旅行代理店

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旅館・ホテル宿泊施設の利益率低下と旅行代理店の対応

  • 13 June 2012
  • のぶやん

日本国内のホテルは、自社でマーケティング能力を持っているチェーン店を除いて、ほとんどの場合が楽天トラベルのようなインターネット代理店を使っています。このような代理店は、予約手数料の3%~10%を『マーケティングの手数料』として徴収します。

この手数料を経営が厳しいホテル側が『高すぎる』と感じるのは理解できる話ですが、システムを作り上げる手間、実際にシステムとして稼働させている手間などを考えると、手数料が高いのは仕方ない面もあるのかなと思います。

じゃらんnetと楽天トラベル

じゃらんnetが2011年4月から宿泊施設に対して利用料を値上げしましt。具体的には、従来はシングル4%、2人以上は8%であった手数料が、シングル6%、2人以上が変わらず8%に改定されました。更にユーザーに還元する2%のポイント制度を導入するという事が同時に発表されたので、宿泊施設側はシングルで8%、2人以上の宿泊で10%の手数料を負担する事となりました。

じゃらんnet
・シングル8%(うち2%ポイント)
・2人以上10%(うち2%ポイント)

楽天トラベルは、2005年9月から手数料を値上げしています。具体的には、A、B、Cのプランに分けて、楽天トラベルに協力的な宿泊施設に対しては、手数料を安く設定するようにしています。また、自由販売を行いたいという宿泊施設・旅館に対しては、手数料を9%に設定しています。

楽天トラベル
手数料7%Aプラン:提供する最低部屋数が6~10%、最低料金を保証、売れ残り部屋14日前から自由販売
手数料8%Bプラン:提供する最低部屋数が3~5%、最低料金を保証、売れ残り部屋14日前から自由販売
手数料9%Cプラン:提供する最低部屋数は自由、価格は自由設定、自由
(検索表示は、Aプラン→Bプラン→Cプランの順で表示)


ホテル公式サイトの価格が高いという矛盾

日本の旅館・ホテルは、ホテルのウェブサイトで「直接予約」すると、何と「代理店を通すよりも高い料金」を請求される事になってしまいます。本来であれば、公式サイトからの直接予約は、代理店に支払う手数料を省いた分だけ安く出来るはずですが、逆に高くなってしまっているのです。これならば、ユーザー側としては、代理店を通した方が安く予約出来るというものです。このような構造で、代理店の利用はますます伸びて、ホテルは更に代理店に手数料を支払う事になります。

楽天トラベルが手数料の値上げを行った時には、多くの旅館・ホテルが反発して「ベストリザーブに鞍替えする」というような話が出てきました。代理店が手数料を値上げしたから、他の代理店に鞍替えすれば話が片付くような事を考える旅館・ホテルはやはりマーケティングの素人に成り下がったと考えるべきでしょう。本来であれば、ユーザーに対して「公式サイトの安さ」をアピールしていくべきなのです。

自前サイトの充実とは?

自前サイトの充実というのをどのように行うかという戦略について、ほとんどのホテルでは何ら対策をとっていない事でしょう。特に地方の旅館・ホテルなどについては、「旅行代理店に丸投げ」は今でも同じで、ずっと多額の手数料を支払い続けて依存体質は強まっています。楽天が行っている戦略というのは、楽天アフィリエイトで「コンテンツ製作者」にお金を渡して、コンテンツからお客を誘導してくるという方法です。ホテル側としては、マーケティングコストをかけて、ホテル以外の情報を少しずつ充実させていくなど、ホテル業務以外のIT分野におけるマーケティング戦略を積極的に行っていく必要が出てきたという事でしょう。

特に最近はビジネスホテルが全国の駅前に数多く出来て、多くの「地元に古くからある地方ホテル」では、地域の色を出して勝負しようとしています。地域の色をいくら出そうとした所で、宿泊客はインターネットからの予約を行ってくるので、インターネット上で「地域の色」を最大限に出していく必要があります。インターネットも含めてホテルのサービスであるという事で、その情報提供が出来ない宿泊施設に対してサイト訪問者は「情報提供出来ない宿」という見方を下してしまいます。

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