シャープを出来る限り安く買い叩きたい鴻海の思惑

  • 21 March 2016
  • WEB情報屋

日本の『アベノミクス』とされた円安傾向などを伴いながら世界的な『株高』が起こっていましたが、それも2016年になって大きく下落して、株高が終焉しようとしています。日本株は、今のところ17000円前後のところにいますが、米国の意向に沿ってドル安(円高)が加速していけば、今の株価はどんどん落ちることを余儀なくされるでしょう。



株価が落ちるのを待っている鴻海の思惑

鴻海としては、シャープの株を安く買えれば買える事に越したことはありません。しかも、シャープを購入しようとする競合など存在せず、シャープが再建不可能とされる僅か3000億円のカネをシャープに『貸付け』を打診した産業革新機構などは、鴻海の競争相手になりません。結局のところは、鴻海以外には買い手がおらず、1社しか買い手がいない競争のない市場は、安く買い叩かれても当然といったところでしょう。

シャープは、時間を引き伸ばせば、シャープの株価が更に下落して、有利な条件になると分かっていることは確かです。この1年でシャープが以前以上に損害を垂れ流しており、この1年で3000億円ものマイナスが出たと指摘する記事もあります。早く鴻海に売却していれば良かったのですが、鴻海に売却するのに時間がかかって損失が大きくなったのです。そして、鴻海が買収を決定してから新たに提示された謎の3000億円も問題になりました。

鴻海が買収引き伸ばしで株価下落

世界経済の状況を見ていると、日本株全体の下落は避けがたいものがあり、更に鴻海に不利なことに、円高が以前よりも加速して買収に必要な買収金額が1割〜3割ほど上昇しています。このような状況では、鴻海としては、以前の買収価格を維持する事は難しくなっており、118円と決めた買収価格の引き下げを求めています。日本の銀行団は抵抗しますが、もし鴻海が購入しないとなればシャープが確実に破綻するので、最終的に銀行団は受け入れる方向になるでしょう。

現在、Apple向けの携帯電話需要も一巡しており、新規のスマートフォンユーザーというのが世界的に少なくなってきてます。今後は、買い替え需要となるので、今までよりも価格競争が激しくなる事が予想されます。言い換えれば、今のシャープを購入したところで、鴻海にとってメリットは確かにありますが、それを再建させるコストが非常に高くなっており、いくらキャッシュリッチの鴻海と言っても、ホイホイ買えるようなシロモノではなくなってきています。

鴻海が買収した後のリストラ

シャープに対して、鴻海の会長は、40歳以上が不要であり、40歳以下の雇用しか守らないと発言しています。日本の企業は、高齢者・正社員を過度に守って、若者・派遣社員・非正規雇用から過度に搾取する事で成立してきました。40歳以上の給料は高いですし、働き方を見ていると非効率で会社を潰した原因にもなったということで、鴻海として40歳以上の雇用を守らないのは、ある意味で当然なのかもしれません。そもそも、経営がこれだけやばくなっている状況において、最初に行われるのが人員削減でしょう。

シャープを持つメリットが本当にあるのか

鴻海は、今まで世界最大の下請け企業として、自社ブランドを持たずに大量生産を行ってきました。任天堂からiPhoneからソニーまで。様々な他社の製品を大量に作ることで利益をあげてきた企業でもあります。シャープを保有することは、自社ブランドを持ってしまうという事で、本当に鴻海にとってメリットがあるのかどうかも微妙です。下請けから脱却して新しい路線を突き進まないとというのは分かりますが、安い製品を中国で作ってくるモデルで急成長してきた企業だけに、自社ブランドを作って中国で販売すれば、競合他社の製品を受注できなくなる可能性もあるでしょう。

アップルの場合には、アイディアだけを考えて鴻海などに発注して、それをブランドを活かして販売するというマーケティング企業になっています。鴻海が請け負う企業というのは、大量生産をしている企業ばかりで、Apple側が鴻海に発注するのも安く大量に作る能力があるからです。シャープには、確かにグローバルに売り込む『ブランド力』というものは存在しており、鴻海がゼロから自社ブランドを構築する事を考えると、買うという判断もありかと思います。しかし、小米のように、機種を絞り込んで大量に売り込めば、今までのブランドがなくてもブランド力を構築できることが明らかになっている現実があり、1兆円とも言われる負債を抱えた倒産した企業を購入する鴻海の選択が正しいかどうかは不明瞭です。

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