日本病の正体とは?人口増加で『経営者が無能』で成長できた経済の終焉
日本の場合には、戦後から2004年まで人口増加を続けてきて、島国という閉鎖された環境でどんどん人口増加したので、アメリカの資本導入などをしながら開発を進めれば経済成長したのは当然でした。しかし、人口増加を更に上回る急速な開発を行って、そのツケを国民が支払う事になり人口増加が止まりました。その人口増加が止まった瞬間、日本の経済成長はゼロとなりました。
デービッド・アトキンソンさんはNHKの番組で『生産性はあまり良くないんですけども、ただ人口の多さで勝ってるわけですから、そうするとどうしても人口的な数だけで、表面的な数字が押し上げられているような状態』と話しています。人口が減少すれば、日本の国力も自然に落ちていくと考えられます。
無駄に使われる労働力
日本人労働者の多くが派遣社員・アルバイトのように極めて労働生産性が低い仕事しか従事しておらず、そうすると賃金勝負だけになってくるので、長期的な目線で見ると、中国など労働人口が多い国と競っていく事になります。また、女性が働きづらい環境にあって、大学を卒業する女性が増加しても、仕事が部長のお茶くみだったりするのです。
日本の戦後の組織のあり方は、個々の能力を最大限に発揮させるより、組織の都合に応じて人材を使うという状況になっていました。適材適所と口では言いながら、本人の能力や希望を十分に見ないままに人材配置される例が沢山あり、それでも組織として回っていればOKでした。しかし、こうしたやり方では、国際競争力が強まる中で、新規ビジネスなどを始める時に社員の能力不足が起こってくるようになりました。
経営者の能力が極めて低い
デービッド・アトキンソンさん『ある意味で、この高いスキルなのに、ここまでの生産性しかできていない日本の経営者は、奇跡的な無能なんですね』と言いきっています。日本において、経営者の能力がこれほど低くても経済成長してきた理由は、やはり人口増加に伴う経済成長があったからでしょう。バフェットが株を買う時には、バカが経営者になっても収益があがる株を買えと言うそうで、日本の大企業の経営スタイルにぴったりです。日本では『誰が総理大臣になっても同じ』と言われた時代も過去にありました。
従来、日本の経済成長で既得権益を守り続けてきて、インフラなどで収益をあげてきた企業ですが、日本の人口減少とグローバルの国際競争に伴って、経営者に能力が求められるようになってきました。三菱重工は、原発ビジネスが頓挫したので、慌ててクルーズ客船を受注したり、MRJを作ったりしていますが、どれもうまくいきませんでした。今まで社員も既得権益で食ってきたので、グローバル社会の中で技術力が落ちている事に気づかず、新しいビジネスも行ってこなかったツケが出てきた訳です。
個人の能力発揮がポイント
日本では、能力値が高いにも関わらず、それを発揮されると困る人たちが個人の能力発揮を妨害しています。その最も分かりやすい例が首相が3代目の世襲である安倍晋三であったり、東京オリンピック会長が森喜朗だったりするという事です。勉強もしない無能な人たちが組織のトップにいる時点で、その組織がいかに終わっているかという事を知ることができます。実際、東京オリンピックでは賄賂で誘致された事が明らかになり、エンブレムなど沢山の問題が出てきました。
これからの時代には、個人・個人がどれだけ実力を発揮できるかという事が個人、会社、国全体にとっても非常に多きなポイントになります。日本では、能力があるにも関わらず、派遣社員、アルバイトで働いている人は沢山います。そうした人に能力を伸ばすチャンスを与えていかなければ、国の生産性が高まりません。
会社が正当に評価できない
従来の会社というのは、個人の能力発揮するのに向いていません。それは、成功しても従業員というだけで、大きな報酬が得られないので、誰も本気で会社の為に働こうなどと思わないからです。日本人の多くは、昇進・昇格したところで給料が増えずに仕事が増えるだけなので、昇進・昇格しなくても平のままでいいと考える始末です。
個人を評価するのは、会社が行う事ではなくて、あくまで多くの顧客が行うべき事です。例えば、人気の歌手が路上から出てくるのはその典型で、路上で人気になったライブパフォーマンスが評価されて、社会的に影響力を持つという事が良くあります。路上ライブが禁止された国では、このような優秀なアーティストの発掘機会が損なわれてしまいます。
路上ライブの面白さというのは、自分たちで作詞・作曲した曲を演奏するなど、自由度が非常に高い点です。そして、その曲が良ければ立ち止まる人もいるし、その曲が良くなければ無視されるというシビアな世界です。その中で観客を惹きつけるには、それなりのかっこ良さが必要になります。
会社が従業員から奪う経済
日本では、国民全体的に教育の水準が高いとされていながら、その教育した人たちを会社が潰してしまうという問題があります。会社に新卒として入社すると、軍隊のように画一的で没個性になってしまいます。組織の歯車が求められて、個性的な人は排除されるようになっています。しかし、従来のような会社のあり方では、新しいことにチャレンジできず、会社として新規事業が出来ずに社会の中で没落していくという可能性が出てきました。
