崩れ始める正社員のシステムで格差拡大!日本企業に依存しない事の重要性
40代以上の中高年フリーター(派遣社員・アルバイト)が社会問題になってきています。日本のバブルが崩壊した1990年以降、今まで正社員が行ってきた仕事を派遣社員・アルバイトに切り替える動きが広まりました。特に2000年以降に就職した団塊の世代の子供世代にあたる『団塊ジュニア世代』は、就職氷河期と言われる時代に社会人になって、就職できない人が派遣社員・アルバイトなどでフリーターになりました。
労働者の高コスト化
正社員の労働者を雇い入れるという事は、企業としても簡単に削減する事ができない固定費用がかかる事になります。日本の法律では、正社員を勝手に退職させる事は難しく、本人の同意を得る必要があります。この為に強引に退職させる為に悪質な嫌がらせを行う企業もあるほどです。
中国・アメリカなどの国では、契約が主体となって動くので、日本のように保護された正社員という制度は見られません。日本では、戦後の経済成長の中において、新卒社員を育成するコストが高く付いて簡単に辞められると困るので、年功序列・終身雇用のシステムが形成されました。バブル崩壊後の1996年の労働者派遣法改正によって、派遣労働者が自由化されていき、正社員のポジションが派遣会社を通じた派遣労働者に順次置き換わっていく事になりました。
正社員の仕事の質
正社員が派遣社員・アルバイトよりも2倍以上も仕事の質が高ければ、それだけ給与を貰うのは問題ないしょう。しかし、正社員の実態としては、新聞記者が記者会見でメモを取ったりする様子を見ても、大学生のアルバイトが出来る仕事をしているだけであり、能力値が高いと言える仕事内容ではありません。このように、本来200万円ぐらいの仕事内容で、年収800万円を得ている社員が沢山いて、日本起用が企業競争力を失ってきました。
グローバルの労働競争が進んでいくに従って、働き方が多様化していき、終身雇用、年功序列の維持は困難になってきました。日本のフルタイム正社員を維持している企業は、国際競争力の点で新しい開発ができずに負けるようになってきたのです。優秀な人間というのは、企業でフルタイムで働くのではなくて、フリーランスや自分で起業するなど独立するようになってきています。
正社員システムの形骸化
特に中小企業においては、正社員と言っても、社会保障を付けたふりをする『名ばかり正社員』というものが横行しており、その給与水準は派遣社員・アルバイトとほどんど変わりません。正社員としてあるのは、健康保険・厚生年金ですが、健康保険は国民健康保険にも入れるし、年金をいくら支払っても70歳まで受け取れません。簡単に言ってしまえば、国民健康保険は国の方に加入して、年金は払っても払わなくても同じです。
大企業においても、正社員を削減して、同じ仕事を派遣社員・アルバイトに任せるようになってきました。簡単に言えば、ほとんど派遣社員・アルバイトでも企業が回るという事を意味しています。豪華クルーズ客船では、少人数の白人正社員と、大多数のアジア系の低賃金労働者で構成されています。企業を回す正社員を少数に抑えて、ルーティンワークを派遣・アルバイト・外注した方が効率が良くなるのです。
領土拡大が終焉したローマ帝国
現在の日本の状況は、領土拡大が終了して奴隷が不足したローマ帝国にも似ています。ローマ市民を支えてきた奴隷の供給が不足する事によって、奴隷の価格が上昇して、奴隷労働を前提とした奴隷制を前提としたラティフンディウムは成立しなくなります。そこで、奴隷とちがう没落農民などの自由人である小作人が使われるようになり、現在のサラリーマンに近い位置取りで働く人が多くなっていきます。
自由人・小作農家というのは、個人の財産を所有ながら、結婚する自由があるなど、奴隷に比べて一定の権利を保有していました。今の日本において、サラリーマン正社員という身分は、会社を通じた身分保障はありますが、拘束時間が非常に長いという事と、長期に勤務すればするほど辞めづらい状況になる(中年で辞めたら次の職場を見つけられない)など、かなり会社に一生を縛られた状況になっている事は確かです。
自己資産の重要性
江戸時代の後期になって自作農が貧しくなってくると、最後に売るものがなくなって田畑を手放して、小作農に転落してしまいます。農民が田畑を手放すことは、収穫量が減少する事に繋がったりする問題があり、江戸幕府も1643年『田畑永代売買禁止令』を出して、田畑の売買を禁止して、1872年に廃止されるまで名目上の効力がありました。しかし、江戸後期になると、貧しくなった自作農の農家が田畑を手放すことが良く見られました。
実際には、江戸中期頃から貨幣経済が発達して、生活に困ると富裕な農民に田畑を担保に借金をして、それが返済できなくなると、田畑を取られて小作人に転落しました。この結果、飢饉が起きる東北地方などで小作農が増えました。小作人は、地主に対して決められた小作料を支払わなければいけないので、不作の年に困窮する事になりました。農民による副業・出稼ぎなども行われていたようです。
お店の奉公人サラリーマン
企業で働くサラリーマンという存在は、ほとんど資産という資産を持っていない人たちです。正社員としてボーナスなどで蓄えを持ったとしても、定期収入を持っていないので、退職したらすぐに消えるような僅かな金額です。それでいて、企業に対する拘束時間は非常に長い上、一生を同じ企業で過ごすという事もあります。このようなサラリーマンという身分は、自由であると言いながら、自由がないのと同じです。その代わり、辞めろとも言われず、会社が潰れない限りはある程度の給与が保障されます。
日本では、今でも新卒で入社したり、長期雇用の慣習が残っていて、転職が欧米の半分となっていたり、フリーランスで働いたり起業を志す人も少ないです。このような状況で、世界と日本企業のギャップが拡大しています。しかし、日本企業が国内で派遣社員・アルバイトなどの働き方をした人が十分な職業教育を受けていないという問題が生じています。
薄れる会社在籍のメリット
日本の会社に在籍するメリットは、少しずつ薄れてきています。多くの会社が業績連動給などになって、業績が悪いという理由で給料が上がらない、ボーナスが少ないという問題が出てきました。会社で昇進をして責任は重くなるけど、給料が上がらないので『ほどほどの地位でいい』という社員も多くなってきました。
アメリカにおいては、既にフリーランスが3割を超えて増え続けていて、2020年に労働者の半分がフリーランスとして働くとされています。フリーランスになると、そもそも転職という概念が存在せず、特定の企業との契約によって働く労働の形態となっています。フリーランスの場合には、自分で会社を設立するなど、自分でセールティネットを構築する必要が出てきます。