのシステム自体が広告費と合致するので、店側がクーポンシステムを悪用しているような状況になっていました。それでも「グルメ情報をまとめたサイト」というのが無い時代は、「情報はないよりもあった方が良い」と言うことで、多くの人がぐるナビを活用していました。
クーポンシステムの失敗というのは、グルーポンの業績にも現れています。少し前に爆発的に話題になったグルーポンは、結局の所は店側にも、客側にもメリットをもたらす事のない中間搾取サービスの広告代理サービスでしかなくて、業績はすぐに伸びなくなりました。ぐるナビからクーポンを使わない口コミサイトの食べログに舞台が移っていきますが、そこでも口コミが今ひとつ信頼されていません。場所によって口コミ5件という情報では、とても客観的な情報ではないからです。
人々の嗜好が異なる
美味しい料理屋と言ったって、デートで使う料理店、友達と行きたい料理店、ビジネスで使いたい料理店、学生が使う料理店は全く異なる需要が生じてきます。これは料理店に限った話ではなくて、ホテルでもそうです。普段は1人で宿泊するビジネスマンであれば、ホテルなんて3000円のホテルで良いと思うかもしれません。しかし、恋人と一緒に宿泊するとなれば、3万円のホテルに宿泊したいと考えるかもしれません。
都内のホテルと検索しても、その状況に応じたホテルが検索されるとは限らず、「誰と」「どのような」といった状況は、旅行のコンサルティング会社にでも質問しないと分からない情報になってくるのかもしれません。とりあえず、楽天トラベルの口コミを見たり、トリップアドバイザーでも見て宿泊するホテルを決めるというような状況になってくるでしょう。
ターゲッティングとタイトル
NAVERまとめの運営側も検索を意識してカテゴリに入れていますが、その手法については、まだ模索中の段階でしょう。実際に運営側ではなくて、キュレーター側でも「良い情報を作り出したい」という思いで作ってはいますが、アクセス数と個人の需要を対応させるのは、相当のボリュームが必要になります。
言い換えると、「ビジネスマン」「京都市」「ホテル」というキーワードには、確実な需要があるにしても、その需要というのは1年に1回利用されるかされないかという事になります。ある程度の需要があるキーワードで、しかも人々の多彩な需要に応じられるものというのを探し出すのは至難の業です。
渋谷なう♪に対する回答
渋谷にきたけど、渋谷の良いカフェで300円のコーヒーを飲む為に渋谷のカフェの掲載された雑誌を買うには情報コストが高すぎる可能性が出てきます。単にスマートフォンで「渋谷なう♪コーヒーショップ探すなう♪」とつぶやいた時点で、コーヒーショップの情報が欲しいと考えるのが普通です。しかし、食べログの口コミでは似たりよったりで、どのコーヒーショップが良いか決定できません。また、情報が3年前のものであれば、そもそも現在は閉店している可能性すらあります。
ベストな回答というのは、「渋谷なう♪コーヒーショップ探すなう♪」ここで、「1人で渋谷でコーヒーを飲むならこのお店5店舗がベスト」というリストが出てくれば最高なんですね。最近、渋谷で最も流行している5店舗のコーヒーショップが出てくるという流れです。こんな事は、1億総キュレーターになるぐらい情報がどんどんやり取りされる社会にならないと無理です。
「渋谷」「1人」「コーヒーショップ、喫茶店」などで検索して、一発で5種類ぐらいのコーヒーショップが出てくれば、それがベストな回答である可能性は極めて高いです。
NAVERまとめインセンティブは情報の敷居を下げる
NAVERまとめは、インセンティブがあってライターがそれを動機の1つとして情報を製作するのですが、今までの出版社などが情報作成のコストが高すぎたと言う事もできます。大した情報を作っている訳でもないのに、ライターが1日がかりで写真を撮影したり、執筆を何度も手直ししていたのでは、受け取り手の支払うコストも高くなってしまいます。受け取り手にとっては、そんな高い雑誌を買えないかもしれません。雑誌が買えない=情報ゼロとなってしまいます。
NAVERまとめは、小額のインセンティブが支払われますが、「誰でも気軽に情報の作り手になれる」という点が注目すべき点でしょう。多くの人がTwitterや食べログでつぶやいているように自分で独自の情報を保有しています。そういった情報を無料で提供するのは、コストとして無理がありますが、小額でもお金が動く事によって、情報は提供しやすくなります。
検索エンジンとしては、「誰と」「いくらで」「どのような行動をするか」というのを出来る限り正確に読み取るターゲティングしていく行動経済となっていくのですね。
行動を起こさせる動機を作る
渋谷なう♪の例では、渋谷でコーヒーショップを探すというのを想定していますが、広告を考えると「行動を起こさせる動機を与える」というのも重要です。例えば、渋谷でコーヒーショップを探している人に対して、素晴らしいレストランがある事を知ってもらう事も大事でしょう。これは「押し付け」ではなくて、素晴らしいレストランを客観的に5種類ぐらい準備してあげて、そのレストランに「行きたい」と思って貰う事が大事です。
人というのは、良い情報であれば、何でも知りたいと思っているはずです。NAVERまとめに限らず、ウェブサイトを見て、ここに行きたくなった!と思えるようなレストランを紹介できれば最高なわけです。今まで消費を控えている消費者は、そういった情報の外的刺激によって行動を開始する動機が出来る可能性がある訳です。しかも、それは押し付けではなくて、自主的に「ここに行きたい」と思って、すぐに行動しはじめるような事が最適です。今までの広告は、押し付けがましいものでしたが、これからは広告ではなくて、本当に良いもので行動させられるものを検索に表示する事が求められていくでしょう。
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