Google検索は10年後に消えている理由
Google社は、基本的にはコンテンツの生成者にはならないという立場をとってきました。Googleは、コンテンツ生成者とならずにコンテンツを検索するという巨大サイトになることで、プラットフォーマーとしての地位を確立してきました。しかしながら、最近になってそのGoogle検索のアクセス数をFacebookが抜き去っており、そのFacebook社のアクセス数も頭打ちとなっています。
人々の求める新しいもの
これは以前から言われてきた話なのですが、Google検索が人々の需要に答えられないというのは、多くの人は「自分が何を欲しているかすら分かってない」からです。例えば、暇で何か面白いことを探していたとして、それを提案するのはGoogle社ではなくて、「今の自分の状況を的確に理解してくれて暇を埋める事を提案してくれるコンサルティング」のやる事です。
Googleはあくまで、自分が探したいと思っている事に対して検索フォームに入力して、その結果を提示するという方法なので、多くのユーザーからすると「新しい情報は何ひとつ手に入らないし、何を検索すれば良いか分からない」という状況になります。新しい情報を求めるユーザーにとってみると、Google検索は何ら役に立たない代物になっています。
人々の求める情報の細分化
Google社は、ウェブサイトを自分たちが作ったロジックに照らし合わせて並べる事をやっていますが、多くの人はGoogle社の提示した検索結果の1番目をクリックする事が分かっています。そして、その検索結果の1番目のサイトの中から良い情報を探そうとするのです。多くの人からすると、検索を行う時点で既にクリックするサイトが決定している場合が多くて、例えば「食べログ」であったり、「クックパッド」などを検索して、1番上に出てくるものをクリックすれば到着します。それならば、ドメインを覚えなくていいし、1番目に出てくる事ははっきりしているので、目的のサイトに簡単に移動できる手段です。
以前であれば、京都のおいしい店であったら、「京都 おいしい店」とGoogleで検索していたかもしれません。しかし、実際にはこんな事をしても「本当においしい店」が出てくるとは限りません。また、「カレーライスの作り方」を検索しようとして、「カレーライス 作り方」と検索したとして、カレーライスの作り方が1種類だけ出てきても、それが本当に良い作り方か分かりません。早い話は、食べログの中で検索したり、クックパッドの中で検索すれば、京都のおいしい店は沢山見つかるし、カレーライスの作り方も見つかるわけで、その方がBetterなわけです。
情報細分化によるドメインの価値
おいしいお店を知りたいならば「食べログ」、おいしいレシピを知りたいならば「クックパッド」、安いものを買いたいならば「アマゾン」、旅行に行くのであれば「HIS」、旅行で旅館を予約するなら「楽天トラベル」というように目的に応じて多くの人がサイトを思いつくようになれば、別にGoogleを通す必要はなくなってくる訳です。最新の情報を知りたいなら、Google検索よりもTwitter検索の方が使えたりする。
では、今でもGoogleを使うのはどういう時かと言えば、個人旅行で上海に行きたいけど、おいしいお店ないかな?という時は食べログでは見つからないからGoogle検索してみる。しかし、出てくるのは4Travelの上海訪問日記のようなブログで、実際にその上海のお店がおいししいかどうかも分からない訳です。結局のところは、自分でGoogle検索を何十回と行って、自分のノートなんかを使って情報をまとめないといけなくて、これは時間のロスが非常に大きい訳です。ここを埋めるのがNAVERまとめのようなサービスです。
NAVERまとめであれば、サイトを横断して4travelと別のブログを横断しながら、上海のおいしいお店のまとめを見られるかもしれない。これは海外旅行者にとっては、ここにしかない価値ある情報という事になるでしょう。
Google検索は1サイトに過ぎなくなる
Googleは世界中の情報を横断して、全ての膨大な情報を並べる事を目標にしましたが、実際にはGoogleが並べる情報というのは、ほとんど価値がなくなっていて、コンテンツ提供会社が並べる情報に価値が発生するようになっています。言い換えれば、クックパッドを人気順で並べる為にお金が発生したり、食べログを並べるのにお金が発生したりして、無料じゃないけど多くの人は課金でもそれを利用しようとするわけです。Googleは無料でも使って貰えていない領域です。
Google検索のサイト横断検索がなくなる事はないのでしょうけど、その利用方法としては、単に重要なリンクを出力するだけのものとなって、人々は目的のものを見つける事をほとんど期待しなくなってしまうでしょう。人々が目的のものを見つけるのは、スマホのアプリ検索からアプリをダウンロードして、そのアプリの中で検索したりと、検索の小規模化が起こってきています。
ソーシャルが中心の世界へ?
何らかのコンテンツがインターネット上に公開された時には、以前であれば「どこからリンクされるか」で流入数が決まっていました。Yahooのカテゴリからリンクされる事でアクセスが増えたり、Googleの検索エンジンからリンクされる事でアクセスが増えるなど、リンクが軸になったアクセスの増減が主流でした。現在では、FacebookやTwitterなどからのソーシャルの流入がかなりの割合を占めるようになってきています。
Google社などでも、FacebookやTwitterのフォロワー数などから、そのアカウントにおける信用評価を行う事によって、Googleの検索に反映させようとしています。つまり、FacebookやTwitterでフォロワーが多いようなアカウントが信頼性が高かったり、FacebookやTwitterで数多くの話題になっているようなものが信頼性が高いコンテンツと判断されたりしています。
面白いコンテンツがどこにあるか分からない中で、面白いコンテンツがTwitterなどから飛んできて、それを友達と共有して遊んでいるような感覚は、コンテンツが一種の友達との共通した話題づくりのようになっています。面白い情報を友達に伝えれば、友達からは「ありがたい存在」と思われるかもしれないし、沢山情報を持った存在だと思われたい欲求というものもあるわけです。
Adsenseに依存しているGoogle
Google社の収益の柱と言えば、毎年3兆円という膨大なお金を稼ぎ出すGoogle Adsenseなわけですけど、Googleの検索エンジンの横に付いている広告からの収益がその半分ぐらいであるとされています。人々が検索したキーワードにマッチしたものが表示されるので、広告効果が非常に高くて人気の高いプログラムとなっています。しかし、Google検索エンジンが使われなくなってきたら、広告主が減少する事も考えられます。
実際にGoogle Adsenseは、経済の影響もありますが、2007年頃をピークにしてジワジワ下降トレンドを形成しており、このままGoogle社が検索エンジンに対して何ら施策を施さなければ、10年後にGoogle社の検索エンジンを使う人は大幅に減少して、Google Adsenseに広告を出稿する広告主も減る可能性があるでしょう。
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