楽天グループの負債総額が1兆円を超えて、過去最大の借金経営に経営者が。ソフトバンクグループの借金も15兆円を超えている状況で、こちらの借金も1企業として日本最大規模に膨れ上がっています。
楽天、ソフトバンクに共通するのは、自社の成長を模索して借金で投資・買収を繰り返しているという事です。
サービス向上が利益にならない
日本では、2015年頃から人口減少に転じているので、サービスを充実させても収益に繋がらないという構造的な問題が起こっています。インターネットの人口も頭打ちで、企業がお金をかけてサービスの質を高めても、利益がそれだけ伸びていかないという問題が起こってきます。
例えば、ユーザー課金で『ようやく黒字化』したニコニコ動画は、借金をして画質を向上させる事は可能だったかもしれませんが、それでは収益が完全に吹き飛びます。ユーチューブという競争相手に対抗しながらサービスの質を高めていたのでは、永久に黒字化できない状況になってしまうのです。
経済縮小によるマイナス金利
先進各国のマイナス金利というのは、そもそも経済が成長していない事を意味しています。預金してマイナスになるという事は、借金をして投資を行ったとしても、リターンがマイナスになるという事でもあります。このような状況において、誰もが投資を怖がるようになって、企業に内部留保が貯まっていく事になります。
日銀・FRBは、投資を積極化させようとして、大規模な金融緩和を行い、株価を釣り上げていきました。企業が利益をいくら投資しても容易に成長できない状況になっているので、楽天グループ・ソフトバンクグループなどの企業は、グループを成長させる為に借金で企業買収を繰り返していく事になります。
資本の最大活用
Facebookは、2007年から2012年頃まで広告が少なかったのですが、2012年頃から収益化の段階に入って広告を大量投入しました。現在、フェイスブックが直面している問題は、ユーザーの満足度低下によるユーザー離れです。フェイスブックは、友達と繋がるツールであったはずが、いつの間にか企業と繋がるツールになってしまってユーザーが離れてしまったのです。
フェイスブックは、このような状況を受けて2018年からバイラルメディアの表示を落とすなどの対応(Little Thingsがアクセス急落)を行って、ユーザー満足度を高めようとしています。フェイスブックに限らず、広告だらけになったサイトでは、ユーザー離れが起こります。
消費者がお金を使わない問題
アメリカの南北戦争の時代は、北が工業化が進んでいたので、奴隷より自由労働者を望んでいました。現在、日本において派遣社員・アルバイトなどが低賃金労働者として奴隷並みの待遇で働かされる状況となっています。労働者は不足していますが、そのほとんどが奴隷労働に従事する低賃金労働者となっています。
世界の各地で格差が拡大する中で、奴隷労働を脱却する為には、収益を得る資産を自己保有する事が求められるようになってきます。
安価な労働力のサービス競争
企業が顧客にサービス充実する事が求められる時代になり、安価な奴隷労働力を使ったサービス競争が過熱しています。郵送を担う運送屋を安くこき使ったアマゾンの『即日配達』であったり、派遣労働者を安く使ったコールセンターなどの存在です。
企業は、お金がかかるシステムを刷新するより、安価になっている労働力を酷使してサービス拡充を行った方がコストをかけずに利益を出す事ができます。これを利用したのがインターネットのライティング事業です。DeNAがWelqなどでアルバイトを使って悪質な記事を量産して『パクリ記事の量産』が問題になりました。もともとインターネットのシステムの会社が安価な労働力で利益を出そうとした結果、起こった事でした。
運送会社に依存した状況では、これ以上の顧客サービス拡充が難しいと判断しているアマゾン、楽天などのインターネットモール企業は、今度は運送業それ自体に乗りだそうとしています。運送業を自社が担う事で顧客サービスを拡充しながら利益率を高められる可能性があります。
企業を売却する側の思惑
企業を売却する側は、将来の成長分のプレミアムを付けて高値で売り抜けようとします。更に日系企業のマネジメントを嫌がる優秀な人材が退職するという事も起こってきます。
楽天などは、買収したグループでシナジーを生み出そうと、サービスの連結などに熱心です。特に楽天ポイント配布などは競争力を高める上で成功していますが、それが利益を圧迫する要因ともなっています。