金利を下げて投資が活発化しても、消費がそれに追いついていない事実

  • 17 June 2017
  • のぶやん

日本の金利は、世界最低水準になっており、それに伴って不動産に限っていえば、日本国内でもそれなりに投資活動が活発化している状況にあると言えるでしょう。

アメリカ・日本における住宅過剰

アメリカは、不動産価格が上昇していると言われていますが、上昇している場所とそうでない場所があります。ミシガン州、オハイオ州、ペンシルベニア州の都市においては、物件の利回りが高い(つまり価格が低い)のですが、人口増加率がマイナスで人口流出によって街が空洞化して大変な事になっている都市が沢山あります。こういった都市は、州の財政状況も悪く、治安が悪化して、ますます流出が進みます。物件は余って価格は暴落していきます。

日本でも、バブルの時代に住宅供給を増やす政策として、郊外型の住宅が安価で大量に建設されました。『自分たちでも住宅が買える』とあって、団塊の世代が多額の借金をして住宅を購入しました。そして、その団地のいくつかは、いまでは空洞化して大変な事になってきています。東京では、地方から流入してくる人たちで、人口は2030年頃まで増えるとされていますが、実際に郊外などを中心に空室が増えてきており、八王子市などのアパートは100万円代で売られているものもあります。

世界中で起こる投資の供給過剰

発展途上と言われる国においても、先進国などの投資によって不動産の過剰が起こっています。郊外に価格帯が高めの不動産を投資で大量に建てたとしても、アクセスが悪い場所に住みたがらない人が多いのです。マレーシアなどの永住ビザを目的として、マレーシアに投資している日本人も多いですが、あてが外れたという人も多い現実があります。中国の内陸部もそうですが、人が住みづらい場所に不動産を建てても、空室が多いという現実があります。

高級物件をいくら作ったところで、マレーシア人にとって日本人が買うような高級物件に手が出るはずもなく、その為に誰も住まないような高級物件がそのまま放置されているという事です。月給10万円ほどのマレーシア人では、3000万円以上の物件には手が出せないのは当然でしょう。そして空室だらけの物件になると、売りたくても売れないような状況が出来上がります。これを購入の為にローンを組んでいたら悲惨そのもので、売れない物件の為にローンだけを支払うハメになるし、自分が住む事すらできなくなります。

海外などの金持ちを見込んだり、国家が積極的に関与すれば、お金で建物を立てる事はできます。しかし、そこに需要が伴っていないと、利用客がいないという事態が発生します。日本でも、実際に「ピエリ守山」のように需要がない場所にショッピングモールを作ってしまったり、岐阜のLCワールド本巣のように過疎化している例もあります。ショッピングモールの基本は、車のアクセスが良い場所にモールを作って、周辺の市町村から客を根こそぎ奪うというビジネスモデルなので、アクセスが良くない場所に作ったりすると、客が入らない可能性があるのです。

マイナス金利政策をとるスイス

スイスに至っては、マイナス金利をとっていて、2015年1月22日からマイナス金利政策となっています。この背景としては、第二次世界大戦でも安全だったスイスは、お金が集まりやすいので、あまりにスイスフランが高くなるのを避ける狙いがあるものとみられています。あまりにスイスフランが高くなりすぎると、スイスの輸出産業などに打撃があるためです。

スイスは、『私たちは中立です』という政策を貫くことによって非常にユニークな国としての地位を保っています。

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