現在、日本においても学生・派遣社員・アルバイトであったとしても、クレジットカードを作る事は簡単です。申請さえすれば、クレジットカードのヒストリーがなくても、最初に10万円~20万円ぐらいで審査を通過する事ができるでしょう。それから1年ぐらい利用・返済実績を作れば、普通のカードなら段階的に利用限度額が引きあがって、すぐに利用限度額は、50万ぐらいになります。
学生ローンに苦しむ人々
日本では、大学に行く為に50%の人が奨学金と呼ばれる高額ローンを借りていて、社会人になってから毎月数万円という高額の返済を強いられます。大学の高額ローンを抱えていると、失業すると返済できなくなるので、会社にしがみつくしかなくなります。結果として、人生の選択肢は狭められ、大学を出ても借金返済の人生に苦しめられる事になります。
大学というのは、人生であまり役に立たない事を教えるにも関わらず、これだけ学費が高い事には驚きます。背景にあるのは、大学側のビジネスと、お金を貸す側が労働者になる若年層にお金を貸しだしたいという強い思惑があります。
ミニマムペイメント
アメリカでは、クレジットカードをどんどん使うのが習慣化しており、多くの人がクレジットカードで消費を行います。そして、支払いを『ミニマムペイメント』という毎月の一定額しか返済しない方法で返す事にするので、返済総額がどんどん積み上がっていきます。このミニマムペイメント方式では、カード返済額が少額で済むので、多重債務の温床になると指摘されています。
ミニマムペイメント方式では、借入残高がなかなか減らないようになっているので、永久に返済が終わらない『銀行の奴隷』のような状況に陥ってしまいます。下手をすれば、元本以上の金額を銀行に返済しなくてはいけない状況になってしまうでしょう。
低所得者とクレジットカード
労働者階級の崩壊とクレジットカード利用の急増は、無縁ではありません。低所得に苦しむ人たちが毎月のクレジットカードを使って生活費に充てて、その結果としてジワジワと生活が苦しくなって、10年~20年をかけて経済破綻に追い込まれる例が頻発しているのです。
借金の総額が10万~30万円程度では、普通に働いて返すことも可能ですが、100万円を超えてくると返済が大変になります。300万円ともなると、金利だけで年間45万円にもなり、低所得者が普通に働いていても返済が苦しくなります。
ギャンブルの危険性
低所得者であったとしても、生活を質素にしていれば、クレジットカードで多重債務に陥るほどの借金地獄になる事もないでしょう。多重債務者の多くは、クレジットカードのキャッシングを行って、競輪・競馬・パチンコなどのギャンブルを行っています。ギャンブルは、依存性があるので、ギャンブルする事は非常に危険です。
高金利のクレジットカードを使ってギャンブルを行う事は、借金の金利で負けて、ギャンブルで負けるという二重の負けを作ることになります。ギャンブルで作った借金を返済する事は、生活費で作った借金を返済するよりも、更に返済が難しい状況になってしまいます。
資産からの収益性が低い
世界の先進国で低金利政策となっているので、資産から収益を得づらくなっています。貯金をしていたとしても、金利は僅かしか付か無い上、引き出しなどの手数料は高額です。資産を保有していたとしても、それを活用して儲けるのが難しくなってきているのです。90年代頃からは、日本でも企業が金融で儲けるスタイルを取るようになってきました。具体的には、あらかじめベンチャー企業などの未上場株に仕込みを入れて、上場利益を狙うようなやり方です。
金融市場で自由化が進んで、一般人が金融市場で銘柄を購入する事も出来るようになりました。しかしながら、サラリーマンなどの庶民が投資を考えるとなると、上場された後の銘柄など、『もう値上がりして値上がり益が限定された(良くて2~10倍ほと)銘柄』しか購入できないので、リスクが大きい割には、対して利益が得られないという状況に陥ります。
楽天・ソフトバンクも借金漬け
