寄付によるメディア運営は、長期的に成立しないか。IWJの経営危機にみるメディア運営の難しさ 

  • 17 March 2016
  • WEB情報屋

寄付によるメディアの運営が活発化していますが、寄付によるメディアの運営は成立しないと考えています。それは、『メディアが経営効率化の努力をしないから』という事にあります。寄付を貰う事によって、メディアというものは、大手メディアが伝えないような情報を伝えようと努力はするでしょうが、独立採算は会員数が増えないと安定しないという事になります。

ニコニコ動画というのは、会員によって支えられていますが、投稿者が大量に存在しているという事も見逃せません。人を集めるような魅力的な投稿者を集めることは、ユーザーを増やす上で何よりも大切になりそうです。


 

寄付による運営の限界

現在の日本においては、寄付で集められるお金というのは、寄付文化がそれほど発達しているとも言い難いので限界があります。アメリカで、バーニー・サンダースは、選挙で個人寄付100億円以上も集めたとされていますが、日本で100億円以上も集める事は至難の業と言うよりは、ほとんど不可能と言えるでしょう。日本では、それほど寄付文化が根付いておらず、特に大口寄付を行う人・企業が少ないという特徴があります。

アメリカの場合には、大口の個人寄付があるので、100億円という莫大な金額を集める事ができますが、日本で市民運動に関わるような人は、小口寄付になりがちで、1回の集会で1000円単位の寄付が普通です。それで集めれられるのは、50~100万円ぐらいのもので、人件費を使ってしまうと厳しい運営が予想できます。首都圏反原発連合に至っては、週に1回の行動を続ける為に常任スタッフを決めて、報酬を出していますがウェブ上で会計報告が2013年からなされておらず、不明瞭な会計となっています。

多額の寄付によって運営されるIWJ

IWJは、寄付によってかなりの運営費を賄っていますが、毎月の会員が出す会費と、寄付だけでは不足しており、毎月300万円ほどの赤字が出ているということです。6割が会費という事ですが、4割を寄付に依存しているという事で、会社の経営としては非常に珍しいほどに寄付の割合が高い事が分かります。IWJの運営を継続する為には、寄付金を毎月100万円~300万円の単位で集めないといけないということらしいのです。

岩上さんの話では、経営を寄付に依存しているIWJに融資する銀行はないという事で、2013年度(2012年11月1日〜2013年10月31日)の決算収支で400万円の赤字に転落を報告しています。岩上さんが個人のお金をIWJに向けて貸し付けている状況になっていて、2013年10月末時点で2,729万円ほどIWJに岩上さんが貸し付けているという事です。岩上さんは、役員報酬もほとんどカットしており、税金も支払っているので、ほとんど無報酬で働いているという事です。しかも、IWJに貸し出したお金がIWJの運営に消えてしまっていて、返済の見込みもありません。
 

ざっくりと申し上げますが、IWJはこの数ヶ月、財政が急速に悪化、ピンチに見舞われています。原因は毎月のご寄付・カンパの低迷です。昨年の夏から始まった今期、夏から秋は好調でしたが、冬に入り、ご寄付・カンパが件数・金額ともにガクンと減り、年が明けても回復しません。もちろん、毎月、いろいろな方にご寄付いただいております。支えてくださっている方々には、心から感謝申し上げます。 ただ、やはり、この5カ月あまり、ご寄付・カンパの件数と金額が少なく、非常に厳しくなりつつあるのは事実です。

現在の会員数は3月6日時点で5703人。サポート会員は1540人、一般会員は4163人と、会費だけで運営する理想のラインには、まだまだ足りません。現実の支出と、会費収入との差額をこれまで埋めてきたのが、皆様からのご寄付・カンパでした。IWJの活動運営費は、現在、約6割が会員の皆様からの会費、残りの約4割がご寄付・カンパなどのドネーションに頼っております。IWJの現在の活動規模ですと、年間通しての支出が、特別な出費のない限り、全部で1億4500万円程度。
http://iwj.co.jp/info/whatsnew/post/19919

Ustremを使ったビジネスの限界

IWJは、会費・寄付を使ってUstreamでリアルタイムで配信するというビジネスを行っていますが、このモデル自体が古いものになっているのです。Ustream自体が日本から撤退しており、日本人にますます馴染みのないものになっています。言い換えれば、会員からすると、Ustreamで配信されても、リアルタイムでは仕事があるかもしれませんし、見ないと思います。

