サーバー代金が低コストになって恩恵を受けているのは誰か?インターネット革命によるサービス産業構造の変化
レンタルサーバーなどは、過去10年でどんどん低コスト化が進んで、10年前に1GB未満であったレンタルサーバースペースは、今では10GB、300GBが当たり前のようになりました。このような状況において、個人では『使いきれないスペース』というものが出てくるまでになっています。個人が利用するサイトは、月額300円でワードプレスが設置できるレンタルサーバーで十分になってきたのです。
デジタルコンテンツの時代
10年ぐらい前までは、DVDを購入したりする時代でしたが、回線が早くなってダウンロードが主流になり、更に今では動画を同時に視聴するストリーミングが主流になりつつあります。DVDは自分の手元に置いておくものですが、ストリーミング再生というのは、オンラインで視聴するものです。
Huluなどで月額1000円でストリーミング再生の映画を楽しむ事ができます。アマゾンでも、月額400円でストリーミング再生を楽しめて、多くの映画を視聴する事ができます。ストリーミング再生は、月額400円、年額5000円ほどで、過去に公開されている全ての作品が見放題になるという特徴があります。
レンタルビデオの崩壊
オンラインで映画をどれだけ視聴しても一定料金であるという事は、それだけ視聴者が低額でデジタルコンテンツを楽しめるという事を意味しています。レンタルビデオ店のGEOなどは、50円、80円と言った10年前のレンタルビデオ店に比べると激安の価格でレンタルを行うようになっており、競争は激化しています。レンタルビデオ店は、既にビジネスモデルが崩壊しており、オンライン視聴は自宅にいながら映画を楽しむという事が主流になっています。
ツタヤでは、『TSUTAYA DISCAS』という自宅からのレンタルビデオ配送サービスが人気になっていた時期があって、2009年のニュースで『郵便ボックスにビデオが届く』というシステムが会員50%大ブレイクしている様子が報じられていました。それから10年もたっていませんが、今ではデジタルコンテンツで視聴できるものを自宅まで配送して貰おうとするニーズは多くありません。レンタルビデオに力を注いでいた『楽天レンタル』は、2016年9月30日で終了しました。2007年にできた楽天レンタルですが、『楽天TV』でストリーミング配信に切り替えています。そもそも1人暮らしでDVD再生機を持っておらず、スマホの小さな画面で映画を視聴している人も意外と多いす。
テレビ放送モデルの限界
テレビ放送モデルというのは、日本においてパソコンに向かう事に慣れていない高齢者の視聴率が高い事で成立しています。例えば、日曜洋画劇場みたいな番組なんて見なくても、今はアマゾン、Huluなどの映画ストリーミングを活用すれば、いつでも好きな時間に映画を鑑賞する事ができるからです。
2013年にNHK『あまちゃん』、TBS『半沢直樹』のようにブームになったようなテレビ番組が出る事もあり、流行語大賞に『じぇじぇじぇ』や『倍返し』が入るなど、今でもテレビが一定の影響力を保持している事は確実でしょう。しかし、その頃からオンラインストリーミングは、毎年のように充実を見せて、特にアマゾンプライムのアマゾンビデオが強化される事によって、テレビが従来通りの視聴率を保つことが難しくなってきました。1人暮らしの大学生の多くは『そもそもテレビを保有していない』状況で、テレビが話題になる事もありません。
新聞社ビジネスモデルの終焉
テレビと同時にデジタル化で非常に厳しい状況に立たされているのが新聞社です。映画などの情報量が非常に大きいものがデジタル化されたり、ユーチューブなどで無料視聴によって、新聞を定期購読する人が激減しています。自分が読みたい記事がほとんどなく、興味のない記事が並んでいて、半分の紙面が広告になっているという新聞をわざわざ高いカネを払って購入する理由はどこにもないでしょう。
新聞社のビジネスモデルは、既に終わっていると言える状況なのですが、今でも新聞社は過去のビジネスモデルにとらわれたままで、新しい収入源を確保できていません。今まで通りにやっていたのでは、10年後に全くビジネスとして成立しなくなると分かっていますが、今までのように美味しいビジネスモデルを構築するのは、グローバル化の競争の中でそんなに簡単な事ではないのです。
双方向が強化される情報時代