日本が少子高齢化で経済成長しない中において、楽天・ソフトバンクなどの新興企業も借金漬けになってしまっています。インターネットで一発当てたとしても、1つの事業だけでは不安定で、次の成長分野を探しきれていない実態が浮かび上がります。日本の新興企業の多くは、成長分野を探す事に非常に苦労しており、その中で楽天・ソフトバンクが借金漬けになっています。
特にソフトバンクの場合には、有利子負債が10兆円を超えていて、バランスシートの巨大化が懸念事項となっています。楽天・ソフトバンクともに上場企業として信頼があり、有利な条件で銀行から融資を引き出す事ができます。そのお金を利用して、企業買収を行うなどして、企業規模を拡大してきました。しかし、実際の企業収益を伸ばせなければ、このお金を返済する事はできません。
株価大暴落でソフトバンクヤバい
ソフトバンクの多くの資産は、その連結された子会社による株式です。特にアリババ株の価値は、数兆円ともされていて、それを担保に銀行からお金を借り入れて、企業買収を行っています。しかし、この株式市場が大暴落するという事は、担保にする株式の価値が大幅に下落する事を意味しているので、お金を貸している銀行は、借金の返済を迫る可能性があります。そうなるとソフトバンクは、危機的状況になります。
ソフトバンクは、孫社長のボーダフォン再生に基づく成功体験、アリババ株を購入した成功体験などから、次々と大型の企業買収を重ねました。その結果として積み上がったソフトバンクの負債は、孫社長が死ぬまでに返済できないだろうと言われるほど膨大な金額になっています。この結果、ソフトバンクの社債というのは、孫社長が人気の日本だけで人気の商品となっています。
バランスシートの巨大化
金融市場が発達した事により、企業がバランスシートを巨大化させて、日銀までもバランスシートを巨大化させています。バランスシートをいくら巨大化させたところで、企業が利益を上げなければ、返済の見通しが立ちいません。それと同じように日銀がバランスシートを巨大化させて間接的に政府を救済したとしても、政府の税収が上がらなければ、借金を返済する事はできません。
巨大企業の経営者たちは、バランスシートを巨大化させる事で企業の利益が上がったように見せかけようとしました。借金をして利益が上がっている企業を買えば、確かに企業の売り上げ・利益ともにかさ上げされます。しかし、その後に企業の成長がなければ、その企業買収の為に借金した金額を支払う事ですら大変になってしまいます。
利益が出ない経済のジレンマ
企業がバランスシートを拡大させるのは、先進国・特に日本において『企業が消費者から利益を得る事が難しい』という状況に陥っているからです。人口、労働者の賃金が変化しない中において、企業が労働者に提供するサービスから利益を得るのが非常に難しい状況になってきています。例えば、牛丼チェーン店などは、ワンオペで200円牛丼を提供しており、これ以上の経営努力が難しいところまできています。
このような状況で、企業は投資の値上がり益によって利益を出そうとしました。しかし、住宅価格などを釣り上げるには、需要が必要です。そこで考え出されたのが『サブプライムローン』の仕組みです。金利を低く設定する事によって、低所得者層でも住宅が持てると触れ込んだのです。これにより低所得者が借金する事が可能になり、『新しい住宅需要』による不動産価格が跳ね上がりました。
日本のクレジットカード規制
日本では、以前にグレーゾーン金利が淘汰された2010年以降に大手銀行などがクレジットカード貸出業務を強化してきました。誰でも簡単にクレジットカードが作れて、『リボ払い』を行う事が盛んに宣伝されました。多くの主婦などがクレジットカードで借金する事で消費を行ってきましたが、それは多くの多重債務者を生み出す事に繋がっていきました。
このように高利のクレジットカードで消費した借金と言うのは、いずれ返済しなくてはいけないので、将来的に消費を冷え込ませる効果を持っています。ボーナスがそのまま借金返済に消えて、個人消費が大きく落ち込むのです。お金で物を購入すれば、お金がグルグル回りますが、クレジットカードの返済に直接的に回ったのでは、市中のお金の流れも悪くなります。
経済成長期の借金
さだまさしさんの借金35億円は有名ですね。