日本政府は、実質的に子会社である日銀に日本株をETFを通じて大量に買わせています。ユニクロは既に15%以上が日銀の保有になっており、多くの民間企業が10%以上の保有になっています。
日本の個人投資家も株式市場にかなりの金額を投入しており、株価が大幅に下落するような局面になれば、大きな損をする事になります。日銀のETF買いが行われないと、すぐに株価が暴落する可能性があり、日銀がどんどん買い支えるようになっています。
業績が良くないのに株価が上がる
日銀がETFを購入して株価を下支えする事によって、業績が良くない株まで上昇する事になります。株価が上昇する事は、企業にカネ余りを生じさせて、不動産投資などに向かわせます。市場の資金需要はなくなるので、金利が低迷する事になります。
社会の所得底辺層は資金需要があるにも関わらず、そこにお金が供給されず、銀行による高利貸しが行われたりしています。社会的には、弱者からの搾取と言われるような状況にあると言えるでしょう。
データ改ざんは偶然ではない
大企業による企業のデータ改ざん問題などが報道されるようになってきていますが、これは偶然ではありません。企業が株価が上昇する中で、その株価に見合った新しいサービスを生み出す事ができず、技術力がどんどん陳腐化してきています。技術開発にお金を投じても、企業内部に開発要員・若手が少ない状況で、技術力で諸外国に勝てない状況になってきています。
このように技術力が発展しない中で、株価を維持するプレッシャーにさらされると、企業業績を良く見せる為に『データ改ざん』が行われます。諸外国のデータに勝てないので、改ざんして上辺を良く見せようとするのです。日本の技術力の大幅低下を示しています。
資金が動かない経済デフレへ
個人にお金が供給されないという事は、資金が動かない経済(デフレ)を招きます。大きな企業にお金が吸い上げられて、税金などが高すぎる事により、個人の可処分所得が著しく損なわれる経済です。
個人の可処分所得が損なわれると、無料の経済のようなものが発達して、広告で『間違えた消費』というのは発展しますが、実際に使えるお金は限られているので、経済が活性化しないことになります。
人々の需要と価値を損なわせる
日銀は、恐ろしく高い値段で株を購入してくれるので、株価は高値を維持して、実際の市場価格と乖離が激しくなっています。例えば、日本テレビは、視聴率にほとんど変化がないのも関わらず、売上だけが倍増している状態にあります。ビジネスモデルの変化などの努力をせず、表面上の株価釣り上げによる資金の流入が起こっている可能性があります。
本来であれば、企業経営が危機的な状況になってもおかしくない中で、大企業に資金を集中させる救済策をとっています。このような手法は、技術革新を損なわせるので長く続きません。実際、テレビ局の視聴率はどんどん低下していますが、テレビ局は新しい収益のビジネスモデルを見つける事ができずにいます。
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