情報というのは、メディアが一方的に出すものでは無くなっていて、情報の双方向化が強まっています。メディアの双方向化の時代では、情報を発信するどの人にも人気になるチャンスがある時代になっています。例えば、高校生など資本を持たない人がユーチューブのプラットフォームを利用して、ユーチューバーとして大金を稼ぐ時代になっています。1回の動画で100万PVをあげて、大人気になっています。ユーチューバーの中には、テレビ局がお金をかけて作るドラマよりも視聴率が良いものがあります。
双方向化の時代では、その情報発信をまとめあげる土台となるプラットフォームが重視されます。そのプラットフォーム上では、どの情報媒体も同じ土台で勝負して、面白いものにアクセスが集まるようになっています。従来であれば、メディアの社員が情報発信の主体になっていましたが、今ではプラットフォーム上で情報発信を行う人が強い時代になっています。
情報独占から情報シェアの時代へ
インターネット化というのは、結局のところこの『双方向化』を指すものと考えても良いでしょう。コンテンツを誰でもインターネット上に出す事が可能であり、その事が従来の情報独占産業であった大手メディアは、情報量でプラットフォームに負けるようになってきました。当初、アップロード制限などがあったユーチューブは、今ではほぼ無制限に動画がアップロードできるので、情報量が飛躍的に増大しています。
テレビ局・新聞社が情報独占する時代ではなくなって、多くの人が情報を発信シェアする時代になってきました。テレビ局・新聞社が持っていない情報で、個人が持っている隠れた情報資源がオンライン上に出回るようになり、テレビ局・新聞社による情報独占が崩れて、テレビ局・新聞社の発信する情報価値が大幅に下落しました。今のテレビ局・新聞社が行っているのは、非常に高額な金をかけて、低視聴率の番組を作り、広告主を騙すようなビジネスモデルになっています。
進んでいく個人のメディア化
2003年に登場したブログで誰もがインターネットで情報発信するのが容易になり、多くの人がブログで情報発信する事で『個人のメディア化が進みました。更に2009年に登場したNAVERまとめは、情報を誰でも投稿できるメディアプラットフォームです。大切なのは、情報を保有している人が自由に情報を発信できる環境であり、そこには必ず多くの人の需要が存在しています。
投稿型メディアのプラットフォームの発展としては、食べログ、クックパッドなどが成功例として上げられる事があります。しかし、食べログ、クックパッドともに情報の投稿者に対してお金を分配していません。クックパッドでは、レシピの人気順検索、殿堂入りレシピ、プロのレシピを表示するのに月額280円、アプリで400円も課金しています。月額400円も支払えば、アマゾンで配送料が無料になり、映画が見放題になるので、クックパッドの課金は今の時代に高すぎると言えるでしょう。
有料のクックパッドと無料の楽天レシピ
クックパッドは、課金ビジネスを行っているので利益率は高いですが、動画のレシピサイトなどが出現する中で、単にレシピを見るのに課金するビジネスモデルは限界になってきています。最近では、クックパッドが40秒の料理動画を出すようになっています。これ、C Channelが大量に出している料理動画と似ていますが、CookpadはFacebookに動画を出していないのでFacebookページは5万人しかいいね!数がありません。
クックパッドを追って2010年にオープンした『楽天レシピ』は、投稿すると50ポイント貰う事ができます。最初は、クックパッドに圧倒的に差を付けられていましたが、2015年には楽天レシピのレシピ数が100万を超えるまでになり、クックパッドの200万レシピの半分になるまで成長しています。更に楽天レシピは有料プランがないので、全てが無料で利用できるので、ユーザーにとって非常にありがたいサービスなのです。確かにクックパッドの方が料理が出てくる件数は多いですが、全て無料の楽天レシピが十分に使える事を考えると、無料で楽天レシピを使う人は今後も伸びていくでしょう。
2017年8月9日に発表されたクックパッドの第2Qの決算で、売上は前年同期比13.3%減の約71.1億円、営業利益は9.7%減の約30億円となり、有料会員が193.8万人に初めて減少しています。楽天レシピの追撃も影響しているものと思われます。会員数が伸び続けてきた数年間、それほど新しいサービスを提供しないまま、周辺の競合他社が実力を付けてきたと考える事ができるでしょう。検索エンジンの表示方法が変わって、クックパッドのレシピが表示される回数が減少して、新規に入会する会員も減少傾向だそうです。
