きのこれ

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24歳が開発した『きのこれ』が大失敗して破産!きのこれRも停止!ソーシャルゲーム開発の難しさ

  • 5 October 2016
  • のぶやん

2014年4月にCmixという会社を立ち上げ、「クラッシュ・オブ・クラン」をパクったベースにした「きのこれ」というゲームを企画しました。開発を自社でやれば良かったのに、めんどくさがって期間短縮の為に外注する事にして、ここに2000万円ほどかかる事になります。外注を引き受けた会社は、とりあえず作っただけなので、リリース直後からバグが連発して、そのバグを修正する外注費の支払いが出来なくなって、6月20日には既に資金がなくなりました。6月30日にサービスを停止して、会社も停止するに至ったという経緯です。

反省点としては、自社で開発できる能力があったにも関わらず、他者に任せてしまった事と失敗した本人が述べています。逆に良かった部分は、早めに見切りを付けて、それ以上の損失を出さないで会社を破産させた事でしょう。ずるずると人から借金を重ねることもできる可能性はありましたが、それをせず(実際にはどこも相手にしてくれなかったようですが)、破産に持ち込めたのは良かったと思います。

開発から終了まで僅か2ヶ月

『きのこれ』は、開発から終了まで僅か2ヶ月という期間となっています。先行したAndroid版が2015年3月30日に公開されて、2015年5月23日にiOS版が公開されています。この開発を終えた時点で、余剰資金がほとんどなかったようで、それから僅か1ヶ月で資金調達がながれて資金がショートしてしまっています。

これほど短期間に資金ショートするのであれば、最初から資金調達できるような人物(ある程度のネットワークがある人)を仲間に加えておけば、資金調達の面では問題なくできたかもしれません。

きのこれアプリ開発2000万円

『きのこれ』アプリ開発費用には、1300万円ほどがかかっていて、社内の人件費も700万円もかかっています。社内で2000万円をかけて開発していたらどうなっていたのだろうと思ったりします。

栗原:リリース後に、とにかくバグ(不具合)に悩まされました。もちろんデバッグはしていましたが、経験が浅かったため、チェック漏れのバグがたくさん出てしまったんです。
中でもひどかったのが「課金チケットが無限に配布される」というバグです。イベントで配布する予定だった「課金チケット」が、無限に配信されてしまって。
チケットが4,000通とか、あまりにも大量に配布されすぎて、ユーザーがログインしようとするだけで、アプリが落ちてしまうことさえありました。
その後も、ずっとバグが続いて。ユーザーからもクレームがたくさん来て。「はやく直さなきゃ、はやく直さなきゃ」と急いでいるうちに、資金が底を尽きてしまいました。

インタビュアー:え..?

栗原:いくつか「資金調達の宛て」はあったのですが、一気に全部ダメになってしまって。大きい金額を投資してもらえるはずの話も、いきなり6月末に「やっぱりなしで」となってしまった。
そこで、いきなり追い詰められました。やばい、やばいとなって。とくにプログラミングを外注していたので、その支払いができなくなって。資金繰りで、手詰まりになってしまった。
あと「資金繰りの問題」に加えて、瀕死のところにやってきたのが、先ほどの「チケット無限バグ」でした。結局これが「最後のとどめ」になり、サービスを終了することを決めました。

ポッピンゲームズジャパンに売却

会社が破産した後で、弁護士が会社の唯一の資産とも言える『きのこれ』を競売にかけて見事に『きのこれ』が300万円以上で売れて、『ポッピンゲームズジャパン』に売却される事になりました。そして、この『きのこれ』のバグが修正される形で、『きのこれR』として再登場するのですが、、、『このきのこれR』は、既に話題にもならずに終わってしまう事になりました。
 

もう、どうしたらいいのか、わかりませんでした。周りに相談できる人もいませんでした。書籍やネットでも必死に探しましたが、答えは見つかりませんでした。最終的には、どうしようもなくなり「弁護士を頼る」という決断をしました。それはつまり「会社を清算する(倒産)」ということです。最後まで「本当にこれでいいのか」と悩みました。もちろん「ここで終わりたくない」とも思いました。でも、他に方法がありませんでした。

結局のところは、外注先が思ったように動いてくれなかったことは、倒産の直接的な要因になっていると考えられます。外注先からすれば、発生したバグを修正すればするほど、コストがかかって利益がでなくなってしまうので、その分の追加費用を要求したいという事で、話が合わなかったようです。あとは、代表の栗原さんが『周囲に相談できる人がいない』と言っている点も気になります。ベンチャー経営者というのは、多かれ少なかれ、様々な付き合いがあって、法律に詳しい人、良く勉強している人と付き合いがあるのが普通です。そういった付き合いがないで、理系の自分だけで突っ走るのは、さすがにどうかと思いますし、出資者からの適当なアドバイスが得られなかったのかも良く分かりません。

