2015年9月に成立した改正マイナンバー法によって、次々とマイナンバーの運用範囲が拡大していく事になります。これは、富裕層にとっても、サラリーマンにとっても、主婦にとっても無縁な事ではありません。お金の絡む事になってくるので、良く知っておく必要があります。
海外在住者が日本に証券口座、銀行口座を持っていた時にどうすればいいのかなど、様々な問題が起こってきていますが、国は財政難を理由にマイナンバーで個人資産を全て丸裸にしようとしているので、マイナンバーの運用を個人でも良く知っておく必要がでてきました。
マイナンバーと証券口座
マイナンバーと証券口座の紐付けは、銀行口座よりも早い2016年1月に開始されています。証券口座の場合には、2018年末までにマイナンバーを通知する義務が生じています。それを行わなかった場合にどうなるかは不明ですが、一定の猶予期間ののちに証券口座がロックされる可能性があると考えられています。
2016年1月以降の口座開設は、既にマイナンバーが必修化されています。
マイナンバーと銀行口座
マイナンバーは、2018年1月以降で銀行口座に紐付けが開始されます。2018年1月の時点では準備段階となっているので、強制力はなくて紐付け任意となっています。本格的に運用がかいしあれるのは、2021年から銀行口座で義務化された時と考えて良いでしょう。
銀行口座の場合には、猶予期間は証券口座よりも長くなっているので、銀行口座の方は後から考えればいいでしょう。
海外口座で必要になるマイナンバー
2017年から香港HSBCの口座開設にマイナンバーが必要になりました。もちろん、これは日本に口座情報を送る為のものです。香港に口座開設を行う人の目的の多くは、日本の当局に税務情報を把握されたくないという人が多いので、その目的は全く無意味という事になります。香港に口座を開設したとしても、日本に居住していれば、日本にしっかりと税金を納付する必要があります。
香港の口座開設業者などは、『2017年でも口座開設ができます』などと言って、口座開設させようとしていますが、口座開設ならばいつでも、誰でも簡単にできます。しかし、香港HSBCに口座開設する意味というのは、国内銀行に口座開設するのとほとんど変わらないので、無理してまで開設しなくても良いでしょう。もし、メリットがあるとすれば、日本で預金封鎖が行われた際には、香港には及ばないという事ですが、その代わりとして香港の口座を凍結されるというリスクもあります。
マイナンバーの目的
生活保護の不正受給などが報道されていますが、実際に生活保護を不正受給する人などはごくごく僅かであり、現状においても大きな資産を隠すことは簡単な事ではなくなっています。マイナンバーの本当の目的は、国民の資産を把握して、金融危機などが起こった時には、その資産の中から税金をかけたりする事ではないかとみられています。2003年本人確認法以前であれば、銀行口座は適当(例えば学生証)に開設する事ができましたが、本人確認法が施行されてから厳格化されたので、それ以降の架空口座はほぼ存在しなくなりました。
・2003年に施行された本人確認法
・2008年に施行された犯罪収益移転防止法
・2001年から全国網となった国税総合管理システム
2001年からの国税総合管理システムによって、銀行に紐付けされた10万円以上のお金の入出金を調べたりすることができるようになっていて、納税額が明らかに小さいのに100万円をやり取りしているなど、お金の動きが大きなものについて国税庁が把握するようになっています。
現在でも不正を防ぐ法律というのは、十分に整備されているので、マイナンバーが行われる目的は、銀行口座・証券口座の資産把握という事になるでしょう。少なくとも、国内の資産を隠すという事は、現金で保有しない限りは難しいという事になりました。銀行口座を分散させたところで、国内にある銀行口座は全て把握される事になります。
銀行預金が危険になる
銀行預金は、マイナンバーによって『預金封鎖』としてロックされる危険性が高くなりました。日本が財政難だからという理由によって、銀行預金がロックされてお金が引き出せなくなるという事が起こります。外国人が国債が危ないからという理由で円売りを仕掛けてきた時には、預金封鎖が起こる可能性があるでしょう。その代償としては、誰も銀行の事を信用しなくなり、銀行からお金を常に引き出して外貨などを保有したがる可能性があるでしょう。