非常に強い個人が増える時代
従来であれば、1つのメディアが会社としてプラットフォームとして存在して、情報と言うのは会社の中から社会に向けて発信されるものでした。それが大型の情報プラットフォームが登場する事によって、個人が低コストで大量の情報発信をするようになりました。情報を大量に保有している個人は、プラットフォームを使って情報をどんどん発信して、ユーチューバーで億単位稼ぐ人も出現しています。
個人発信する情報が強くなる理由としては、個人の需要が多様化して、その需要に応じる為にサービスを提供する個人が必要になっているという事でもあります。グローバル化であったり、世代間の考え方の違い、文化の違いなどが多様化する社会で、個人ベースで情報サービスを提供した方が需要に応じる事ができるという事にあります。
企業の内部で派遣社員・アルバイトなどを行わず、自立して経済活動を行う主体が増えていくと、それは従来の既得権益を脅かしていく事になります。先ず、ユーチューバーみたいなのが増えていくと、テレビ局・新聞社などは稼げなくなっていくので、お金の面で困り始める事になります。また、自家発電などが増えていくと、電力会社の収入源が薄くなり、天下りなどを減らすことができます。個人の1人1人が強くなることは、大きな巨象を少しずつ弱らせていく効果を発揮するのです。
多くの大企業の内部では、『若者を使い捨て』にしたような『チャンスなき雇用形態』が出来上がり、その事で企業内部が非常に非効率なものになってきています。大企業で頑張ればチャンスがあると本気で思っている若手など僅かなもので、頑張ってもチャンスがないと思われているようなら、その企業はチャンスある企業に負けて、どんどん沈んでいくでしょう。
個人は個人の成長の為に活動する
個人の中には、メディア記者が絶対に持てないような情報を保有する人が沢山いて、その個人が持っている情報が表に出やすくなってきたのです。当初は、2ちゃんねる、クックパッドのように個人が持つ情報を集めて搾取するようなビジネスがありましたが、今では労力がかかる事を無料で投稿する人は少なくなり、NAVERまとめのようにインセンティブを配分するところに情報が集まるようになっています。
基本的に個人というのは、所属する会社の為に活動するものではありません。日本は、戦後に会社に対する所属意識が強いものがありましたが、派遣社員・アルバイトなどが増加して、会社に対する所属意識というのは、低下してきています。このような状況において、会社の中で成長を模索するよりも、自分の実力で成長しようとする人が増えてきています。
本来であれば、会社に所属しないで自分の所得を増やす方法を模索する個人が増えるべきですが、実際には自分で所得を得るのに会社にいるより大きな努力を必要とするので、多くの人はその選択をしようとしません。多くの人は、会社に所属する事で、歯車になって搾取されているにも関わらず、それを望んでいるので社会の格差がどんどん拡大していきます。個人が会社に所属する事が良いと考えて、自分に有利な契約を結ぼうとしないのです。
近代資本主義で、水野和夫さんが言うように世界経済で3年に1度バブルが起こされる理由としては、国家、会社というものが個人に主権を渡さない為には、自分たちのお金を膨張し続ける必要があるという事でしょう。国家、会社にお金を集めて洗脳しておかないと、国民に主権が移ってしまうと困る1%の人がいるという事です。日本においては、それが個人の成長を阻害して、個人が成長する機会を外資が提供するという事態に陥っています。
自分の収入源を特定の会社に依存したところで、日本の会社が何かチャンスをくれるというのは単なる幻想でしかありません。日本の会社は、基本的に社員にチャンスをあげようと思っておらず、社員のキャリアパスも限定的です。正社員・派遣社員・アルバイトなどが企業の階層のようになっていて、内部で争わせた上で上層部の言う事を聞くような管理型社会になっています。これでは、まるで社会主義経済のような企業内部になります。大きく成功したり、チャンスを掴みたいと思う人は、さっさと企業を辞めるでしょう。
