新聞の発行部数の下落が止まらずに、新聞社のビジネスモデルがどんどん崩壊してきています。最新の新聞の購読者数動向によると、電子版の移行に成功している日経新聞でさえ、電子版の購読者数は60万人ほどにすぎません。一方で、紙媒体は2017年後期から2018年前期にかけて1年間に20万部も下落しています。
購読者数が激減する新聞
日本人は、情報源を新聞に依存する新聞大国と言われており、新聞の発行部数は世界有数となっています。逆に言えば、今後の新聞社の購読者数の下落余地も非常に大きいという事ができるでしょう。新聞を購読している多くが高齢者層になっているので、ジリ貧ビジネスである事は間違いありません。
毎月のように解約が相次ぐという事は、それだけ売り上げ規模が縮小するので、経営者が経費削減・リストラを行っていく必要に迫られる事になります。
大衆の興味と乖離する報道
新聞社の報道というのは、従来通りの報道のあり方では視聴率を集める事ができなくなっています。人々の価値観に多様化が進んでおり、読みたい情報だけを効率的にピックアップして読みたいという需要が大きくなっているからです。カテゴリは細分化されて、例えばスポーツ欄だけ見たい人と、スポーツ欄を全く見ない人を扱う事が無理になってきているのです。
今までは、新聞社・テレビ局などの主要メディア(海外でメインストリームと呼ばれる)は、日本の世論形成に大きく関与してきました。政府なども政府広報する事が可能になり、多くの国民を巻き込む事が可能でした。しかし、テレビの視聴率が落ちて、新聞発行部数が激減して、そうした事が不可能になります。そもそも、テレビを見ておらず、新聞も購読してない人が増えているからです。
2017年から活発化した動画
2017年ごろからツィッターのショート動画が大人気になっています。災害現場の情報をいち早くツィッターに上げる人が続出して、テレビ局でさえ後追い状態になっています。このような状況だと、テレビを見るよりも、『災害まとめサイト』を見た方が早いという事になりかねません。
もともと新聞が発行部数を激減させたのは、2007年にiPhoneの登場で生まれたスマートフォンの情報量な訳ですけど、その10年後『動画元年』とまで言われる2017年になると、動画がそれに追い打ちをかけるようになっています。新聞社だけではなくて、テレビ局の視聴率まで奪うようになってきました。
この動画というリッチコンテンツの広がりは、ますます新聞社のビジネスを危ういものにしています。新聞社は、さらにコストのかかる配信サービスなど、リッチコンテンツを強化していかなければいけませんが、それはインターネット企業が研究を進めてきた分野でもあります。新聞社に必要な人材は、記者ではなくてプログラマーに変化してきています。
ビジネスモデルとして成立しない
新聞社がビジネスモデルを成立させるには、紙媒体から電子媒体にシフトしていく必要があります。しかし、電子媒体で紙媒体と同じ月額費用を課金する事は非常に難しいものです。何故なら、映画などのリッチコンテンツが月額1000円で見放題になっているからです。このために、紙媒体よりも安く電子媒体で競争力がある価格帯で提供する必要性に迫られる訳です。
日経が2015年に買収したファイナンシャル・タイムズ社は、電子化に成功した会社として知られています。英国に本拠地があり、英語版での記事なので世界中に読者を確保する事が出来るという強みを持っています。