シェアリングエコノミーのシェアするコスト!タクシーUberが30億ドルの赤字!意外と儲からないシェアビジネスの実態が明らかに。
アメリカで次々と立ちあがったシェアリングエコノミーの企業ですが、その企業の中に既に倒産してしまった企業などが見られ始めています。その要因とされているのがシェアリングエコノミーのコストの高さです。スマートフォンなどの近代テクノロジーを利用してマッチングするのは良いのですが、実際にピザの宅配であったり、寿司の宅配注文のようなインターネット注文は既に実現されているもので、シェアリングエコノミーでシェアする必要などありません。
意外とかかるビジネスコスト
実際にやってみると、そのコストに驚くというのは、ビジネスでも良くある事です。例えば、不動産の運営などについても、利回り10%と書かれた物件があったとして、修繕管理費、空室を埋める為のマーケティング費用などを考えると、手元に全くお金が残らないという事は良くある事です。紹介された物件の表面利回りに騙されず、自分で考えてコストを計算しておかなくてはいけないという事になります。
シェアリング・エコノミーだからと言って、ユーザーに任せきりにさせないで行うビジネスモデルは、従来のビジネスモデルとあまり変わるところがなくて、そのコストが大幅にかかってくると説明されています。
オンデマンドサービスの多くは「シェアリングサービス」とも呼ばれ、タクシーとか家事代行みたいなちょっとした贅沢をシェアすることでコストも分け合うことができ、良いものが低コストで手に入るイメージがありました。でも実際やってみたら、待機時間の人件費とか、余分な食材とか、複数ユーザーの家を回るための最適ルート計算ソフトの開発費とか、規模を確保するためのマーケティング費などなど、不特定多数の気まぐれな利用に対応するためのコストがかさんで、シェアしきれなかったんです。
http://www.gizmodo.jp/2017/01/why-on-demand-service-are-flopping-like-crazy.html
ウェブサイトを運用するコスト
ウェブサイトを運用したことがない人は、ウェブサイトを運用するコストに驚くかもしれません。オンラインで情報を提供する為には、誰かが更新しなければいけないので、人件費だけで凄まじいコストがかかってきます。人件費に比べれば少ないですが、サーバー代金であったり、ドメイン代金もかかってくる事になります。それでいて、ウェブサイトでお金を稼ぐというのはかなり大変です。
ウェブサイトは、毎日ように大量に作られていますが、アクセスがないサイトがほとんどです。コンテンツを準備するのにコストがかかりすぎて、多くの会社がそのコストを負担したくないという理由で、積極的にオンラインで情報公開を渋っています。また、コンテンツを準備したとしても、そのコンテンツを見てくれる人に対して何らかのアプローチが必要になり、SNSなどで情報を広げないと、訪問者を得られません。
家事代行にかかる交通費
特に都心部において需要があると思われる『家事代行の事業』では、必ず交通費がかかってきて、近くの家の人を雇わないと交通費だけで大変な事になるという問題があります。単純に考えて、雇用主が負担しなければいけない費用というのは、『削減できない交通費+労働に対する対価+シェアリングエコノミーの会社を支える手数料』となる訳です。交通費は、近くの人を採用する事で削減できますが、それにはかなりの規模が必要になります。また、労働に対する対価を下げると、誰も働かなくなってしまいます。
安く見えるように見えるものは、意外と高くついているという事は、世の中で良くある事です。コストを必要以上に削ると、今度は働いている人が誰も真面目に働かなくなり、企業の業績が悪化する事に繋がっていくでしょう。奴隷労働者が工業科された賃金労働者に負けたように、意欲を持った労働者であるほど、長期的に見て企業業績が上向いていくようになるのは当然です。
企業で働く労働者のコスト
企業で働く労働者のコストは、企業が負担しなければ労働者負担となってしまいます。日本の企業は、バブル崩壊後に労働者のコストを削減して、派遣社員などを採用する事で福利厚生(家賃補助など)を削ってきました。そうなると、多くの労働者が負担するお金が増えて、労働者環境が悪化します。労働者は、企業から受け取る賃金がほとんど変わらないにも関わらず、使えるお金(いわゆる可処分所得)が減少して、労働に集中する事ができなくなっていくのです。消費税増税などで、可処分所得の中から更に収入が削り取られます。
日本の多くの企業は、バブル崩壊後に労働者のコストをどんどん削減する事で、何とかその企業体を保ってきました。そうした事は『経営努力』などと評価される事もありましたが、実態としては、労働者が技術開発などを積極的に行わなくなった事で企業の競争力が大幅に低下したと考えるべきでしょう。その競争力の低下は、三菱重工の造船などに見て取る事ができます。労働者が適当に働いて金を貰っておけばいいやと考え始めると、企業として成長する事が出来なくなってしまうのです。結果、新しい技術開発などがほとんど行われなくなり、世界で競争力を失っていく事になります。
Uber30億ドルの赤字
タクシーの仲介を手掛けているUberが2016年に30億ドルの赤字を出したと報じられています。30億ドル(=日本円で約3500億円)と言えば、サービスを世界中でプロモーションするのに十分すぎるほどの費用です。世界的に有名になったサービスではありますが、赤字幅が非常に大きいので、投資化が引き上げればいつ潰れてもおかしくないとさえ言われています。ただ、収入も55億ドルほど確保できているところを見ると、将来の黒字化を見越してUberに投資する人はまだいるとみられています。
Uberは、これほどの赤字を出していながらも、地図ナビゲーションなどの研究・開発を行っているそうで、アメリカ企業は本当にそういう所が競争力の強さを示しています。タクシー代行サービスの競争力を維持する為には、研究・開発を継続していくしかないと分かっていて、研究・開発予算を投じているとみられています。
儲からないシェアビジネス
シェアビジネスが意外と儲からない事が明らかになってきています。その要因を考えると、今まで単価が高かったものを安く引き受けるというような『労働搾取』の側面が強く働いているからです。簡単に言ってしまえば、Airbnbのような民泊などを見ても、ほとんどのサービスを個人レベルに落とし込むことで、旅館・ホテルなどより価格を安くして提供するという価格勝負を挑んでいく訳です。その代償として、安全性が担保されないなどの不利益がありますが、ホテル・旅館とて安い所だと安全性が保障される訳ではありません。
クラウドワークスなどのオンライン外注は、300円、500円といった低賃金のもので、低単価すぎてクラウドワークス自体も儲からないという事態に陥っています。こうしたシェアリングエコノミーというのは、便利である一方で、安価すぎる労働力が問題になったり、相当の数をこなさないと会社すら儲からない(=マーケティング費用がかかる)という問題が生じます。