こうして大きく成功したい努力家の人間が企業を去ったり、昇進で気なかったりしている場合には、その企業で下から情報を吸い上げる事ができなくなり、『情報の硬直化』を招く事になります。それが結果として、経営判断を大きく誤った方向に導く事になっていきます。例えば、シャープのように大型工場を購入して、企業を潰すような経営判断になっていく訳です。
販売の双方向化が進む
シェアが行われるようになってきたのは、情報だけではありません。インターネット上で販売を行う『アフィリエイト』という販売制度も発達して、多くの人が気軽にアフィリエイトに参加するようになってきました。楽天アフィリエイトには、多くの主婦が参加していて、販売の売り手として楽天ポイントを得て、楽天の買い手(消費者)にもなるという状態になっています。
以前よりもインターネット上の情報量が増えた事で、個人がアフィリエイトで収入を得る事が難しくなりました。販売の双方向化は、オンラインで稼げる人と、オンラインで稼げない人という二極化を生み出しています。2007年にiPhoneが登場して10年を経て、スマートフォンの通信料が増えた事で、個人がスマートフォンで受け取れる情報量、発信できる情報量が飛躍的に増大しました。その一方で、成長市場であったスマートフォンが個人の収入に結び付かなかった実情があります。
情報の双方向で稼ぐ個人と稼がない個人
世界中の先進国で金利がゼロ金利になって、社会全体としてほとんど成長しない状況になりました。このような中でユーチューブなどインターネットのプラットフォームに投稿される動画本数は伸びており、それは従来のビジネスモデル(テレビ局、新聞社)を脅かそうとしています。何故、従来のビジネスモデルが崩れる中で、それに乗っているだけでは単純作業で収入が得られないようになってきました。双方向のビジネスモデルを意識して、自分自身がプラットフォームを利用したサービス提供者になる必要がでてきたのです。
このインターネット上のプラットフォームの多くが米資本で、日本人に『稼ぐための機会』を提供しています。日本人ユーチューバーに『稼ぐための機会』を提供しているのは、日本企業ではありません。その結果として、日本人は大きな企業を維持する為に国債を発行するような状況が続いています。同じく韓国資本のLINE社が行うNAVERまとめも、日本人の個人に稼ぐチャンスを提供して、それによって日本国内の資本を潰しにかかってきます。
オンラインで稼ぐ事は難易度が高い事ですが、多くの事がAI (=オンライン化)に置き換わってきている現代において、オンラインで個人が稼ぎを得られない事は、会社に依存して安い低賃金労働を行うしか道がない事を意味しています。個人が会社に依存しない働き方として、インターネットで稼ぐ方法は、有効な手段ではありますが、SNSを上手く活用して知名度を上げるなど、それなりの難易度はクリアする必要があります。
組織の歯車にならない難易度
日本の社会で生きていく為に組織の歯車にならない難易度というのは、非常に難しいものがあります。組織を出ると、そもそも生活する資金さえ稼げないという場合が多くあって、多くの起業は失敗します。日本において起業に対する意識は極めて低い状況にあり、周囲の理解を得られにくいのも現実です。日本では、組織の歯車として働く事が安心・安定とされていて、フリーランスが不安定というレッテルとなっていますが、実際にフリーランスの多くが月収20万円以下で単価の低い仕事を請け負っている状況になっています。
企業に所属しない事は難易度も高いですが、自分に試練を与えて『稼ぐ力』を付けるには非常に有効です。自分で生活できるだけの収入を得るという事は、売り上げにすれば1000万円以上の売り上げがある事になり、その事は社会的にも非常に大きな意義を持つ経済活動になっていきます。また、自分で生活できる収入があれば、事業として拡大できる余地が沢山でてきます。
細分化されたマーケティング
ユーチューバーの多くは、小学生から高校生ぐらいの年齢層に人気になっていますが、60歳以上の団塊の世代には、ユーチューバーの名前を全く知らない人も多くいます。このように世代間によって全く接触するメディア媒体が異なってきているので、マーケティングも細分化させる必要性が出てきました。
インターネット上の資本分配
産業革命における『資本家と労働者』の関係は、資本家が工場という資本を提供して、その上で労働者が労働するというものでした。現在、インターネットのユーチューブのようなプラットフォームを考えてみると、ユーチューブで生活しているユーチューバーは、自分で意欲的に働いている点において工場労働者と異なっています。その動機となるのは、単にユーチューバーとして有名になるというだけではなくて、ユーチューブにアップロードされた動画が資産になって収益を生み出し続けるという資産価値の増加です。