今では、DOMMUNE (ドミューン)の配信においても、UstreamではなくてYoutubeを使っています。Youtubeの配信でSEALDsが視聴者2万人とか集めていて、それで経営が成立しています。多くのユーザーを考えるのであれば、Ustream配信よりも、Youtubeのライブ配信を増やしていった方が良いと考えられます。特にインタビューなどの記事であれば、Youtubeのライブ配信が良い事は明らかでしょう。Ustreamは、特に日本において全く流行らない配信システムになっており、一般的でない配信システムなので、辞めた方が良いでしょう。

IWJは、Ustreamではなくてツイキャスを使っての配信を考えているようで、実際にツイキャスによる地方ボランティアの配信が多くなってきています。ただ、ツイキャスの配信というのは非常に画質が悪い場合が多いので、ツィキャスで配信するのも問題が多いでしょう。リアルタイムだけではなくて、Youtubeの録画配信などでも、画質が綺麗であれば問題がないような気がします。

若い女性を活用すべき

2012年7月には、八幡愛さんをリポーターとして現場に立たせていたこともあるのだし、もっとこういう注目を集めそうな女性を起用したり、民放のように大学生記者を起用したりすれば、注目度も変わってくると思うんですけどね。実際に報道番組などでは、サポーターとして女性記者を使っているところは結構ありますからね。

引用:http://ameblo.jp/aiainstein/entry-11302023283.html
 

無料記事の配信で稼ぐ必要性

Ustreamなどの動画配信は、多くの手間がかかりますが、お金にする事が難しいシステムです。IWJのメイン収益としては、会員向けの有料記事の配信ですが、これは会員が増えるような独自性のある記事を配信しなければいけません。会員が見るような独自性のある記事とは、具体的には著名人に対するインタビュー記事であったり、政治にこだわらない対談などがあると思います。政治を中心にしたウェブニュースサイトの会員になるような『コア層』だけではなくて、政治以外にも興味がある(例えばファッションなど)層をいかに取り込むかという課題があると考えます。

記事に対して広告を付けて稼ぐ必要性があります。IWJでは記事も配信していますが、記事の閲覧者はそれほど多いとは思えず、もっと無料記事の方でも独立採算を取っていく必要があると感じます。記事に広告を掲載して運営するメディアの場合には、スタッフの数は多くて数名で回さないとやっていけないでしょう。つまり、40名ものスタッフを抱えているとするIWJは、明らかに過剰人員が多すぎるという事になります。
 

無料記事の大量配信の重要性

無料で記事を大量に配信する事は、有料記事を配信する事と並んで重要になってきます。何故ならば、無料記事を配信しなければ、有料会員を集める為には、他社に広告を出すなどのコストがかかってきてしまうからです。有料の会員を大量に集めるには、それだけ無料記事を増やしていく必要があります。この為にニコニコ動画も、ニコニコニュースを持っていたり、GreeがGreeニュースを持っているなど、ニュースで多くの人にアプローチをかけようという試みが行われています。

IWJに関しても、無料の記事をさらに増やして閲覧者を集めることが求められますが、そのコストも多大にかかってくるでしょう。動画の書下ろしなどで検索エンジン対策を行うなど、コストをかけない形での無料記事の大量配信を行う事が求められます。産経新聞に関して言えば、無料記事の大量配信を行っており、他社よりも様々な記事をウェブ上に大量に配信するという特徴を持っています。
 

多様なメディアの発達

インターネット上には、多様なメディアが発達していており、新聞メディア・TVメディアのみが多くの人に情報を発信する時代ではなくなってきています。特にインターネット・スマートフォンで情報を得る人が増えており、検索すらせずに『スマホアプリ』を使って情報を閲覧する人が増えています。Youtubeで稼ぐ個人であるYoutuberの存在も大きなものになってきています。その中において、フェイスブックは、まだYoutubeのように動画の配信に対して個人に広告を分配する方法をとっておらず、この事はYoutuberをYoutubeに留まらせる事になっています。今後、フェイスブックがYoutuberのように動画配信を行うようになれば、かなりのYoutuberがFacebookにも移動してくるものと見られています。

