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時代によって変化していく資産の意味を考える。資産を保有して労働者を脱却しよう。

  • 6 December 2016
  • のぶやん
時代によって変化していく資産の意味を考える。資産を保有して労働者を脱却しよう。

日本では、戦後の高度経済成長期は、年功序列・終身雇用が成立していました。それは、日本の経済が右肩上がりで成長していたので、潰れる会社が特に大手で非常に少なくて、安定して業績を上げていける状況にあったからです。そういった中で、どこの会社においても、人材が必要とされていて、新卒が高校・大学から供給されて、会社で仕事を覚えて一人前になっていくスタイルでした。

労働者にとっての資産

労働者が最も大切な資産というのは、自身の労働力である事は間違いありません。戦後の終身雇用・年功序列というシステムでは、それ自体が労働者にとって資産価値を持っていると言えるでしょう。会社が正社員として囲い込んで、正社員として生活の安定を守ると保証する事によって、会社で安心して働くことが出来るという面がありました。正社員であれば、ボーナスが年2回ほど支給される事になっており、ある程度の貯蓄を行う事も可能になっていました。その正社員としての保証は、労働者にとって『無形資産』であったとも言えるでしょう。

このような状況は、90年頃から中国が成長して、グローバル化が加速した事により終焉していきます。日本の価格競争力は失われ、工場は中国などに移転していきました。終身雇用・年功序列を信じるものは少なくなり、会社も従業員に対して終身雇用・年功序列まで保証する事は難しくなりました。労働者にとっての無形資産であった『終身雇用・年功序列』が失われると、労働者でいる事のメリットは相当に薄らいだと言えるでしょう。シャープなどの会社を見て分かる通り、負け組の会社になると、40代以上の社員がリストラされて、再就職する事も難しくなっています。

土地・建物の資産価値が減少

日本は、少子高齢化の影響によって、土地・建物の価格が大幅に減少しています。土地・建物の資産価値が減少するという事は、地方都市で自宅を売却したとしても、大した価格にならないという事です。東京であれば、自宅を売却すれば、築年数が新しい物であればそれなりの価格が付きますが、日本全国のほとんどの場所では不動産の価値が大幅に下落しました。特に下落幅が大きいのは、北海道の過疎地域であり、タダのような値段を付けても買い手がいないような状況になっています。

同じことが言えるのは、スキーリゾート地で、湯沢町などにバブル時代に建てられたマンションが立ち並んでいますが、10万円の価格が付けられても買い手がいない状況になっています。日本の土地・建物は、今後は更なる人口減少によって更に価格が下落するとみられていて、過疎地などには、住む人がいなくなる無人地帯が増えるとみられています。土地・建物が収益性資産になるどころか、何もしないで維持・管理・税金などがかかってくるので、むしろ負債として扱われる場所も多いです。

日本の企業でなくなったシャープ

かつて優良企業とされていたシャープは、台湾企業である鴻海の傘下に入って、日本企業ではなくなりました。2004年に亀山工場、2006年に亀山第二工場を建設して液晶テレビが『亀山ブランド』として売れるところまでは成功しましたが、そこで片山幹雄氏が社長に就任してリーマンショック前の2007年に堺工場を『亀山工場の約4倍、甲子園球場が32個入る規模』で建設した事によって、リーマンショックを乗り切れずに大赤字を抱えていく事になります。そして、その後に毎年のように巨額赤字を出すようになり、会社の経営は大きく傾いていく事になりました。

確かにシャープの持っている技術は、中国・韓国企業の数年先をいくものでしたが、日本の消費者がテレビという耐久財を毎年買うはずもなく、海外においては、シャープのテレビは高すぎて売れませんでした。シャープは、技術力には自信があると言っていましたが、実際に日本国内においても、技術力がそこそこで安価なテレビが売れるようになったのです。液晶以外の分野に進出したり、お金があるうちに海外企業の買収に乗り出す事が必要だったという事なのでしょうが、社内の生え抜きであった社長にそういう事は出来なかったのでしょう。

収益を生むものが資産

資産が収益を生むものであるとすれば、現在の資産というのは、インターネット上のプラットフォームであり、アプリという事になるでしょう。実際にアメリカで時価総額が大きいのは、検索エンジンの会社であるGoogle社であり、プラットフォームを運営するFacebookであったり、iPhoneのプラットフォームを提供しているApple社です。今の時代は、インターネットで収益を生み出す企業の時価総額が最も高い所をみても、インターネットのクラウド上で多くの人が使うプラットフォームを持つことが企業価値が最も高くなる方法であるという事になるでしょう。