企業で働く労働者は、ボーナスという形態で収益の一部を受け取りますが、全ての資産が企業に蓄積される事になり、会社を辞めたら自分の手元に資産が残らないのが普通です。それに比べて、インターネット上で収益を生み出すアカウントは、お金を生み出す限りにおいて、それ自体が資産価値を持つものになります。
誰にでもある資本配分
Google社が提供している動画のサーバースペースというのは、それほど安いものではありません。もし、自分でサーバーを借りて動画を置いて公開しようと思えば、お金がかかってしまいます。ユーチューバーのように連日、動画をアップロードしたら、サーバーに動画を置いておくだけで膨大な資金を必要とします。タダで動画を置くスペースを提供されているにもか関わらず、多くの人は動画をアップロードしません。
物が過剰になる世の中で、このように企業によって資源を無料で提供するなど、資源を安く使う事は可能になりました。高校生などお金がなくてもユーチューバーになる事はできます。しかしながら、実際にその資本を活用して人気になり、生活するほど稼げる人はごく僅かです。
誰でもユーチューバーになる事はできるし、動画を自由に無制限にアップロードする事が可能ですが、それを行うのに手間がかかるという理由で、それで真剣に稼ごうとする人はごく一部です。本気で稼ごうとすれば、ユーチューブ以外のSNSも運営したりするなど、多くの手間がかかってくるので、多くの人はその時間をかける事を嫌います。
労働者はどんどん貧しくなる
労働所得からの資産形成というのは、経済成長が起こっていない今の先進国では不可能です。いくら労働したところで、豊かになるどころか、労働者は搾取されてどんどん貧しくなるばかりなのです。資本家の立場からすると、労働者は『単なるコスト』であって、資本を分け与えるような対象ではないからです。資本からから見ると、資本をシェアするのは、外部で契約した自分で市場を拡大してくれる人気がある人です。マーケットのプレーヤーには、資本の配分をしようと考えても、清掃員に資本の分配をしようと考えないのと同じです。
資本がタダで利用出来たとしても、人が生活していくにはお金が必要になりますし、苦しい生活の中で成功するかどうかも分からない動画の撮影を継続するのは大変です。実際、貧乏な中でユーチューブの撮影を続けている『底辺ユーチューバー』と呼ばれる人たちがいて、全く稼げない中で苦労して動画を上げ続けています。ピコ太郎のように継続して40代になってから大ブレイクする芸人もいるので、続けられるなら続けられる環境を自分なりに模索する事が大切です。
日本企業の多くは、新入社員で入社した正社員のキャリアパスについては良く考えていますが、実務を担っている派遣社員、アルバイトなどのキャリアパスを完全に無視しています。チャンスがないと感じている派遣社員、アルバイトなどは、企業に全くチャンスがないと感じて全力を出せずにいます。それは完全に固定化された派遣社員・アルバイトの賃金に問題があり、これが社会の損失に繋がっている事は間違いありません。これを解消しているのが天井なしのユーチューバーなどで、子供のなりたい職業の上位にユーチューバーが入ってくるのです。
チャンスなき身分制度の社会
今の日本社会は、江戸時代と同じで身分制度のようになってしまっています。会社で正社員として働かなければ、派遣社員・アルバイトなどは固定給で、そこから頑張るチャンスさえ与えられない状況になっているのです。日本の大手資本は、派遣社員・アルバイトを使い捨てだと思っており、最初からチャンスを与えようなどと思っていません。そもそも正社員のように給料が上がる訳でもなく、昇進もない状況になっています。
特に若い人にチャンスがない状況というのは非常に深刻な状況であり、そうすると若い人たちが自分たちの力を発揮しなくなって国の生産効率が大幅に下落してしまいます。20代~30代が『自分たちも豊かになれる』と思える社会にならないといけないのですが、日本企業の多くは、従来の手法で正社員を削るというキャリア・パスしか用意しておらず、労働者として豊かになる事がほとんど絶望的な状況にあります。また、労働者以外のルートが用意されているかと言えば、ユーチューバーのようなルートやNAVERまとめで稼ぐようなルートは、外資系企業が用意したルートです。
