サラリーマンを退職すると『高持百姓』から『水呑百姓』に転落する?!

  • 6 July 2017
  • のぶやん

田畑を所有していない農家を『水呑百姓』と言って、非常に貧しい状況にあったという事です。水呑百姓というのは、検地帳に登録されない日雇いなどの下層農民とされていて、その日暮らしの生活をしていたので、今で言う日雇い労働者のような身分にあたるでしょう。現在、日本では日雇い労働者の労働形態に近い形の期間限定雇用(非正規雇用)が急増しています。非正規雇用は、アルバイト並の収入しか得る事ができません。

1873年地租改正などの貨幣経済が発展した結果として、土地の収穫量が減ったり、米価格が価値が下落した時の備えとして、地主などは株式などに資金を移しました。一方で、農家はそのまま農民であったので、格差が拡大していきました。現在も、その時と同じような状況になっていると考えられます。国内の工業が衰退して、サービス産業に移った結果、労働価値が下落したのです。

貨幣経済による共同体崩壊

日本の長く続いた農村部の共同体を崩壊させたのは、地租改正による税制にあると言われています。地主の力が強くなり、地主はその土地に興味を持たずに金銭を吸い上げて、納税していればいいという状況になりました。この結果として、農村地域における共同体が崩壊しました。

かつての百姓身分としては、本百姓、脇百姓、水呑百姓があって、現在のサラリーマンの正社員、派遣社員、アルバイトみたいなものでしょう。本百姓は、土地を持って税金を負担し、役の負担もあります。脇百姓は、土地があって税金は負担しますが役を負担しません。水呑百姓にいたっては、土地がないので税金も負担しません。脇百姓、水呑百姓は、役の負担の代わりに隣村への伝達などを行っていたという事ですが、村の正規構成員とは認められていませんでした。

貧しくなって行く非正規雇用

非正規雇用というのは、それ自体はサラリーマン小作農という位置づけですが、所得から見るとかなり貧しい労働者になるので、特に都心部などに住むと日暮らし状態で資産がなくて、無形資産層でも最下層のような暮らしぶりになってきます。資産を持っていないという点においては、かつての水呑百姓と同じようなもので、非正規雇用の特徴として『全く土地を保有せずに誰かのお手伝いをして賃金を得て何とか生活している』という状況にあります。

日本では、会社が税金を支払うというシステムであるなど、村請け負いのシステムが社会の中に今でも見られるところもあります。高持百姓(検知で登録された土地を持つもの)から転落すると、水呑百姓に転落して貧しいことになりました。江戸時代では、富を蓄積していく百姓は、村方地主に変貌したのちに豪商に変貌していく事になります。

貧困化している非正規雇用

非正規雇用は、アルバイトと同じく時給制で働いています。都会で年収200万円を下回る水準であり、田舎で時給750円で8時間働いても6000円、20日働いても12万円にしかなりません。12万円で実家以外の場所に住んでいた場合には、家賃光熱費で3万円、更に田舎だからと自動車を維持しているなら維持費で月2万円、税金・社会保障1万円、手元には6万円しか残らない事になり、その中から食費などを出すと、ほとんど手元に何も残らない『水呑百姓』の状況になります。これに消費に対しては、消費税8%がかかります。

現在、このように田舎で月額12万円ほどで暮らす若者が急増しており、その結果、若者の消費力と購買力がほとんどない状況になっています。中央政府では、このような実態を数字でしか捉えていないので、実態を良く分かっていない可能性があります。

資産を使えない為に水呑百姓に転落

日本の場合には、戦後に会社に所属する場合には、会社の共同体としての意識を持って終身雇用が行われるという事が続けられてきました。このシステムは、日本の農村部の共同体のようなシステムを構築していました。しかし、時代が工業からサービス業に変化してくると、会社側が海外に工場を移転したり、人員を削減する必要性に迫られてきました。そこで共同体である正社員から追い出されると、たちまちのうちに非正規雇用の水呑百姓に転落するという事が起こりました。

そもそも、終身雇用が保証されているという事は、労働者がその企業に長期的にコミットして、配当としてのボーナスを受け取る権利を保有しているという事になります。会社員を辞めると、ボーナスを受け取る権利(配当を受け取る権利)が消失するので、かつての土地のような資本を失ってしまったのと同じような扱いになってしまいます。

最近の企業は、従業員のものであった企業から株主のものである企業に変貌を遂げてきました。その結果として、労働組合の弱体化、非正規雇用などボーナスなしの労働者の急増などがあります。経営体力を維持する為という名目で削減された給与は、元に戻る事がありませんでした。経営者側は、従業員のボーナスよりも配当を出す事を優先するようになってきました。

