ホテル業界は、自分たちが「不動産のお部屋を売っている」という意識はありますが、コンテンツを販売している意識がないようです。
ホテルが宿泊予約を「予約サイト」に取られてしまう事で、宿泊料金の15%~18%を支払わなくてはいけません。これはホテルにとって大きな負担になります。何故なら、15~18%と言えば、高金利を支払っているのと同じぐらいの割合を支払うことになるからです。そして、予約サイトへの依存を強めれば強めるほど、支払う料金が大きくなることを意味しています。
ホテル予約サイトには、かなりの集客力があります。ホテル予約サイトは、膨大なコンテンツ量、そして宣伝広告で人を集めてくるからです。それは1つのホテルがコンテンツ制作を行ったところで、太刀打ちできるものではありません。日本にある多くのホテルは、昔ながらの「ホテルビジネス」しか行っておらず、インターネットに詳しい社員も抱えていませんでした。
ホテル予約サイトの手順は、自分に合ったホテルを簡単に検索できるというものです。そうした状況にあるホテル予約サイトに顧客は集まってきます。顧客の要望は、自分に合ったホテルを比較・検討して探し当てることだからです。広告やコンテンツで客を誘導してきて、そこに比較を付けて比較させて、ホテルの予約に誘導するという手順です。
ホテル予約サイトに地位を奪われてしまった背景には、ホテルが予約から目を背けてきたことでした。ホテルを稼働させることに夢中であり、顧客をインターネッとで誘導することを外部に任せてきたのです。ホテルはインターネットビジネスではなくて、現場でお客様の顔を良く見るサービス業という思い込みがあったのです。
ホテル側は、テクノロジーにあまりに無知でした。そのため、ホテルのサイトですら外部に丸投げして、自分たちではノータッチの状態が続いてきました。それは、最近の「大型ホテル」と呼ばれるところでは、少しずつ変わってきています。ホテル側は、自社サイトにおいて、航空券、バス、レストラン、何でも多くのプランをどんどん提案して、簡単に予約できるようにしなくてはいけないのです。
OTAサイトで低価格競争に巻き込まれてしまったのでは、自分のホテルの価値を自ら落としていくようなものです。低価格競争だけではない「本当のPRポイント」を出していく必要があります。例えば、朝食であったり、サービス面であったりなど。経費削減するためにアメニティを落としたりすれば、顧客満足度はどうしても低下します。
1枚、2枚の写真と簡単な口コミだけで判断されたのでは、ホテルの本当の良さが伝わらず、単なる価格勝負をしてしまいます。あるホテルでは、朝の食器を下げる時に分類するのがセルフサービスに帰られました。少ない従業員で回すためですが、それは顧客の時間を必要以上に奪うことになると思いました。
ありとあらゆるOTAサイトに登録したのでは、その管理だけで膨大な時間を使うことになります。管理ツールなどもありますが、そのようなものを使っても、空室管理など煩雑な作業から解放される訳ではありません。OTAのサイト管理が大変になると、ホテルが提供するプランも画一のものになりがちになってしまいます。
正社員に求められる仕事も変化しており、「目の前の顧客を接客すればいい」というものではなくなってきています。オンラインで情報発信を行う事も、重要な事になってきています。
ホテルにとって、「自社製品をオンライン販売」は、絶対に必要な事です。限られた「お土産売り場」で販売しただけでは、お客さんがゼロの時には、売り上げゼロになってしまいます。オンラインで販売することで、従業員が空いた時間に別の仕事で稼ぐことができるようになります。また、従業員がオンラインに詳しくなることもできるでしょう。
商品をホームページと連動させていく必要があります。産業構造の変化を受け入れて、単純作業で売り上げを伸ばすのではなくて、販売チャンネルを複数持つことで売り上げを伸ばすことを画策しなくてはいけないということになります。
ホテルを予約する時に、『自社サイトよりも、予約サイトの方が安い』という問題も起こってきています。自社サイトの方がOTAサイトよりも高いという問題は、明らかにおかしな問題と言えるでしょう。
今度は、なんとOTAサイト同士で争わせる「メタサーチ」という手法が現れました。ホテルを販売するサイトを比較して、最安値を提示するという訳の分からないものです。この「メタサーチ」は、OTAの現在提示している価格をとってきて、比較するのです。OTAがポイントなどを使って顧客を囲い込んだとしても、それを乗り越えて別のサイトを利用するようになっています。
メタサーチは、この10年で急速に台頭してきました。その背景にあるのは、スマホでホテルの最安値を比較するのが大変ということです。スマホの画面は小さく、パソコンのように調べることができないのです。
何か特徴があるホテルが選ばれやすくなります。中途半端にやるのではなくて、徹底して差別化戦略を取り入れないといけないでしょう。
自社サイトの充実を真面目にやっていく必要があります。自社の社員がやるというのが最適解ですが、それができなかったとしても、ある程度のコストをかけて自社サイトを磨く必要があります。周辺の観光地の情報だけではなくて、タクシーの予約番号を明記しておいたりするなど、ウェブサイト上で顧客サービスを充実させていきます。