開発だけではなくてランニングを予測する

アプリの開発が終わっても、内部が外注した会社しか分からないようだと、外注先にやって貰うしかないという事で、選択肢がありません。下手をすれば、外注先が自社の独特の仕様でプログラムをしている場合もあり、その場合には自社の技術で改造を行う事は非常に難しいという場合も多いです。他社の作ったソフトを改造をするのは、ゼロから作るより時間がかかるという事もあり、外注先のソフトを受け取って改造するとしても、それなりの技術者が時間をかけて、寝ないで作業しないと終わらないという事になってしまいます。

外注先の企業では、『このバグを3日以内に修正してほしい』と依頼したところで、そのプログラムを書いた技術者が3日以内に出社してくるとも限りませんし、まして全力でお手伝いしてくれるという事もないでしょう。外注先の会社は、追加仕様となると、それにかかる費用というものは、構築以上のものになる可能性があります。それは、最初にお金を渡す前に決めておかなくてはいけない事でしょう。もし、そうした取り決めをする知識がないという事であれば、そこで事前に弁護士などの専門家に依頼して契約書の作成を行うのが良いと思われます。

プロトタイプの作成から試験まで

プログラムの開発は、最初にプロトタイプ(大筋のプログラムを見込んだ最初の模型)を作って、確認しながら作業を進めていくのですが、そのあたりの工程がきちんとなされていたかどうかというのは、不明です。通常ではプロトタイプが仕上がるまでには、それなりの費用・期間がかかって、その時に最終的な形を詰めていきます。プロトタイプの段階でプロジェクトがダメになるという事も良くあることで、その場合にはかかった費用が無駄になってしまったり、別の開発に活用されたりする場合もあります。

いずれにしても、アプリの開発会社というのは、安易に外注するものではないなと思います。プログラムのノウハウというのは、自社が抱え込んだ人材と一緒に行うべきであり、初期の段階で優秀なプログラマーに関与させる為に株式の配分を行うなど、プロジェクトに上手にコミットして貰うような方法を考えないと失敗します。外注するとなると、資金力が全てになってくるので、資金力がないベンチャー企業が外注したところで、最初から成功の見込みというのは薄かったのだろうと思います。

社長がプログラムしないとベンチャーは無理

資金力がないベンチャー企業がIT系では、社長プログラマーが自分を含めて開発に関与するというのが基本中の基本になります。社長が技術者ではなくて、技術者を思い通りに使おうというのは、ほとんどのベンチャーが失敗する要因になっています。例えば、Lang-8の喜洋洋さんもプログラマーと一緒に開発を行っていましたが、プログラマーに離反された結果、一時は自分がゼロからコードを勉強するような非常に苦労していたようです。人数が少ないベンチャー企業がインター―ネットサービスを行いたいのであれば、社長がプログラムをどれだけ扱えるかというのは、非常に重要になってくると言えるでしょう。逆に社長が扱えないという事であれば、資金力で勝負する為にカリスマ性、とびぬけた営業力が必要になります。

ベンチャー企業で誰がリスクを負うかという話になりますけど、安価で開発してプログラマーにリスクを負わせて、プログラマーから搾取しようとするようなビジネスというのは、ベンチャーとして成功するはずもないという事です。それで最初はうまくいく例もないわけではないですが、そういう企業というのは、長続きせずに終わっています。リスクを負うのは、常にベンチャー企業を立ち上げた人であり、プログラマーには、それなりに対価を支払わなくてはいけません。そして、支払う対価がないのであれば、自分でプログラムするしかありません。

プログラムを使いたいという会社は多いですが、プログラム=人件費であり、しかも開発には信じられないほど多大な労力がかかります。その多大な労力というのは、自分がやってみないと、理解できるものではありません。自社ですべてを行うソフト開発というのは、自社が失敗するリスクを背負う事になりますが、そのリスクをプログラマーから搾取によって成立させようとしても、必ず失敗する事になります。いかに仲間になっているプログラマーにインセンティブを与えてやる気にするかというのが大事になります。

必要になるのは資金力か技術力のどちらか

インターネット系でビジネスを展開したいのであれば、ベンチャー企業に求められるのは『資金力か技術力』なのですが、どちらもないというのであれば、諦めるしかないでしょう。誰かに外注したのであれば、時間がかかる分だけしっかりとお金を支払う資金力は必要になるでしょう。また、自社で開発するのであれば、チームにプログラマーを抱えていないと確実に失敗する要因になります。また、プログラマーが知らない分野での技術開発を行う場合には、更にコストと時間がかかる事も理解しなければいけません。

