会社員としての意識では『日本でこれから通用しない』というのは事実
経営者・株主から見ると、労働者の報酬がいかに低く抑えるかという事が大変に重要であり、ギリギリまで低い所で抑えられているのです。今の世界の状況は、下位30億人と上位60人の資産が同じだと言われているので、言い換えれば『お金がない人がお金を取り合っている』と考える事も出来ます。お金を奪い合っているのは誰かと言えば、発展途上国に暮らす貧しい人と、先進国ので働く最下級の労働者であると言えるでしょう。
サラリーマンなどは、労働力を提供して給与を受け取る訳ですけど、労働力というのは会社の『コスト』として存在する訳で、会社は利益を出して株主に還元しています。言い換えれば、優秀であればあるほど、自分が『コスト』とならないように株主側に回ったり、経営側に回ったりするようになります。
利益を出せなくなった日本モデル
戦後の日本は、安くて良質である労働力をアメリカなどに輸出する事で成立してきました。そのモデルは、90年頃から中国が台頭してくる事によって崩れ去る事になります。日本のモデルが崩れ去った事で、日本の会社は利益を出しづらい体質になりました。株主の為に利益を出さないといけないので、工場などは海外に移転するようになって、日本の多くの製造業は海外で製造を行うようになりました。
このような中で、日本で雇用を守るという観点から、正社員をリストラしたり、契約社員・派遣社員などに置き換えていく事になりました。日本では、かつてのように『会社員で普通にやっていれば給料が貰える』という時代ではなくなっています。そもそも、多くの工場が海外に移転しており、日本で製造自体を行わなくなったからです。
日本で求められる高度な能力
日本では、製造業が大幅に衰退して、完全に『モノづくり国家』とは言えない状況になっています。90年代から中国の台頭は凄まじいもがあり、はっきり言って日本は完全に中国に飲み込まれた形になりました。今までと同じようなやり方をしている人は、『全員が負け組』になってしまう事が分かります。サラリーマンなどは、今まで以上に自分を磨いていかないと、生き残るだけで至難と言えるでしょう。
工場が海外に移転する中で、日本国内に残った会社の競争が激しさを増して、利益が出しづらくなっているのです。例えば、運送業などにおいて、ヤマト運輸が中間決算7000億円の売り上げに対して利益200億円なので、利益率が3.5%と非常に薄利多売であることが分かります。このように競争が激しくなってくると、利益を出す為に1人当たりの従業員に求められる作業量も膨大なものになってきます。
ITが成長産業から成熟産業へ
IT業界の競争まで一段と激しさを増していて、IT業界の中でも利益がどんどん出にくい状況になってきました。例えば、スマートフォンのアプリなどの開発競争も非常に激しくなっていて、開発会社が破産する例も出てきています。ユーザーが求める機能も高度化しており、1本当たりのコストがどんどん上昇して、大手でないと数本を並行して開発したり、マーケティングする事も厳しい状況になっている現実があります。そして、このIT業界の競争は、これから更にグローバル化に向かって本格化するので、より厳しい競争が待ち構えている事は間違いありません。
IT業界でも淘汰が進んでいくので、自社の新しい技術開発であったり、技術力を高めていかなければならない事は間違いないでしょう。会社の業績が一時的に良いように見えた会社でも、コストがかかる開発をした挙句に倒産してしまう事も出てきました。例えば、ツィッター社などは、上場してからずっと黒字が出ないで悩んでおり、2016年10月には、Vineを売却するに至りました。
格差社会の多くが経済的底辺になる
日本においても、格差社会が表面化して問題になっていますが、格差を解消していくのは、容易な事ではありません。格差社会と言うのは、社会にとって良い事ではありませんが、先進国・発展途上国という国境線がある以上は、先進国において格差が出てきてしまっても、国境線をまたいで移動できないので格差が解消しづらくなってしまっているのです。つまり、自分で国を選べれば、福祉が充実した国を選んだり、教育でやり直しの機会が得られるかもしれませんが、自分の国にずっといた場合には、経済的に底辺から抜け出せなくなってしまうのです。
経済的に底辺になってしまうと、抜け出すのが本当に大変な社会です。お金が無ければ、満足に食事する事も出来ず、その結果として奴隷のように働くしかなくなってしまいます。最近では、大学を出たけれども、簡単な仕事しかできずに苦労している人が沢山出てくるようになりました。日本において20代~40代までの世代においても、グローバル化の中において何ら技術を身に着けずに年齢を重ねる人が増えています。
チャンスが全くない訳でもない
このような格差社会においては、チャンスというのが非常に小さいものであることは事実ですが、チャンスが全くない訳でもありません。例えば、会社に勤務するのではなくて、自分で事業をやって、ギリギリまで頑張りすぎるぐらい頑張る事で成功する可能性が少しぐらいは残されているかもしれません。いわゆる起業家の『ラーメン代』と言われるものですが、ラーメン代を稼ぎながら事業を継続して、チャンスを待つという事です。これは、時間がかかって良い方法ではないのかもしれませんが、全力で頑張るというのならば、こういう方法もアリだと思います。少なくとも、自力で生きる能力を身につければ、それほど強いものはありませんから。
IT関係の技術が高度化するに従って、チームで大きなアプリを開発する事が普通になっていますが、そんな時だからこそ低コストで開発できた場合の競争力が非常に強い訳です。しかし、一般的に言えば、そういった事はあまり起こらず、チームで開発した方が短期で競争力が強いものが仕上がる事が多いです。その点を工夫しながら行う事によってチャンスが生まれると言っても良いでしょう。1つの点に絞って1点突破を図れば、稼げるようになる可能性も高いでしょう。例えば、自分が得意な分野で非常にマニアな分野について、研究を重ねていくという方法があるかもしれません。その場合でも、並大抵ではない時間と集中力が求められます。