日本型モデルにおける『資本を再分配』するシステムの崩壊!クラウド化する社会

  • 26 September 2017
  • のぶやん

日本における一億総中流というのは、会社の資本を使って経済活動を活発に行える個人によって支えられていました。基本的に会社という組織が『資本の再分配』の役割を果たしてきた訳です。どこかの会社に所属していれば、その資本を使う権利を有しながら経済活動を行って、会社の業績があがるとボーナスなどで受け取りながら昇進していく事もできました。

会社の資本を使わない形

最近では、会社に所属しない形で1ヶ月に1000円を稼ぎだすユーチューバーという業種が注目されています。基本的にどこかの会社に所属する訳ではなくて、Google社の資本であるサーバーを無料で利用して稼ぐというスタイルです。ここで日本人のユーチューバーに資本を提供しているのは、日本の会社ではなくてGoogle社であり、ユーチューバーが契約を行っているのもGoogle社です。

従来であれば、日本の会社が資本を提供している会社で日本人が働くという働き方が一般的でした。しかし、今日の働き方の特徴として、外国の会社がオンラインで資本を提供した上で、日本人がその資本を使って働くというスタイルがでてきています。日本の会社は、400兆円も内部留保を抱えていると言われていながらも、ユーチューバーのような人に資本を提供していません。この要因としては、日本の会社は、コントロール出来ない形で個人に資本提供を嫌がっているからでしょう。もし、会社に所属しない個人がユーチューバーの要に増えると、日本の従来からの会社組織(武家社会)が通用しなくなってしまう事を危惧しているからです。

アメリカで進むフリーランス化

アメリカでは、既に労働者の半数がフリーランスと言われるほど、個人が会社に所属しないフリー化が進んでいます。この背景として、アメリカ社会全体が個人と契約して働くというスタイルが定着してきているからです。企業としては、社員を抱え込む負担が少なくなるというメリットがあります。

アメリカでは、厳しい競争社会の中で、会社がずっと面倒を見てくれると考える人はほとんどいなくなっています。自分でスキルを磨かないと生き残っていけないと考える個人が多くなっているのです。

サービス需要の多様化

従来の会社組織のような形では、多様化した社会の情報ニーズに応える事が難しくなってきました。国境の意味がかつてに比べて小さくなって、ボーダレス社会になってきて、それに応じて需給の統一が以前よりも更に難しくなってきたからです。多様化した個人に応じる為には、サービスを提供する側も多様化している必要性が出てきました。

従来の会社という硬直化した枠組みの中では、個人が能力を発揮する事も難しくなっており、本来は活用されるべき人間の想像力が活かされず、高等教育が無駄になっている現実があります。サービスの質が良いか悪いかを決めるのはサービス受け取り手の方であるという基本にあります。ユーチューブでも、芸能人の動画よりも、一般のユーチューバーの動画の方がアクセスが集まっています。

データセンターを使う個人・企業

世界中にあるデータセンターは、個人でもレンタルする事ができて、そこに自分で情報を設置する事ができます。クラウドのスペースは、誰でも簡単に借りる事ができるようになっているので、ある程度の技術力があれば、ホームページを設置する事ができるようになっています。特にスマートフォンのソーシャルゲームが流行して以降、データセンターの需要が急増しました。また、アメーバTVのように企業がサービスを提供する為に月額で数千万円のデータセンターを借りる会社もあります。

外国人が自国のデータセンターを使ってくれれば、海外旅行に来て貰うのと同じように外国から収益を得る事ができるようになります。人口が限られた国でビジネスを行うよりも、グローバルに展開してデータセンターを提供した方が、ビジネスとしての効率が高まります。

IT業界がレッドオーシャン化

インターネット業界は、当初は参入する会社が少なかったので、利益率が高い状況にありました。しかし、最近では,インターネット業界がレッドオーシャン化してきています。スマートフォンが出始めた当初には、容易に開発できるソーシャルゲームが多かったのですが、最近では開発期間が1年を超える事も出てきて、開発費も10億円~20億円もかかるソーシャルゲームも出てきました。この金額と言うのは、もう手間のかかる映画1本を制作できてしまう製作費です。

ソーシャルゲームの開発費用は、そんなに簡単に回収できるものではありません。月額1000万円の売り上げでGoogle社に30%を支払い、残り700万円から人件費、サーバー代、広告費などを引くことになります。ヒットしないタイトルは、運営費が無駄と判断されて1年以内にその多くがクローズになってしまいます。それでもヒット作を求めてソーシャルアプリを作り続けるような状況が続いています。各社が特に力を入れた注目アプリでランキング圏外が沢山あって厳しい状況です。競争が激しくて、全てユーザー次第という事になっていますが、今でも参入している会社は相当に揉まれていろんな点で強くなっています。

ウェブサイト・携帯アプリにしても、2007年にスマートフォンが出るまではパソコン版を作れば良かったのですが、今ではスマホ版のResponsive、アプリ化まで必要になるなど、様々な端末デバイスを試す必要があって開発にコストがかかるようになってきています。それ以上にヒット作を作るのが難しくなっています。開発の難易度以上に、マネタイズする為のハードルが上がっています。

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