NAVERまとめにみる「カテゴリ横断」の必要性
どうしてYahoo Japanの検索がGoogle検索を採用したかといえば、Yahooが使っていたカテゴリという概念が古くなって限界をむかえていたからです。Yahoo Japanでは、人力でウェブサイトを巡回したり、推薦を受けたりするなどして、ウェブサイトをカテゴリに分けていました。しかし、ウェブサイトが膨大になる中で、このような手法が限界を迎えて、結局はYahoo検索自体の精度が高くなくなったという理由から、Google検索を導入する事になりました。
NAVERまとめのカテゴリ
NAVERまとめにもカテゴリというものがありますが、良いまとめになればなるほど、カテゴリ横断が見られるようになってきました。例えば、ファッションのまとめであるが、最新の動向を含めたならばニュースのまとめになるので、カテゴリがニュースになるかファッションになるかは迷うところでしょう。また、ファッションのモデルから入り口を作りつつ、その業界を探った「プラダを着た悪魔」のようになれば、ビジネスカテゴリに入る事も考えられます。
単にファッション系を並べるようなまとめは、確かに必要ではありますが、まとめというキューレーションの性質を重視していけばいくほど、カテゴリが複数になる「横断まとめ」というものが増えていくように感じます。そして、そうした「横断まとめ」というものは、「これとこれをこう組みあわせてきたか!」という面白さを生み出していく事になります。
複合キーワードの重要性
人々は常に面白いものを探しているにも関わらず、Googleの検索では「面白いアイディア」などを探す事はできません。常に自分が知っているキーワードで検索して、自分が期待する結果のタイトルをクリックするだけという動作です。そこでNAVERまとめが求めてほしいと思うのは、もう少し高度な検索であり、検索結果から「面白いアイディア」が思い浮かぶような興味深い記事があれば良いという事になります。
具体的には、カテゴリに詳しい人物(例えばファッション業界の人がファッションに詳しいのは当たり前)が見て、「面白い」と思える内容を含めるようなまとめが求められる可能性があります。例えば、ファッションのまとめにファッション雑誌では絶対に見られない「経営者のファッション」であったり、「主婦のファッション」など、少し意外性のあるネタを加えたかたちのまとめなどから、新しい発見があるかもしれないというスタイルです。
自分の世界観を展開する
2ちゃんねるのコピペブログというのは、2ちゃんねるに書き込まれた「数多くの意見」の中から、面白そうなものを抜き出して、ブログ記事として公表しているものです。これはこれで面白くて、爆発的にアクセス数を稼ぎ出してもいますが、表面の浅い論争が多くなっていて、「単に面白いだけ」で終わっています。必ずしも役に立つとか、人生が変わったとかいう内容のものが多く含まれている訳ではありません。そういうものは、数年すれば「飽きられる」可能性が強いです。
NAVERまとめがこれから発展していく為には、インセンティブを受け取っているキューレーターが単独で「俺の世界」を見せていく必要があります。ある意味では、「映画のように自分の世界を見せていく」という芸術的な価値を持つ可能性もありますし、別の角度から見れば、自分のエゴを広めていく作家のような役割を演じられる可能性もあります。従来は、新聞記者など詳しくない人(記者はライターで専門家ではない)が行っていた作業は、個人の詳しい人(マニアという)が行った方が面白いよねという世界になってきています。
マニアが別の視点を切り開く
一部の業界マニアというのは、普通の大衆が知らない知識・情報を持っています。キュレーションの可能性というのは、この専門性の高いマニアたちが今までのサイトが提示できなかった情報を、分かり易く提示できる可能性があるという事です。
逆に言ってしまえば、今の業界は、何かの専門性やマニアの分野を持っていたり、新しい情報をどんどん提示できるぐらいの能力がないと、どこに行っても低賃金の安労働しかできないという事もできます。
自分の強みで市場を支配する
くまもちさんがファッションまとめに特化してまとめを作り続けているように、自分の強みを追及していく事は何より重要であると感じます。強い分野で市場を支配するぐらいの勢いがないと、インターネットの世界でコンテンツを残す事は難しいと言えるでしょう。しかも、強い分野が1種類だけだと、先ほど上部で述べたような理由で深みが欠けてきます。
重要な事は、自分の絶対的な専門性やマニアの分野を1つ持ちながらも、それを取り囲むような形で、別の分野からアプローチをしかける事だと感じています。それが人々に「新鮮感」を与えて、多くのファンを獲得していく事になると感じます。単にファッションを行っていくだけではなくて、別の分野と組み合わせたり、もしくは更に専門性を磨くなど、キュレーターとしてもやる事は多々ありそうです。