日本でIT系ベンチャーが下手に会社化するとコスト面で負けるんじゃないの?超低コストがIT系ベンチャーの条件になろうとしている
2015年6月にけんすう氏が代表のNanapiが 第8期決算公告として出した決算が1億2000万円の赤字だったと話題になりました。会社自体が全く儲からずに運営を続けて、億単位の赤字を出したという事です。
積み上げていくサービスが崩壊
けんすう氏は、以前にNanapiの事を『情報をどんどん出して積み上げていくサービス』と説明していました。それは、情報が増えていくにしたがって、会社の情報資産が増えていくので、それに従ってアクセスが増えるだろうという見通しに基づくものでした。しかし、このビジネスモデルは既に難しい状況に立たされています。Wordpressなどで簡単にサイトが構築できるので、競合他社があまりに多すぎて、個人、企業などの競合が大量に表れて検索エンジンで上位を取れなくなってきているからです。広告をビジネスモデルにしている場合には、アクセスが取れないとサービス自体の存続が危うくなってしまいます。
以前であれば、情報を発信すれば、Googleの検索エンジンで上位表示を大量に作りだす事も出来ましたが、今では上位を取る事も難しくなってきています。企業、個人を問わずに新しいサイトが次々に出来上がってきて、主要キーワードで検索エンジンの上位を争うようになってきているからです。ある程度のスケールメリットを出す為に2015年9月にKDDI系の子会社となったnanapi、スケールアウト、ビットセラーの3社合併して2015年11月1日から『Supership(スーパーシップ)』という会社となっています。
Nanapiの場合には、2016年のサイトの状況は、2015年と比較しても悪化していて、非常に厳しい状況に立たされているでしょう。2016年3月には、『Nanapiのアクセス数が全盛期の半分になった』という事が記事にされていて、この状況では黒字化するどころか、ビジネスモデル自体が既に崩壊している状況であり、このサービスは閉鎖されてもおかしくないような状況になっています。
個人サービスが会社を潰す例
フリー素材サービスの『ぱくたそ』は、個人でやっているサービスですけど、会社を潰すぐらいの勢いがあります。何が凄いかと言えば、クレジットが必要のない無料素材であるにも関わらず、モデルを使って非常に高いクオリティを実現している点です。このような高いクオリティの写真は、従来は購入して使わなくてはいけないものであり、5000円~3万円もするような写真でした。
このように非常に高いクオリティで大量の写真がリリースされてくると、従来の写真素材サイトで売るのが非常に厳しくなります。それは、販売するカメラマンの側にもかなりのプレッシャーがかかってくる事になるという事です。かなり良いクオリティで、しかも多くの枚数を揃えないと、売る事が難しくなってきているという事でしょう。
1ヶ月で100万以上稼ぐ個人が強い
1ヶ月に100万円以上稼ぐ個人は、市場においてかなり強いと言えるでしょう。記事であったり、ツィッターの作成などを外注したとして、手元に残るお金が大きくなるからです。1人で目立たないようにやっている個人事業主であったり、1人・2人で回す会社などは、小さいながら『利益率が高い』という状況になり、簡単に潰れない状況になります。小さいながらも利益が出ているという事が非常に重要なことで、利益が出続ける状況が続けば、いずれ会社化すれば良いという事になります。
海外のブログで『ラーメン代稼ぎ』と紹介した人がいましたが、自分たちが生活できる以上の金額を稼ぎだしてから会社化した場合には、その事業ノウハウを活かしながら長期で成長できる可能性が残されます。インターネットでは、個人企業から成長した価格.comであったり、田中社長が1人で始めたGreeであったり、オークション企業からソーシャルゲームに転換して大きく成長したDeNAなど沢山あります。
利益を生む前に会社化した場合
そもそも小規模サービスであれば、黒字化するのが大変であり、かなり多くのベンチャー企業が赤字に苦しんでいます。日本では、資本金が少なくても会社を設立する事ができますが、会社を設立した後で会社を動かそうとすると多大なコストがかかり、その会社をまわすコストの方に気を取られて、肝心のサービスが疎かになる可能性すらあります。複数人で会社を立ち上げたベンチャー企業の場合には、サービスが軌道に乗るまで恐ろしい勢いで会社のお金が減少していく可能性があり、サービスが黒字化しなければ、いずれ会社を解散させなければいけない状況になってしまいます。
サービスが大きくならないと、広告費で100万円を出稿して貰うのは大変な事ですし、まして月額1000円の個人会員を1000人集めて100万円にするのも非常に大変な事です。そうしているうちに競合サイトが強くなって、黒字化する前にビジネスモデル自体が破たんしてしまう可能性もあるでしょう。また、大手企業が参入してきて、潰される危険性もあります。例えば、クラウドワークスなどは、1件当たりの単価が低いので、数多くの取引があっても赤字を脱却できていません。
低コストで利益を出さないと厳しい
日本国内で成長させようとするIT系ベンチャー企業であれば、日本の人口が大幅に減少している中で、競合他社から抜きんでてIT系ベンチャーを成功させなければいけないので、かなりの低コストで利益を出さないと競合他社に太刀打ちできない可能性があります。かなりのIT系ベンチャー企業が起業していますが、その中で成功しているのはごく一部だからです。日本の人口が減少していく中においては、サービスを伸ばしていくには、他社を潰す勢いで成長しなくては、そもそも成長する事が出来ません。高いコストをかけて、相手を潰す事に失敗すれば、すぐに自分の方が潰れてしまうのです。
低コストというのは、社長自身がプログラムを手掛けてサービスを軌道に乗せるのが最も低コストという事になります。その意味では、Greeの田中社長のようにプログラマーが最も有利でしょう。自分でプログラムをやれば、自分の生活費だけがコストになり、『最も低コスト』のベンチャー企業になります。しかし、1人で競合他社を倒してサービスを軌道に乗せる為には、相当の時間がかかり、その時間ロスをどうするのか?という問題もあります。また、一般的に1人でやれることは限られていて、お金のレバレッジを効かせるか、労働力のレバレッジを効かせていかないと、急速に成長するのは難しいとも言えるでしょう。
自分で技術を学習するとなると、3年がかりになって嫌がる社長とか多いけど、営業力がずば抜けてる(じげんの平尾社長さんみたいに凄まじいまでの営業力があれば別)人以外は、IT系ベンチャー企業なら自分が技術力を極限まで高めてサービス作った方が早いんじゃないかな、と思うことが良くあります。だって、自分が技術力がないと、誰かと一緒に組むことになって、それはコストを一気に跳ね上げるので数千万円の資金調達だと1年ぐらいもつのか、もたないのかというぐらいで、あっという間になくなってしまうからです。自分で大した能力もないのに、苦労もせずに、人の金使って経営者を気取られてもね。
IT系ベンチャー企業を『普通の人』が立ち上げるんだったら、少なくとも自分で少しぐらいプログラムできるぐらいのスキル(けんすう氏ぐらいの)がないと、プログラマーとの話し合いすらできないんじゃないでしょうかね。技術者だって全く理解できない経営者にいちいち説明するのも嫌でしょうし、そういう意味では、ITベンチャー企業のトップがどれぐらいの力量かという事は投資家にとっても大事ですね。文系で文章の才能があって、、、という人が最もITベンチャーに向かないと思います。そういう人はブロガーがちょうどいい。
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