日本においては、他の諸外国に比べて大学入学の平均年齢も極端に低くなっていて、高校卒業後にすぐに大学に入る人が圧倒的に多いのも特徴です。本来は、人の人生というものは多種多様であるべきですが、日本でやり直しがしづらい雰囲気があり、それが多くの人のやる気を削いでいると考える事もできます。教育機関に何度でも入り治せるようなシステムづくりも必要になってくるでしょう。
このように硬直化した経済になるのは、この方が既得権益を守るものにとって都合が良いからであり、経済成長していた時はそれを多くの人に少しずつ分配がありました。日本の経済成長しなくなったにも関わらず、この既得権益のシステムだけが継続された結果、日本の国債残高が膨れ上がったり、少子高齢化など、国家にとって深刻な問題を生み出しています。
大企業の内部留保400兆円
日本の大企業を合わせると、内部留保が400兆円にも達するとされています。何故、このように日本の大企業がお金を保有しているにもかかわらず、投資が行われないかと言えば、社内以外にお金を使って損をしたくないという心理が働いているからです。会社として、社会から吸い上げたお金を社会に還元しようとか、お金を新しい投資を行ってベンチャー企業を成長させようと考えていません。大企業があてにしているのは、国の補助金などで、自分たちのお金を使わずに国のお金で何とかしようと考えています。その結果、社内にお金が積み上がっても、社内の技術力が落ちるなどして、外国のグローバル企業から脅かされるという事に繋がっています。
インターネットというのは、双方向コミュニケーションが強いので、Google社のYoutubeのアドセンスプログラムのようにユーチューバーにお金を渡すことで『誰にでもチャンスがあります』という事を提示すれば、多くの人が参入して自分が稼ごうという人が現れます。また、NAVERまとめのようにお金を個人に渡すシステムを構築できれば、個人が成長できる可能性を求めて自主的に参加してチャンスを試そうとしています。
日本企業は、お金があるにも関わらず、このように誰かにお金を渡してチャンスを作るという事業を行おうとせず、自社で全てを囲い込もうとして利益を独占しようとする傾向があります。DeNAのWelqは、アルバイトを安く使ってコピペ文章を作らせて自社で利益を独占しようとして炎上しました。
チャンスを与えないから儲からない
今、小学生は『将来ユーチューバーになりたい』と人気の職業3位にランクインされています。このように人気になっているのは、特定の企業に所属せずに『自分らしく生きている』と多くの小学生が感じているからでしょう。日本企業に所属して頑張って働いたとしても、大きく儲かるチャンスがなくて、生活はそれほど豊かでもないという事に多くの小学生が気が付いているのです。
どうして日本企業が多くの国民にチャンスを与えたがらないかと言えば、国民が自営業者として育ってしまうと、それ自体が成長していくと、今までの利権支配者の脅威になってしまうからです。しかし、グローバル化の中で外国資本の企業が日本人に対してチャンスを与えていった結果、ユーチューバーであったり、NAVERまとめで生活する人も出てきました。そして、それは将来的に日本のメディアを簡単に潰す結果になっていくでしょう。
会社が人を雇用すると世の中から評価される時代というのは、もう終わってきています。日本における失業者は非常に少なくて、完全雇用に近いような状況になっていますが、それでも給料は上昇しないのです。これから評価される会社といのは、人を雇用する会社ではなくて、人を伸ばせる会社であったり、能力を引き出して収入を上昇させて本当のWin-Winになっていく会社でしょう。
日本の企業がジワジワ潰れる
日本の財閥系企業は、自分たちに従わない個人・企業に成長してほしいとは思っていないのです。日本で出世するのは、その組織に完全に忠実である犬のような人間だけで、それが能力よりも優先される社会構造になってしまいました。その結果、ホリエモンのライブドア事件ように本人を逮捕・投獄してから、日本におけるベンチャー志望者も急速にしぼんでいく結果となりました。
現代社会における需要は多種多様になっており、社員にも多種多様の人材がいないと多くの人の需要に応えて企業を成長させていけないのです。ベンチャー企業であれば、ある特定の分野に絞り込んでサービスすれば良くなりますが、大きな企業になると、多種多様なニーズに応えたサービスを求められていきます。社員をあまりに画一化してしまうと、そうしたニーズに応えたサービスができず、結果として顧客離れを引き起こしてしまうのです。
カメラ製造会社のニコンは、2013年3月期の売上高は1兆104億円ありましたが、2016年3月期には8,229億円にまで減少しています。得意のカメラ製造は、コンパクトカメラの市場をデジカメに取られて、新しい稼ぎができないままにカメラ市場がどんどん縮小しています。今後は、スマートフォンのカメラ性能が更に向上すれば、カメラ自体が更に売れなくなる事も予想され、10年後に会社存続も危ういとさえ言われています。
結局、製造業でカメラに特化してきたとは言っても、カメラの製造を最大の強みとしていた事が仇になってしまいました。顧客のカメラニーズは、インスタグラムなどで既にオンラインにアップロードする方向にシフトしており、カメラ製造業以外にも、全く別分野のアプリ開発などを行う事が必要とされていましたが、ニコンはそちらに大きく投資する事はなく、顧客のニーズを読み違えていました。