産業革命では、農村部で働いていた小作人が都市に出て働き始める事で、工場労働者・ブルーカラーと呼ばれる人たちが生み出されました。今日、情報革命の時代においては、都市でホワイトカラーと呼ばれる人たちは、自動化される事でどんどん不要になり、その給与を落としていくことになりそうです。ホワイトカラーが行ってきた作業は、どんどんコンピューターに任せるようになるので、ホワイトカラーがいらなくなるのです。
電話する営業員は、既に自動オペレーターであったり、証券会社の電話営業がオンライン発注に変わってきています。銀行の窓口がなくなり、ATMになったり、オンライン銀行になってきています。既にATMすらいらない、携帯電話で支払うという方法を使っている人も多いのです。それだけ電話交換手のような仕事や、証券取引所の取次ぎをしていた人もいらなくなります。取次するだけの人はすぐに不要になっていくのです。
知能ゲームと言われた将棋は、既に人間がコンピューター(AI)に勝つことが難しくなってきています。知的であると言われてきたルールに基づいたゲームは、コンピューターの方が強くなってきているのです。「アルファ碁ゼロ」は、基本的なルールを教えると、大戦を繰り返す独学で1日ほどで人間よりも強くなるそうです。
学歴というのは、『ものを暗記する力』が高い事を意味していましたが、その意味が極めて薄くなる時代になる可能性があります。どんなに学習能力が高い人であったとしても、単純作業であればコンピュータに勝てなくなってきているからです。プログラマーであっても、最先端のプログラム研究者以外は、文系で普通にワードやエクセルのようなもので扱えるようになってくるとされています。
最先端の研究をしてプログラムする難易度はどんどん上昇しており、学歴を大学院を出て研究しているようなバリバリの理系プログラマーが最先端に居て人工知能などを自らのプログラムで実戦していくような一流研究者が研究する他は、軍事分野の研究、民間の技術はGoogle社のような巨大資本が優秀なプログラマーを抱えながら研究していくような状況になっています。
教員が教える事が非常に非効率な事になり、ビデオ学習で自分が分からないところだけを効率的に学習できるようになります。非効率な事をしていたのでは競争で負けてしまうので、効率を追い求めていく事になると、狭いことを教える今の学校の教員が必要であり続けるとは思えません。もっと効率良くビデオで学習した方が大学入試に強くなるばかりではなくて、多くの知識を吸収する事ができます。
実際、多くの学生がスタディサプリというものを利用して勉強を行っています。オンラインで学習した方が大学に受かる可能性は高くなるからです。
シャープの4K IGZOディスプレー「PN-K321」は、2013年に発売された時に実売で45万円(32インチ)したものが、今では10万円を切る価格です。僅か数年で価格が4分の1人なったという事は、『随分と安くなった』などと関心している場合ではありません。それだけ家電製品で金を稼ぐ事が難しくなった事を意味しています。1台45万円であれば、働き盛りのサラリーマン日本人1人分の月収に相当しますが、10万円ではアルバイトの月収にも達しません。40インチの4K液晶ディスプレーが5万円で売られる時代なので、シャープのIGZOディスプレーは、その付加価値でまだ価格を保っているようなものなのです。
シャープのIGZO技術は、シャープが苦労して開発したとして最後まで出し渋りましたが、結局はシャープ全体が台湾企業の鴻海に買収されてしまう事になり、日本企業ではなくなりました。台湾の鴻海は、シャープの技術を手に入れた事で、高解像度の液晶画面を作れるようになり、様々な会社からの受注に対応できるようになりました。世界中から受注を受けられる鴻海からすれば、大きな買いものであったとしても、良い買い物と言えるものだったでしょう。
現在、簡単なドラフトを描くと、それをプロが描いたようなものに修正してくれたり、自動で色付けしてくれたりするAIは開発されています。絵を描く事が自動化されていくようになっていくと、アニメーターなどの作業が更に楽になって、同時に単価が更に下落していく可能性があります。イラストを素人が1ヶ月勉強したらアニメーターになれるような状況になり、アルバイトに少し練習させて、作業させればいいという状況になってしまうからです。
ゴッホの絵が価値を持つのは、ゴッホの絵の価値に『ゴッホの人生そのもの』が含まれているからでしょう。ゴッホは、壮絶な人生を生きた事で映画化もされるほど有名ですが、誰も描けなようなものに価値が移っていく事になります。もともと、アニメもそのストーリーが最も重要とされてきました。
ツィッターなどのSNSの多くは、手動で情報発信が行われています。これからの社会で大切になることは、自分がいかに多くの人に影響力を与えられるかという事になってくるでしょう。影響力を持っている人は、1回のツィートを行うだけで100万人に告知して、大手メディアに匹敵する影響力を持ち合わせています。一方、何も持たない人は、1回のツィートをしてもRTを10回ほど貰うだけで大変です。
ツィッターのようにファンが付くようなものであれば、電話交換手であったり、証券取引所の立ち会い取引をしていたような人とは違ってユニークです。ただし、実際には流行に左右されやすいもので、橋下徹さんのように200万人フォロワーを抱えていながらも、既に人気が下火でリツィートされないような人も出てきて、人気取りの競争も激化してきています。
新聞記者は、日本の購読者数が非常に多いので高額報酬を得ていますが、今の時代にインターネットが発達すると、新聞が情報を発信しなくても当事者が情報発信する事が増えてきました。このような状況において、新聞記者に求められているのは、その個性であり、自分の力でフォロワーを集める力です。そうした個性派の記者以外は、これからは生き残っていけないでしょう。単に政府の記者会見でパソコンを打ち込むだけなら、時給1000円のアルバイトにやらせてればいいからです。
長期にわたって電話交換手をやっていた人は、電話交換手を辞めたとしても、他にできる仕事は限られているでしょう。労働者というのは、仕事をポンポンと簡単に変える事はできないのです。仕事を変えようと思ったら、一般的に長期の学習時間を必要とします。しかし、それが今では自動化されて更に難しくなっているのです。具体的に言えば、囲碁はロボットに学習さえれば、24時間で人間を超える熟練者になると言われています。ロボットを超えたような作業ができないと、どこに行っても使いものにならないとすれば、もう労働者にとって悪夢と言えるでしょう。