日本企業においては、若者が下手に下剋上をして活躍すると身分制度が崩壊して困ると考えているので、キャリア・パスを企業内の正社員に限定して用意するように仕向けているのです。そうする事で労働者の内部に分断を起こす事もできて、結果として身分制度を維持したい大企業が支持する自民党が勝ち続ける事にも繋がります。
日本企業の考え方としては、日本の若者が企業の中で奴隷として働いてくれないと会社自体が成立していかない状況になっているのです。それは、農民から搾取がないと武士が階級を維持できなかった事と同じです。皆がユーチューバーを目指すような自立した社会構造になると、会社で搾取出来る人が誰もいなくなってしまうので、会社が回らなくなってしまいます。実際、日本で企業は搾取できる人材に困り始めていて、多くの中小企業で応募者すらいない状況になっています。
高齢者が多い組織になる事で、組織の中に柔軟性がなくなり、若者に大きなチャンスも与えずに組織が新しい分野で成長する機会をどんどん失っていきます。2000年代前半頃に一時期もてはやされた企業内ベンチャーなどはどこかに吹き飛んで、今では若い人が会社でチャレンジするような機会はほとんど失われています。非正規雇用・アルバイトだけではなくて、正社員になった若手社員もすぐに辞めてしまうというのは、若手が『この企業の内部にいても将来が危うい』と感じている証拠でしょう。
大切になる誰かの紹介リンク
ユーチューバーとして人気になる為には、誰かに紹介して貰う必要が出てきます。ジワジワと動画の再生数をあげて人気になる事もありますが、有名サイトに取り上げられると、ピコ太郎のように一気に大ブレイクする可能性もあります。とにかく外部からの紹介(リンク)が多ければ多いほど、話題になりやすくなってアクセスが集まりやすくなります。
インターネット上のコンテンツ競争は、激化していて、良質なコンテンツも沢山出てくるようになりました。その中で、ある程度の知名度を持ったサイトの紹介がなければ、知名度を上げる事が難しい状況になってきています。
サーバーを埋めていく個人
個人が資産価値を保つためには、インターネット上で、良質な情報を沢山出していく必要があります。かつては、ブログを書いて話題になれば良かったものですが、今では、ツィッターやフェイスブックなどのSNSで話題になって、多くのアクセス流入を得る必要性が出てきました。自分でSNSにフォロワーを抱えるなどして、動画などを紹介するマーケティングを伴って、話題になりやすい状況を作りだす事が大切になってきました。
個人が企業に打ち勝つ条件として、自分の設置したサーバー内部 OR 自分が作成した企業のアカウントの情報量が十分に多くて、それが拡散されていくという事があります。自分なりに独自の情報を発信して、1人でも多くの人に影響力を持つ事が大切になります。
日本の個人と契約する外資企業
ユーチューバーにチャンスを与えているのは、日本という国でもなく、日本企業でもなく、米国資本だという事に注目すべきでしょう。何故、日本企業は400兆円の内部留保を抱えていながら、それを多くの人に分配するシステムを構築できないのかという事です。日本国内においては、一部の既得権益者が富を独占して、他の人に分配するシステムを構築しないスタイルが出来上がっています。
欧米企業がこうしたプラットフォームを活用した雇用形態に成功していて、日本企業が成功で気ないのは、やはり植民地支配の歴史などで欧米企業が蓄積してきたノウハウがあっての事かもしれません。日本企業は、自社の収益が下がる事をやりたがらないですが、欧米企業の中には、自社の収益が低下しても収益分配を行って市場を意欲的に取りにくるという企業が最終的にシェアをとって業績を伸ばしています。欧米企業ではありませんが、韓国のNAVERまとめなどもその良い例となっています。
日本企業は、海外に投資して収益を得ていますが、アメリカの企業は日本のユーチューバーに稼がせて収益を得ていて、それは国内における日本企業の脅威になりえます。最近では、このように国境を超えてインターネット企業が稼ぐ事が加速しており、それが従来の企業の戦い方を一変させています。インターネットを使えば、難易度は高いですが、個人であってもアメリカ人や中国人を相手にセールスをかけたりする事も可能です。
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