労働者が一生懸命になって働けば、車を持ったり、家を買ったりして『資産』と言えるものを持てる時代もありました。しかも、この資産と呼べるものは値上がりして、懸命に働いて貯蓄でもしていれば、どんどん豊かになっていく可能性があったのでした。しかし、今の時代は全く違った姿になっています。一生懸命働いたところで時給も上がらない派遣社員などが増えて、明日のご飯に精一杯。
今でも、大手企業などで給料がしっかりとしたところで『正社員』として働いていれば、以前ほどではないにしても、そこそこの資産が持てる可能性があるでしょう。
『格差社会』と言われていますが、働いて普通に給料を貰っているようなかつての『正社員』の職業と言えども、日本においては資本家・実業家と呼ばれる人たちにに遠く及ばず、中国の労働者と競争する単純労働者になろうとしています。少し頑張ればどんどん成果が出て報酬が増える時代ではなくて、頑張ってようやく維持できる程度の状況が今の日本です。更に市場で勝っていく為には、忍耐・継続の努力が必要になります。
日給6000円の仕事の現場 今日から日雇い労働者になった
死ぬ気で過労死するまで死ぬ気で働いたとしても、残念ながら労働者として働く以上は、豊かになれる可能性はほとんど皆無でしょう。死ぬ気で働いたからと言って、自分の今の職業が単純労働に近ければ近いほど、大した技能が身に付かないからです。大した技能が身に付かなければ、労働者としての価値が非常に低い状況になり、給料面で交渉しても交渉が難しくなってしまいます。
従来は専門職とされてきた大学の教授などまで、非常に厳しい状態に置かれるようになってきています。専門職であったとしても、非常に高度な専門職であったり、必要とされる専門職でない限りは、少しぐらい専門性があったところで必要とされません。
『一生懸命に働けば、豊かになれる』というどこかで聞いた事がある言葉ですけど、本当でしょうか?1ヶ月に収入の1割を貯金しなさいと言って、懸命に働いて20万円の人がいくら貯金したところで2万円で、年間24万円です。そのうちに体はボロボロになって病気にでもなれば、この24万円というお金はすぐになくなってしまうでしょう。
頑張って労働する事によって、年をとってむしろ貧しくなるという結果を生み出します。簡単に言ってしまえば、いくら貧しくなっても、派遣労働者、アルバイトみたいな職業を続けてはいけないのです。
アメリカのサブプライムローンの問題を見ても分かる通り、金融機関にとって最大の融資先というのは、住宅ローンです。しかし、日本で住宅が余りに余っていて、住む人がいない住宅が全国に溢れています。こうした状況では、普通に考えて新規物件を建てたところで売れないのですが、
空室だらけになっているにもかかわらず、国は金融緩和を続けるという。そして、不動産を多くの人が保有して、『働かないで飯を食う』という事を目指そうとする。誰も働く労働意欲がない状況になって、労働ではなくて、お金を転がして何とかしようとしはじめたら危険信号です。
競争が激しい分野で中国に負けていき、東芝の得意としてきた医療機器をキャノンに売却して、東芝に残ったのは、負債を垂れ流す原発事業と、好調とされている半導体事業だけでした。東芝で稼げるのは、既に半導体事業だけで、その利益は全て原発の損失に消えていくような悲惨な状況になっています。
東芝のように数千億円の損失を抱え込んで、負債が1兆円を超えて返せる見込みのない企業(事実上の債務超過)になってしまうと、東芝の半分以上の社員がリストラになることは間違いないでしょう。しかも、退職金もなくなるという厳しい状況になってしまいます。
日本を代表する企業とされているソフトバンクが負債まみれになっています。結局、自社を伸ばす事に時間がかかるので、他者をどんどん買収しようとした結果、会社が経営危機なのではないかと言われるほどに負債が膨張しています。30%を保有しているアリババの株価があるから、ソフトバンクが潰れないと言われているようなもので、アリババの株に依存した企業になっています。
堅実にやってきたはずのユニクロは、勝負の時と考えたのか負債を急増させています。ただ、現金及び現金同等物も4000億円ほどあって、このぐらいの負債であれば、ユニクロの経営には影響ない水準とみられています。ただ、気になるのは、最近のユニクロは効果的なマーケティングができていないのではないか?という点です。C ChannelのFacebook登録ユーザーが450万人のところをみると、ユニクロの100万人は何をやってるんだろうと思う訳です。
日本人は勤勉と言われていたのは、過去の話です。勤勉だと信じて疑わないのは自分たちばかりで、実際には働くインセンティブがほとんどないので一生懸命に働いているふりばかりで、真面目に働いている人は少数派です。