楽天KOBO

楽天Koboは失敗だったのか?

  • 5 September 2012
  • のぶやん

楽天については、好意的に書いている事が多い私ですが、楽天Koboについては失敗したのでは?と感じています。

予約は確かに絶好調で、楽天のランクに応じて還元を行うなど、楽天らしい売り方で10万台ほどを販売したようです。しかし、設定でユーザーが混乱してしまった事でマイナスイメージが定着しました。それ以前の問題として、電子書籍が「思ったよりも少なく、そして高い」という状況でした。また、書籍の多くが「青空文庫」だったという事もユーザーを失望させたでしょう。

楽天アフィリエイトでは、楽天Koboの料率が10%に設定されています。つまり、8000円の楽天Koboを販売すれば、800円はアフィリエイターの手元に入るのです。それで、私も楽天Koboをホームページに掲載してみましたが、ほとんど売れていません。売れる商品であれば、普通は数日に1個ぐらいのペースで売れるものなのです。

書籍が充実しないと戦えない

楽天Koboの状況を見ると、やはり書籍の充実を最優先にして、最低でも10万冊ほどの電子書籍を揃えてから販売に踏み切るべきでした。ハードをいくら売ったことろで、中身のソフトが伴わないという状況だと、ユーザーは不満を抱く事になるでしょう。それでニンテンドー3DSも失敗しました。

楽天が販売している8000円という価格は、楽天Koboでハード面だけでは、利益がそれほど乗らない価格とされています。赤字ではないにせよ、例えば1000円利益で10万台売ったとしても、1億円の利益にしかならず、楽天の利益に対する貢献は1%以下というレベルです。電子書籍ソフトの売り上げの方が継続して圧倒的な利益になるでしょう。

楽天Koboを購入したユーザーの本当の不満は、インストールの難しさなどにあったとは思えません。インストールした後にオンラインの電子書籍を見たら、種類が少なくて価格も高いので驚いたのだと思います。ソフトが入っていない本体など、何の役にも立たず、放置されてしまいます。

ガラパゴスが失敗した理由

シャープから出された電子書籍の「ガラパゴス」が失敗した理由としては、ソフトの少なさにありました。楽天の三木谷さんは、今まで日本の電子書籍が失敗した理由として、「本体の価格が高すぎた」という事を言っています。確かに本体の価格は高いのが理由でしたが、もっと根本的な理由として「ソフトの少なさ」というのがあった事でしょう。

・ハードの価格が高かった
・ソフトが充実していなかった
・ソフトの価格が高かった

この中で楽天が解決したのは、ハードの価格だけであり、他の2つの問題は解決されずに残されたままでした。そして、そちらの問題の方がユーザーにとって一番の大きな問題点でした。

楽天Koboの電子書籍も似た失敗

楽天Koboの電子書籍の価格ですが、書店で800円で売られている文庫本などが500円ぐらいで置いています。書店の本屋よりも少し安い程度では、電子書籍の魅力はありません。何故ならば、手元に書籍があると中古本として販売する事もできますし、データーが消える事がないメリットもあるからです。

電子書籍として気軽に購入できる価格としては、200円~300円ぐらいが相場だと思います。これぐらいならば、間違えても損失にならないでしょう。日頃にウェブサイトを無料で見ている私たちにとって、「お金を支払っても読みたい書籍」のハードルは日増しに高まっているのだと思います。10年前と同じ価格で書籍が売れると思うのは間違いでしょう。電子書籍であればなおさらです。

・当初2万冊しか置いておらず、1万冊は無料の青空文庫
・日本書籍が紙の価格並みに高い
・ウェブサイトの分類が外国式で日本人に分かりづらい
・検索結果に英語書籍が数多く出てくる
・電子書籍のサイトの完成度が低かった事が説明不足

書籍の中身を見せるべき

アマゾンなどでは、書籍を購入する前の段階で、書籍の中身が見れるようになっている本がたくさんあります。電子書籍であれば、なおさら購入前に中身を少しでも見れるようにしておく方が良いでしょう。全く中身が見れない電子書籍を高い値段で購入して、自分が読みたい内容と異なっていたら、損をした事になってしまいます。

ちょっと急ぎすぎたのでは?

楽天Koboは、まだ準備する事が沢山あった中で「見切り発車」のような形で急ぎすぎたのではないかと思います。確かに販売してから少しずつ改善していくという形もありますが、今回の場合には、外国のものを日本に持ち込むという中での混乱が大きかったように思います。簡単に日本語化すれば良いという判断の甘さだったのかと思います。

・日本語は縦書きがあるので難しい
・英語仕様のソフトを後から国際化するのはかなり大変
・カナダのKobo技術者は、日本語について全く無知
・経営者が技術者無視で販売日程を決定

Koboを買収した2011年11月から日本で販売するまでが半年あまりですが、早く日本で販売しないと、時代に乗り遅れるという危機感もあったのでしょう。また、Koboを早く成功させて、次回バージョンでは楽天市場とリンクさせたいという思いもあったと思います。ただし、技術的な部分に対して自社で経験がない事に乗り出してしまった楽天は、電子書籍の分野で今後も厳しい戦いとなるでしょう。

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