収益を生み出す会社の株式を持つ人と、収益を生み出す会社の株式を持たない人の差は、最近になってどんどん拡大しています。そして、世界の上位僅か62人の富が世界の下位30億人と同じであるとさえ言われています。このような状況になるのは、工場であれば従業員が働いて労働者に届けるというスタイルでしたが、現在のインターネットは、プラットフォームを提供する側が作り出して、その上でゲームなどのアプリが動いて、ユーザー同士がコミュニケーションを取るので、実際に成功したプラットフォーマ―は、管理者として振る舞う事が出来るので利益率が高くなっています。

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会社なんて早く辞めちゃった方がいい

  • 28 July 2013
  • のぶやん

以前は定年が60歳だったわけですが、今の定年は65歳が当たり前になって、あと10年か20年ぐらいすれば、定年が70歳まで引き上げられると言われています。これが何を意味するかと言えば、70歳になって病気になるまで働けという事です。死ぬ間際まで働くので、年金なんて貰う事を期待しないでほしいという事でもあります。私なんて、70歳まで生きれる自信なんてありません。

働き方が変わってきてる?

日本は、第二次世界大戦の前までは、第一次産業を主力とした農業国でした。戦艦とか車とか作る技術はそこそこあったのでしょうが、本格的に工業国に転換したのは戦後の事です。戦後は、第一次産業から第二次産業に転換が進む中で、日本国内の輸出産業が活性化して、「物を作れば売れる」ような状況になっていました。それが、今では全く通用しなくなってしまいました。

これ参考になりそう:佐々木俊尚 「ノマドの時代」
http://blogos.com/article/23891/

とにかく増える外注

以前は巨大なプラットフォームというのは、1つの企業の中に存在(これを垂直統合と言ったりしますね)したのですが、1つの会社がやったのでは単価が高すぎて競争力がないので、ある程度の規格を決めて外注するというスタイルが多くなってきています。例えば、携帯電話の部品を使いまわす外注工場(EMS)の存在であったり、Apple Appなどのアプリも個人で作ったのが爆発ヒットするのは沢山あります。

日本企業に限らず、世界の多くの企業でこれまでのビジネスモデルというのは、優秀な社員を囲い込んで市場をとっていくモデルだったのですが、これからは1つの会社のプラットフォームを使った個人が影響力を持つという事が可能になったという訳です。簡単に例えると、1つのテレビ局の番組が放送されて反響を呼ぶのと、1つのブログの記事(TwitterやFacebookやGoogleで拡散された)が同等の影響力を人々に与える可能性があるという事です。

非正規雇用が増える背景

企業というものが株主の利益最大化を狙うものと定義するならば、グローバル化の中で企業が利益を上げるためには、少数の優秀である経営幹部と、実際に会社のプラットフォームを稼動させる多くの非正規雇用の安い給料の社員、そして外部の優秀なパートナーがいれば十分という事になります。

実際に会社を動かすのは、少数の優秀な幹部の知能から作り出されるプラットフォームと、それを利用して稼ごうとするパートナーとなります。多くの非正規雇用者はプラットフォームを稼動させる役割しか担う事はできず、言い換えれば代替が効いて誰でも良い仕事という事になります。

正社員が今まで担ってきたような役割というのは、例えば新聞記者のように記事を書いて、それを新聞というプラットフォームを通じて配信してきました。そうした新聞記者が書いた詰まらない記事では反応が悪くなってくるので、ここは世界を旅してきた面白いライターさんを雇って書かせた方が面白いという事になります。今までの新聞記者を担ってきた人には、実際に記事を書かせずに安い給与で記事の修正作業でもさせておけという事です。

プラットフォームを使いこなせるか

Google、Twitter、Facebookに限らず、世の中には巨大プラットフォームが多くなってきましたが、それを使いこなしている人はそれほど多くありません。このようなプラットフォームを使いこなして影響力を持つ為にも、それなりに技術が必要になっており、誰もが気軽に影響力が持てるという訳ではなさそうです。とりあえずは、プラットフォームで上位を取れるだけの技術と継続的に続ける努力が必要になり、これは会社の内部で生き残る事より大変かもしれません。

また、プラットフォームの取り分がかなり大きくなってしまうので、爆発的なヒットを連発していかないと、余るほどの取り分が得られる事はないかもしれません。個人のチャンスは無限大ですが、それでも上位に残るのは非常に大変と言えるでしょう。ある意味では、個人で億単位を稼ぎ出すプロ野球選手に似ていると思います。プロ野球の試合というプラットフォームを使いながら個人プレーヤーとして億円も稼ぎ出すというやり方は、全ての人の働き方に当てはまるようになってきたという事です。

その働き方に中流など存在せず、大リーガーとして活躍する一流プレーヤーであるか、生活もままならないプレーヤーになるかという事であると言えるでしょう。
 

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