原一男監督「ゆきゆきて、神軍(1987)」を見る。
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この映画の面白さは、奥崎謙三が刑事役になって、2人の若い兵士を殺害したという犯人を突き止めるという「サスペンスドラマ」に仕上げられている点だ。奥崎謙三もそれを意識して、真実を暴こうと奮闘する。時には、暴力を使ったり、警察を自分から呼んだりすることで相手を脅して、真実を話せと迫る。
奥崎は1920年兵庫県生まれで、当時60代。ニューギニアのジャングルで1300人いた部隊で帰国できたのは100人ほどでした。その多くは、飢餓の中で死んでいます。特に終戦前の1年間は、酷い飢餓状態にあったことで、多くの兵士が命を落としています。
捕虜になった奥崎謙三
奥崎謙三のグループは、村人の食料を奪いに行きますが、返り討ちにされて捕虜になります。奥崎謙三自身は、捕虜になったことによって、人肉を食べることを免れることになります。奥崎謙三が捕虜になってから、1年以上もこの部隊は飢餓に苦しむことになり、人肉色が日常的に行われ、時には「戦友」を処刑して肉を食べるということまで行われました。
元兵士に対する吊し上げ
奥崎謙三が、飢餓ニューギニアで殺人・人肉を食べた元兵士を責めて「吊るし上げる」内容だった。主役は、奥崎謙三でなく、旧日本軍の元兵士たちだと思う。吊し上げにあった兵士たちは、極悪人でもなければ、ただ「戦場で生きようとしただけ」の元兵士たちだった。戦争がなければ、普通に暮らしていた人たちだろう。
奥崎と同じ中隊にいた山田吉太郎が「独立工兵第三十六聯隊行動記録」という小冊子を出しており、帰還兵50名の住所が記載されていた。原監督が1人1人を訪ねて歩いて、その部隊で起こったことを聞いて回った。奥崎は、その人たちを訪ね歩いて、吊るし上げを行った。
終戦後に起こった殺人事件
妹尾幸男、妹尾実、原利夫、会川利一、浜口政一 現場で古清水が命令したということを突き止めました。
使い物にならない奴は殺された
部隊の中で、使い物にならないと判断され奴は、部隊内部で殺されて食料にされるという内容だった。戦争で戦うことなどどうでも良くなり、とにかく多数で少数を「襲って食べる」ような状況が起こっていたということだ。自分の味方の兵士が少なくなると、集団で襲われる「食うか食われるか」の世界が展開されたことが語られている。敵と戦っているのではなくて、味方であったはずの人間同士が殺し合いを行っていた。
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