日本政府・日銀に半国有化されていく日本企業
先日、日銀が国債・株式を大量保有しているという記事を書きましたが、日銀は、既に国債・株式を大量買いしており、日本銀行が高値でいくらでも買い取ってくれるので、市中銀行が日銀に対して国債・株式を大量に売却しています。海外勢もこの機会に乗じて日本株を売りまくっていて、日銀・公的年金が日本企業の株式を買い支えている姿が明らかになってきました。
東京証券取引所が2016年10月6日発表した東京・名古屋2市場の投資家別株式売買状況によると、外国人投資家は1〜9月に6兆1870億円売り越した。これまではブラックマンデーが10月に起きるなど市場が不安定だった1987年の約4兆1000億円が最大の売り越し額だった。 (毎日新聞10/8)
日本銀行が『TOPIXに連動するETF』などを買う事で市場を支えるとしていますが、企業業績を無視した大量買い付けというのは、市場経済を歪める要因になる可能性が高いです。既に日本銀行がETF市場の60%ほども保有しているという事です。
日銀はヤマハ株を実質5.91%保有、保有率5.49%で筆頭株主のブラックロックを上回った。日銀以外の株主の比率が現状のままと仮定すれば、現時点で実質保有率が5.31%のセコムや4.55%のカシオは年内、来年3月までにはエーザイや電通、安川電機、ニチレイなどでも日銀が筆頭株主化する。17年末にファナックや京セラ、テルモ、ダイキン工業、TDK、住友不動産、オリンパス、アドバンテスト、三越伊勢丹ホールディングスも加わると、日経平均構成銘柄の4分の1を占め、18年末には82銘柄と全体の3分の1を上回る見込みだ。(ブルームバーグ8/14)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-08-14/OBMQHN6KLVRU01
日経平均株価225社の9割で日銀が大株主
日銀が日経平均株価225社の9割で上位10社の大株主になってしまっています。政府・日銀が上場企業に対して発言力を強めているという事でもあります。こんなに日銀が市場の企業株を購入して、出口をどうするのかという事になります。これほど大規模に日銀が保有してしまうと、日銀が売り始めると、株価が暴落する危険があります。
日本の国全体が少子高齢化していくなかで、収益性が高いものに投資していかなければならないのですが、最も収益性が高いとみるべきは『企業ではなくて個人の子供』です。子供に投資をしておけば、人口増加に伴って消費が活発化して経済が好循環になります。今のように『既存の業績が悪い企業まで全部救済する』ような手法というのは、企業の淘汰が進まなくなってしまうので、将来的にヤバい企業が生き残ってしまう事になります。旧ソ連の国有企業のような状況になってしまう訳です。
企業業績が良くなるところに投資するのは悪いとは思わないですが、ETFのように『何でもいいから株価を釣り上げる』という手法をとっていくのは、市場経済にとって好ましくありません。日銀から投資されたお金は、赤字補てんに充てられるか、従業員の給料に消えてしまう企業も多い事でしょう。本来は潰れている企業が潰れなかったり、従業員の給料が課題になってしまうなど、企業経営に甘さが出てしまう可能性があります。
お金をばら撒く効果がない
株式を保有している人にとって、株価が大きく上昇して利益を出すことが出来るので、今回の金融緩和は支持されるでしょう。銀行・証券会社、そして自分たちの株式を高値で買ってくれる上場企業の全てに支持される事でしょう。上場企業に入っていれば、この株価が高い事によって、従業員の『持ち株会社』の持ち株の高値に喜ぶかもしれませんし、ボーナスで少し分けて貰えるかもしれないので、それなりの支持が得られるでしょう。
金融緩和というのは、ヘリコプターマネーと同じでお金をばら撒く行為であって、株式を保有しない個人であったり、年金生活者、派遣社員労働者などに全く恩恵がない話なのです。本来、お金を得なければならない人たちにお金が行きわたらず、お金を持った人にお金をばら撒いても、景気が良くなるはずがありません。それどころか、ばら撒いたお金を後で帳尻を合わせる為に、増税などが行われて、税金で搾取が行われる可能性すらあるのです。