私がMixiを始めたのは、2003年の終り頃だったと思いますが、当時は数百人しかユーザーがおらず、まさかこんな大きいサービスになるとは夢にも思っていませんでした。それから数年でMixiは巨大な企業に成長して、上場までしています。しかし、今ではFacebookやTwitterなどの競合にさらされて、ユーザーを大きく減らしています。10年もログインし続けていた私でさえ、今ではほとんどMixiにログインする事はなくなりました。Facebookにもあまりログインしていません。Twitterも利用していますが、個人としては利用していません。
自分の頭で考える事の重要性
Mixiは、アメリカで流行していたソーシャルネットワークを日本に持ち込んで開発されたものです。匿名性の強さ、コミュニティの使いやすさで大きくユーザーを増やしましたが、途中から方向性が見えなくなってきていました。2006年2月にYahoo! Japanに対抗したようなMixiニュースを始めた頃から大きな違和感を感じるようになりました。何で個人のプライベートな空間にニュースが必要なの?と思った訳です。それからどんどん開発を重ねて機能が複雑化していくのですが、それでもユーザーは増え続けました。
Twitterがサービス開始から一環してシンプルであるのとは大きく異なっています。Mixiは、友達を繋げて、コミュニティで別の人と繋がっていればそれで良かったのです。ニュースも要らなかったし、Mixiページも要らなかったし、もちろんMixiショッピングなんて全く不要でした。FacebookやTwitterなど競合に惑わされて、自分で考える事を失うとこのMixiのようになるのかなと思います。ベンチャーならばそれでもお金になる事はあるのですが、大手が相手に惑わされると大きく自分の価値を損ないます。
ウェブアプリの開発
ウェブアプリを開発していくと、どんどんあった方が良い機能を思いついて、気がついたら別のサービスの真似になっていたという事は良くあります。自分が見た事があるサービスに近づけたいと思って開発していたら、いつの間にか似たようなものが出来上がるものです。だけど、それは本家の後追いになってしまうので、結局は何か微妙に違う所で本家に及ばない場合が多いです。例えば、手島屋がリリースしたOpenPNEがMixiにそっくりでしたが、OpenPNEを導入してもユーザーを集めるのが至難の業でした。
大企業が失敗する理由
上記で書いたようなジレンマは、多くの大企業が抱えている問題とも言えるでしょう。儲かる株があると人に言われてから買ったのでは、もう既に株価が上がりきっている状態(つまり市場は飽和状態)にあるので、成功は難しいという事と同じです。例えば、シャープがアップル社を真似して「ガラパゴス」をタブレットPCとして発売しましたが、完全に時代を読み違えており、全く売れずに撤退した状態となっています。
ベンチャー企業であるにも関わらず、NAVERまとめを模倣して作られた「はてなまとめ」は、全く使い物にならずに失敗しています。「はてな」は、いつの頃からか独自性が失われて、他の企業を真似するような企業になってしまいました。人力検索はてなも、良く使っていたのですが、リニューアルしてから使い方が分からなくなったので使わなくなりました。日本では、独自性を持たない事が良い事とされており、多くの人とあまり交わると独自性はどんどん失われていきます。1人で集中して研究や想像力を働かせていた方が良いものができるという事もあるでしょう。
多くの人がスペシャルを探そうとする
最近は、都内の高級ホテルも過剰と言われています。どこに行っても似たようなサービス、似たようなお部屋なので、今の人は高級ホテルにも感動する事はありません。既に高級なサービスに慣れて、ほとんど感動する事はないからこそ、多くの人が「この価格では高すぎる」と思って、価格競争を求めてしまいます。高級ホテルと言えども、他のホテルと差別化した設備、サービスを打ち出せなければ、これからはユーザーが定着しない状態に陥るという事でしょう。
更に付け加えれば、人材というのもスペシャルが無いと採用されない時代となってきています。企業は、誰でも出来るようなサービスであれば、それほど高いお金を支払おうとは思っていません。試験で大学を合格すれば、いかに一流大学と言えども、周囲と全く同じような教育を受けて育ってきていますので、企業の中で特別な存在になる事は非常に稀です。何が出来るかというスペシャルな部分が求められ、それが無ければ採用されても給与は期待できないでしょう。
企業側としても、もしスペシャルを特に求めず、従来どおり学歴を重視した採用ばかりを行っていれば、確実に前途多難に陥るでしょう。今までどおりにやれる人材を採用しているばかりでは、携帯電話のように「従来どおりのやり方」で通用しなくなった時に、急速に危機的状況に陥るのです。