投資の知識がない中産階級の没落。消費税の引き上げで国が格差を創り出している実態
単純に年収で区別した場合には、大半の人が『中産階級』に属している事になり、中産階級が2-3のグループに分かれると考えられるのが一般的です。最近では、中産階級の可処分所得が減少しており、中産階級でも投資を行う人と行わない人で豊かさが異なってくる現象がみられるようになってきました。
国が庶民のお金を搾取する中において、定期的に収益が得られる投資を行っていなければ、どんどん貧しくなる現象が発生しています。
上昇する税金と上昇しない賃金
日本においては、消費税が1997年に5%に引き上げられ、2014年から3%引き上げられて8%となっています。消費税の引き上げによって、特にダメージを受けるのは、経済的に見て格差社会の底辺にいる人たちです。消費税が上げられたことによって、年間20万円にも及ぶ『所得の減少』が発生しました。この所得の減少は、主に企業減税に回されてしまいました。
庶民がこうした消費税の増税に対応していくためには、企業から年間20万円分の収益を上げるしかありません。消費税は、何もしないのに庶民の生活を貧しくする税制なので、それに対抗する術として『何もしなくてもお金を得られる仕組み』を作っておかなくてはいけないという事です。
年収700万円の人の手取りは、2002年に587万円だったものが、2017年に537万円と、僅か15年の間で50万円も賃金が下落しています。50万円と言えば、月額4万円相当になり、月額4万円を稼ぐにはアルバイトなら1週間ほど働かないと稼げない金額です。僅か15年の間にアルバイト1週間分の給与が消失したのです。税金が上昇しているので、手取り=可処分所得が減少しているのです。
サラリーマンのお小遣いが月額3万円とも言われているのに、月額4万円の自由に使えるお金が15年間で減少してしまったのです。これでサラリーマンの生活は、一気に苦しくなっています。
格差の底辺ほど投資を行わない
格差社会の底辺に行けば行くほど、投資の資金、投資の知識のどちらも持ち合わせていないという事になります。投資は、まとまったお金がないと行う事ができませんが、格差社会の底辺にいる人たちは投資するお金を持ち合わせていません。仮に投資するお金を持ち合わせていたとしても、正確な長期投資の知識を持ち合わせていないので、ギャンブル投資になってしまいます。
グローバル競争で労働者の賃金が下がっている上に、高齢者向けの社会保障負担が増大、さらに消費税の増税など(=企業減税)で個人の可処分所得が減少している中で、格差社会の底辺層は完全に搾取された状態に陥っています。労働者は、これを補うために今までの1.5倍ほど働かないと同じ給料が得られないようになっています。派遣社員・アルバイトの賃金が上昇しても、それは社会保障負担・消費税の支払いに消えてしまいます。
日本政府の率先した搾取政策によって、労働所得が大幅に減少していく中で、労働所得以外の所得がない状態で、『投資を行わない労働者』がどんどん貧しくなっていく状況が発生しています。
株価を押し上げた日銀・年金マネー
日本株が上昇しているのは、日銀が日本株を大量に購入しているのと、年金基金などが日本株に投入されているためです。このために、上場企業の株価が大きく上昇していますが、投下されている資金は、多くの労働者が納めている年金基金が含まれているのです。この年金基金は、利益を出しても現在の納入者に直接的なリターンがないという特徴があります。
年金を納入するよりも、自分でその資金を株式市場に投下しておいた方がリターンは明らかに大きかったでしょう。つまり、労働者の多くが間接投資をさせられる事によって損失が出るようになってしまっている構図があります。