インターネットの独占・寡占化による技術開発イノベーション阻害
スマートフォンは、事実上、Google社とApple社が頂点に体制になっており、アプリの制作会社がそれに連なる形になっています。利益の多くがGoogle社とApple社に流れる仕組みが出来上がっていますが、僅か2社のスマートフォン市場独占は、他社の開発に大きな不利益になっている可能性があります。
お金の流通ルートを握られて、利益のうち30%を取られてしまうからです。それは、Google社とApple社の株主のところに流れる仕組みになっています。
EU委員会による制裁
EU委員会は、『Google社のAndroidが自社製アプリを抱き合わせしている』として、2018年7月にGoogle社に対して、43億4000万ユーロ(約5700億円)の制裁金を支払うように命じています。制裁額も凄い金額ですが、Google社はAndroidを通じて世界中のスマートフォンに入り込んでおり、莫大な利益を上げています。そして、それがイノベーション阻害要因となっている事は明らかです。
DeNAなど、ゲーム事業で成功した会社も、次の事業がない状況に苦しんでいます。その焦りからWelqのコンテンツパクリ問題などを引き起こしました。
投資家からの資金調達
今では、新規のアプリを開発するとしても、膨大な予算がかかるようになっています。Google社のように2人で創業したり、Greeのように田中社長1人で操業したりする時代ではなくなり、最初から10億円、20億円でゲームを開発するスタイルが当たり前になってきました。
かつてのように『ガレージからスタート』して、企業を世界レベルに成長させる事は難しくなっており、初期のスタートアップ時点から『投資家からの資金調達』を行わずして事業を拡大する事が難しくなってきています。
起業家のラーメン代稼ぎ
今、現実として起業家がポール・グラハム氏の言う『ラーメン代を稼ぎながら事業を拡大する』事は、難しいと言わざる得ないでしょう。私の経験上、ラーメン代を稼ぐ事は出来るかもしれませんが、ラーメン代で企業を継続させる事は、ベンチャー企業の余剰金を生み出さないからです。というより、余剰金を生み出して儲かる事業ならラーメン代稼ぎじゃなくて、それは本業と言えるものです。
ラーメン代稼ぎが難しい理由は、それが本業に応用できる可能性が低いからです。簡単な事業でお金を稼ぐと、それが単純作業になってしまって、そこに時間を使ってしまう事は技術開発を遠のかせてしまいます。ラーメン代稼ぎというのは、誰かの投資を受けないで自営業で頑張って生き延びてサービス開発する手法ですが、サービスの開発競争が激化している中で、その程度のやり方でサービスを開発するのは困難になっているという現実があるでしょう。
現実には、ラーメン代が稼げるような『単純収益事業』というものは、既存のスキルを活用するので、スキル向上にほとんど貢献しないはずです。売り上げが好調な時には、会社を維持できますが、売り上げが下がったら会社を維持するために必死になってラーメン代を稼ぎ始めてしまうかもしれず、本末転倒になりかねません。