パナソニックとシャープが経営危機に陥る理由

  • 9 July 2013
  • のぶやん
パナソニックとシャープが経営危機に陥る理由

家電の大手であったパナソニックとシャープの経営危機は、去るどころか深刻さを増しているようにも見えます。パナソニックは、5年前にあった余剰金1兆5千億円を使い果たした上に借金まで重ねて、2013年現在において1兆円の負債企業となっています。また、シャープも同様に1兆円もの負債を抱えており、海外の企業などから増資などを受けた所で、全く返済の見込みが立たない状況となっています。

どうしてお金もあって、企業で抱えるノウハウも沢山あったはずの日本企業が10年でこんなに醜い状況になってしまったのでしょうか?

パナソニックとシャープが経営危機に陥る理由

投資した時点では失敗とまで言えない?

パナソニックとシャープに共通している事は、自分たちの強い分野に強力に投資を傾けて高度化していったにも関わらず、市場が自分たちの強みと別の方向に行ったという事でしょう。言い換えれば、パナソニックのプラズマ技術が市場を支配できず、シャープの液晶技術は高価格すぎて中国や韓国の企業に負けてしまった訳です。

パナソニックは、自分の強みであるプラズマテレビに情熱を傾けて、シャープは液晶の大型工場に情熱を傾けました。経営の強みに情熱を傾ける姿勢は、後から見れば大きな失敗なのですが、当時の経営判断として間違っていなかったようにも見えます。関係ない分野に手を出した訳でもなく、「自分たちの強み」を最大限に活用しようとしたのです。しかし、時代の変化で強みを活用できない段階に入っていたという事です。

パナソニックのプラズマテレビ

パナソニックは、独自性のあるプラズマテレビ事業で世界の中心にあり、プラズマテレビが世界的に標準化されていれば、間違いなく今も世界の家電業界の中心にあった事でしょう。しかしながら、パナソニックのプラズマテレビは、液晶テレビに負けてしまって、他者が次々と液晶を中心とした生産を行う中で、パナソニックはプラズマテレビにこだわりました。今では、プラズマテレビを生産するのはパナソニック単体となりコスト高を招いています。

パナソニックが独自性が強いプラズマテレビにこだわるのは当然であり、それを主力に世界市場を支配したいというのは良く理解できます。しかし、実際に市場が2006年頃から液晶テレビに傾いた時点で、プラズマテレビからの撤退を早期に決める必要があったというのが後からみた結論です。プラズマテレビから撤退してさえいれば、黒字はでていなくても、1兆円以上の負債を抱える事は無くて、大きな経営危機に至っていない可能性はありました。

シャープの液晶テレビ

シャープは、パナソニックと違って液晶テレビで飛躍した企業で、「液晶のシャープ」と言われて、亀山工場がブランド名になるなど、国内を中心に高い知名度となりました。波に乗ったシャープは、更に液晶に対する投資を行うことに決定して、大阪の郊外に「堺工場」を1兆円もの巨額の資金で作りました。しかしながら、これがシャープの命取りとなりました。堺工場は稼動せず、年間1000億円もの巨額の維持費だけがかかる事になったのです。

現在のシャープは、既に破産寸前のところまできており、全ての工場が銀行の抵当に入っているという大変に厳しい状況です。会社の抱えた負債が会社の資産価値を完全に上回っており、会社が解散したとしても、銀行にお金を返済できないような債務超過の状況です。

得意分野が活かせない事実

日本企業の家電業界が突きつけられたもんだいは、既にハードで家電の日本企業が通用しなくなっている事実です。日本企業が担うのは、利益率が高くないとされる高度な部品をAppleなどの巨大メーカーに提供する「部品提供の企業」としての役割です。今までは、世界のブランド企業として活躍してきた日本企業が、1つの部品供給企業に成り下がってしまいました。

家電業界では、今まで日本国内で携帯電話会社と共同で開発されていた携帯電話もアップルとサムスンに完全に奪われてしまいました。この結果として、テレビだけではなくて、携帯電話、ビデオプレーヤー、CDプレイヤー、小型カメラなども売れなくなってしまいました。日本の家電業界は、今までのように多数の家電が売れる事がなくなって、全く売れるものがない状況に陥っています。

カテゴリ: 

Plain text

  • No HTML tags allowed.
  • Web page addresses and e-mail addresses turn into links automatically.
To prevent automated spam submissions leave this field empty.
CAPTCHA
スパム防止用です。記号をクリックして下さい。
Target Image

アドセンス広告

関連記事