収益性のある土地を保有する

収益性のある土地を保有するのは、誰にでも簡単に出来る事ではあります。例えば、証券会社を通じて株式を購入すれば、それは配当を受け取る事に繋がります。ボーナスを受け取る事が出来なければ、自社の株を買って配当を受け取ればいいという事になります。しかし、100万円の株式を購入して受け取れる配当は、3%だとしても3万円でしかありません。配当金だけで生活するには、1億円ほどの投資が必要という事になってしまうので、庶民としてはあまり現実的ではありません。

土地を捨てた人で、サラリーマンのボーナスもなくなった人は、まさに『水呑百姓』とも言える存在になる訳ですけど、それを回避する方法は、株式投資よりも事業投資の方が現実的という事になるでしょう。ただし、事業投資にしても株式投資と同じ問題に直面する事は確実であり、最初に先ずは自分の収入を稼ぎだす事すら大変です。特に経済が伸びていない状況では、収入を稼げなければ、下手をすれば借金まみれになって事業が失敗する可能性もあります。

今の先進国の経済は成長しておらず、何かをやれば成功するほど簡単ではなくなっています。限られた中で自分の生活費の利益を上げる為には、他の人から利益を奪ってこないといけない状況になってきています。つまり、従来よりも経営効率化によって効率化されて機械化によって大量の物量を投下しないと勝てなくなってきているという事でもあります。

年金を受給するの権利

高齢者は、年金を受給して生活を行う訳ですが、労働者が激減していく中で社会保障と言うのは国の財政を大きく圧迫していく事になります。年金を交付するのは、年金基金の運用益と言う事になっていますが、国内経済が発展しない中で運用益がでないので、税金で補填していく結果、増税を招いて経済の足かせになるのです。年金基金は凄まじい勢いで激減していて、年金受給者は既得権益と化しています。本来、ここが国政の問題にもなるべきところですが、少子高齢化で高齢者の投票率が高い中で争点にならない点となっています。

資本はどんどん移動する

資本の場合には、お金のようにどんどん流動性を持っていきますが、人間は能力を変化させたり簡単に働く場所を変えたり(海外でいきなり働いたり)する事ができません。つまり、資本は移動しますが、人間は移動する事ができないので、『移動がができる資本』の方が強いという事になります。経済条約が締結されるなどして、資本の移動化が自由化されていく中で、労働力の移動化だけが自由化されていません。

ノマドワーカーという思想が発展したのも、資本が移動する中において、人間の移動が容易ではないリスクが高いので、それをクラウドを使う事によって移動を容易にしようという流れでもあります。クラウドを用いるノマドスタイルにする事で、人間の移動も自由化して、それによって労働力固定のリスクを低減するというものです。

ビジネスモデルが変化する

例えば、証券会社の営業マンは、インターネット証券ができた事によってなくなると言われてきました。実際、証券取引所における『立会人』の仕事は、コンピューターが行うようになったので消失しました。今では、銀行もインターネット証券ができているので、業務が少しずつ不要になっていくと言われています。教育分野においても、インタネットでコストダウンしていきます。資本がある多き会社ほど安全とされてきましたが、ビジネスの方法が大きく変化すると、会社自体の役割が一変する事が分かります。世の中にその会社自体が必要なくなり、従業員は全くいらなくなるのです。

例えば、今まで証券営業マンだった人は、それしか知識がない場合にビジネスモデルが変化すると生活できなくなってしまいます。特に同じ職場で1つの仕事ばかりやっていた場合には、時代の変化に対応できなくなる可能性が大きいと言えるでしょう。人間の技能は、そんなに簡単に変化させられるものではありません。

低金利による企業延命の問題

グローバル化でジワジワと苦しい大企業が現れるようになってきている中で、政府がその企業を潰さない為に低金利政策を行った場合には、大企業は非常に低金利で『延命』を行う事が出来るようになってしまいます。低金利だと、借金が膨れ上がったとしても、非常に僅かな金利だけ支払っていれば、潰れる事がないという状況に陥りますが、生産性が低いゾンビ企業を生き残らせる事になってしまいます。

世界の先進国は、低金利にする事で既存の企業を温存しようとしています。本来、潰れるべき競争力がない企業が潰れない事で、ベンチャー企業などが育つ環境がなくなり、生産を行うのではなくて借金でビジネスを行っているような状況になっています。また、それと同時にアベノミクスのように株価を釣り上げた場合には、上場企業で経営者が経営責任を問われることもなくなり、ますます社会がゾンビ企業だらけになるという問題を抱えています。