Facebookは、現在でも動画の広告収入の分配を行っていますが、その条件として『オフィシャルパートナー』であって、他のサイトに動画をアップロードしないこととなっています。これが一般にも適用された場合には、独占禁止法に接触する可能性がある内容であり、独自のコンテンツがフェイスブックのみにアップロードできて、Youtubeにアップロードできないという事には、Youtuberがどちらかのサイトを選ぶことになる可能性もあります。フェイスブックは、実際には若者の間で『オワコン化』しています。見ている多くのユーザーが35歳以上であり、オッサンSNSとまで呼ばれています。10代の半数が持っているフェイスブックのアカウントですが、実際にはあまり投稿をしていない10代が多いという事です。

今、何が流行っているかという事を考えたとしても、その答えは見つかりづらいでしょう。Vineが流行っているという人もいますが、6秒の動画を見たことがある若者は多いにも関わらず、動画をVineに投稿した事があるユーザーがほとんどいないというのです。Instagramが流行っているという人もいて、確かに流行っていますけど、私の周囲ではまって使っている人は『イケてる女性』ぐらいのもので、男性の利用率は高くないし、そもそも写真で自分をアピールしないといけないというのは、芸能人ならまだしも、自分が使っていると飽きるサービスです。

日本だと稼げる『芸能人ブログ』などをやっている芸能人は多いですが、Instagramをやる芸能人は少ないですね。突破口がない売れない芸能人などは、自分をブランディングするInstagramとかやった方がいいと思うんですけどね、事務所に営業を任せてるだけでは、成長しないでしょうに。
 

市民メディアのあり方の変化

市民メディアというのは、ここ5年ぐらいで大きく変化してきました。2003年ぐらいにブログやAdsenseなどが出た時代から更に発展して、Youtuberで稼いだり、NAVERまとめで稼ぐなど、個人でも稼ぐ方法というのが多様化してきました。その中で、記者を使うというのがコスト的に割に合わなくなってしまっている事は確かです。取材の記者を派遣すれば交通費がかかって、それに人件費がプラスされて、最低でも1万円~3万円がかかってしまいます。こんな割高な取材ができるのは、購読数が多い大手新聞社ぐらいですが、その大手新聞社も赤字に苦しみ始めています。

日本では記者クラブに加盟していないと記者会見に出席できないことが多く、市民記者が十分な取材活動を行えないことがある。 「オーマイニュース」が終了した際、フリーライターの赤木智弘は、自らのブログで、「人を安く使ってメディアを運営できると思う考え方は派遣業者を使う企業の新自由主義理論と何ら変わらない」と指摘した。(Wikipadiaより)

最初のうちは寄付に頼るのはありだと思いますが、数年したのであれば、経営感覚を持たないと会社としてやっていくのは厳しいという事だと思います。寄付に頼らないように会員に依存するというのはありですが、会員の方も支払うメリットがないと思えば、月額1000円を定期でずっと支払い続けるのは厳しいと思う人も多いでしょう。IWJを解約するのであれば、新聞を解約した方が良いと思いますが、地方紙の場合には数少ない地方情報が掲載されるので、解約するなら全国紙ですね。

投稿プラットフォームを作る事が大事

市民が誰でも投稿して『稼げる』と思えるプラットフォームを作る事が何よりも大事になるでしょう。NAVERまとめのようにインターネットを用いて市民にお金を配るようにしていかないと、コストが高くつきすぎます。言い換えれば、従業員を雇って取材をさせると、アルバイトだとしてもコストがかかりすぎるので、従業員を雇わずに現場にいる市民が取材を行って、その人にお金を支払った方が明らかに安上がりになるという事です。これは、Youtubeなどで市民が勝手に配信するのが安上がりという事を示しているので、企業としては『その動画をまとめあげる』というプラットフォーム化する事が最も安上がりという事になります。もしくは、カメラだけを貸し与えて、マニュアルと一緒に送付して、撮影して貰うという方法もあるでしょう。

1人がITを使って効率的に作業を行う事が出来れば、非効率なアルバイトの数倍の生産性をあげる事ができると考えられます。取材するのではなくて、市民が取材した動画をまとめあげるポータルを作る事で、同じサービスが提供する可能性があります。

カテゴリ: 

Add new comment

Plain text

  • No HTML tags allowed.
  • Web page addresses and e-mail addresses turn into links automatically.
CAPTCHA
スパム防止用です。記号をクリックして下さい。
Target Image

関連記事


税金の無駄使い3兆円東京五輪は中止