今の社会で求められているプログラムというものは、シンプルな掲示板レベルのものではなくて、もう少し高度なものが必要になっています。ウェブサイト1つ作るだけでも、単にパソコンに対応させただけではなくて、スマートフォンに対応させたResponsiveデザインが求められるなど高度化しています。Wordpressで簡単にブログを作った程度では、どうしようもない事が増えています。『アイディアがあるけど実現してほしい』レベルでは全くダメで、その為の資金をしっかりと用意しなければ、誰も相手にしてくれなくなってきているのです。30万円~100万円ぐらいのコストでは、Wordpressのインストールが精いっぱいで、何も作り出す事はできません。
 

優秀な人ほど技術力を高めたがる

優秀な人であればあるほど、資金力を求めて大企業との取引を望みますし、零細ベンチャーなど相手にしたがりません。零細ベンチャーが『優秀な人が採用できない』と嘆いていますが、そもそも採用担当者が優秀ではないのに、どうやって優秀な人が採用できるというのでしょう。簡単に言ってしまえば、資金力が中途半端だと、開発だけで精一杯で、マーケティングのコストなどをあまりかけることができず、かけたとしても失敗する可能性が強いと言えるでしょう。

楽天の三木谷みたいに『技術者は技術が好きでやってるから』みたいな言い方をしている企業は、技術者が『自分が好きな事以外は何もしていない』という事実を理解していないように見えます。結局、ユーザーインターフェイスとか、使いやすさとかどうでも良くて、『とりあえず完成しました』というのが楽天のウェブサイトな訳です。そういう所がアマゾンに勝てない点になっています。カスタマーサポートを充実させても、いずれアマゾンに淘汰されてしまうでしょう。英語を社内公用語にする前に、技術力を海外から学ぶマネジメントが必要だと感じます。

稼いでいる人は、ノウハウを流出させない

本当に稼いでいる人であったり、プログラマーというのは、稼げる部分のノウハウを自分の周囲の人と共有する程度で、全く関係のない外部の人に流出させたりしません。外部の人が良く聞きかじろうとして話をしたり、商材を購入したりしますけど、簡単に真似を出来るならビジネスモデルと言わないでしょう。例えば、100万フォロワーのツィッターアカウントを使ってつぶやけば良いというノウハウがあったとしても、100万フォロワーを獲得できなければ使えないノウハウな訳です。良い人間関係を築いたり、自分が技術を勉強して相手と話題を共有できるようになったりすれば、深い技術の部分で教えてくれることがあるかもしれません。

事業者が保有している『技術』と『技術者』こそがその事業者(会社)にとっての最大の価値であり、売却することが可能な資産という事になります。特にベンチャー企業の技術者というのは、プラットフォーム上で動く営業員と異なって、プラットフォームを形成する役割をする事になります。プラットフォームを形成するのは、プラットフォーム上で動く営業員よりも、かなり高度な役割を担うという事になります。言い換えれば、爆発力のあるベンチャーを生み出すには、技術的な背景が欠かせないという事になり、それには『資金力』があって技術者を大量に採用できるとか、単独チームで技術力があるかどうかという事が求められます。どちらもない零細ベンチャーなどは、インターネット技術系で押すのはもう無理です。

分かってない奴が『言われた通り作ってくれ』と言う

技術系が全く分からないアホな人に限って、とんでもない無理な事を10万円で出来ると思い込んでいる。10万円で出来る事であれば、自分で勉強してできるぐらいの作業しかできません。例えば、ワードプレスのサーバーに対するインストールぐらいなら10万円ぐらいで出来るかもしれませんけど、プログラミングであったり、サーバー管理などを10万円で請け負っていたのでは、とても商売にならないのですから、そんなのをやる人はどこにもいません。

技術を求めるのであれば、それなりのお金が必要になりますし、安くやろうとするのは不可能なのです。そこを強引に安くやろうとすれば、納期が1年後になったり、バグの修正に応じて貰えなかったりする事になります。ソフトウェアにとって大事な事は、完成した後で修正を加えて行く事でもあるので、そうした作業にお金・時間を確保する事も大切になります。そういった事を含めて、総合的にいくらぐらいかかるのかを良く相談するべきでしょう。

学校で言えば修士・博士のような学習が必要

スマートフォンが流行る前(2011年頃まで)であったり、Youtubeの動画が流行る前(2015年頃まで)であれば、Wordpressを使って情報を出せば、それなりにアクセスが集まったのかもしれませんけど、今ではスマートフォンが主力になったこともあって、アクセスを集めるのが難しいだけではなくて、広告を掲載するだけで稼ぐのが至難の業となっています。零細ベンチャー企業ごときがそういった状況を乗り越える技術を開発していくには、自分が技術者になるか、技術者に多額の報酬を約束して『お願いしてやって頂く』しかないでしょう。

Google社などが理系の博士課程を卒業したような人を採用しているという事ですが、そういった人でないと研究できないような高度な分野がソフトウェアの世界でも沢山出てきています。日本人で言えば、英語ができなければ、何のお話にもならない(Googleのドキュメントが読めないなど)ですし、とにかく大学をコピー論文で卒業したような文系など使い物にならない訳です。

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