既にベンチャー企業などが経営効率化で既存のゾンビ企業を完全に倒しているのにも関わらず、低金利+株高でゾンビ企業は倒れないのです。低金利+株高だけならまだしも、そこに政府の補助金まで加わって既存企業を救っていくとなると、もはや目も当てられません。テレビ局は、視聴率が10%以下で低迷している番組が続出していますが、なかなか潰れません。Youtuberが大量の動画を出して、人々がそちらを見るようになってからは、経営状態が悪化している事は間違いありません。

効率化でビジネスモデル変化させる

アマゾンの場合には、効率化というよりは、大規模工場に投資し続ける事を競争力にして他社からシェアを奪う事を優先しています。任天堂は、スマートフォンで遊ぶ子供たちが増えた事によって、家庭用ゲーム機の立ち位置が問われる事になりました。

ビットコインを多くの人が利用すると、国際送金などが簡易化・容易になるので、銀行業務が大幅に減少すると言われています。また、窓口業務などもほとんどなくなってくるとされていて、銀行員は失業するとも言われています。今は、町中に銀行があり、銀行員が高給取りになっているおかしな状況ですが、この経済のコストとも言えるところが改善差sれれば、世の中の多くの人の暮らしがより豊かになるでしょう。

非効率を打破していく

テレビ局の番組を見ていて、『こんな番組であれば、コストをほとんどかけなくても作れるよね』という事があります。多くの日本人は、テレビが大好きですが、最近ではインターネット動画が急速に発達しているので、テレビを見る必要性がますます薄れてきています。既存のテレビ局の中には、フジテレビのように苦境に陥るテレビ局も出てきています。視聴率を上げようとしても、なかなか簡単に視聴率が上がらなくなってきているのです。

最近のアメリカでは、長時間労働が状態化しており、日本字により働くようになっているとされています。中国などの安い労働力に押されているというのが最も長時間労働が必要になる理由でしょう。労働者が同じ作業ばかりしていると、下手をすれば、労働者の仕事自体がなくなってしまいます。仕事がなくならないにしても、賃金が半分以下になるというのはあり得るでしょう。

高給のパフォーマンス出せない

ファンドマネージャーがインデックスに勝てないという事が明らかになっていて、インデックスに投資した方がファンドよりも儲かるというのは、もはや世界の常識になっています。そうなってくると、ファンドマネージャーは、単に高給取りの役立たずと言う事になります。学校の教員にしても、学生のパフォーマンスが出せない教員よりは、ビデオ学習の方が学生に良いという事もあるでしょう。また、テレビ局で多くの人が利用するインターネットよりも面白い情報を出すという事が極めて難しくなってきています。

高給を貰っていると、自分の能力はそれに見合ったものだと当然のように考えてしまいがちですが、実際には、既得権益に守られているだけで、社会の能力に対応できていないという事も良くある事です。テレビ局などが製作する番組は、その100分の以下で作られたYoutuberの動画よりも視聴率が悪かったりするのです。お金をかけて、それなりのタレントを配置すれば、そこそこの番組が出来て当たり前ですが、それが面白いと思われずに視聴率が取れないんですね。Youtuberのような人たちが中高生に人気になる中で、従来のようにウケが良いタレントを出せば話題になったり、皆が見たりするような時代ではなくなってきています。ぜい

税金の無駄使いクールジャパン

日本では、いろいろな補助金を付けて既得権益に税金を分配するという事が良く行われています。その一例がAKB48を優遇したクールジャパンと言われる政府が推進していた日本コンテンツのゴリ押しです。そうやって政府に接近して税金を吸い上げて、癒着体質でやっていると、その時は良くても競争力というのがどんどん失われていきます。旧ソ連のような体質になっていく訳です。

クールジャパンと言って、関わる人が50代ばかりという状況になり、日本の事を考えているふりをしながら実態は自分たちが税金の吸い上げ方を考えているだけだったりするわけです。

本当のクールジャパンはこういうのを指してますね。


こういうのをクールジャパンというのなら理解できますが、AKB48みたいなお遊びをクールジャパンなどと売りだす発想が理解できません。

顧客を動かすレバレッジ

LCCでは従業員が行う所を少なくして、顧客側の負担を大きくすることでコストを抑えています。SNSの人気アカウントになると、ひとことをつぶやくだけで、フォロワーから共有・拡散が起こるので効率的に多くの人に見て貰う事ができます。

インターネットでは、最初に顧客の囲い込みに成功したサービスが圧倒的に有利とされていて、例えばLINE社が日本における個人間の連絡ツールとして圧倒的なシェアになっているのは、最初に多くの人の囲い込みに成功したからでした。

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