多くの会社の営業職などは、高卒・大卒問わずに『ある程度の常識』があれば、ほとんど誰でもできる仕事ばかりです。多くの企業の採用条件というのは、頭が良い事とか、クリエイティブな事ではありません。単に言われた事をきちんとやるとか、言う事をハイハイ聞くとか言う事が重要になります。
そういう単純作業は、今ではグローバル化で中国の労働力に置き換えられ、単純作業がコンピューターの自動化に置き換わっています。単なる兵力は、外国に外注したり、コンピューターに置き換えた方が安上がりという事になります。
コンビニのマニュアル
コンビニのチェーン店の店長も、実際には半年ぐらいの研修を積めば誰でも出来る仕事になっています。実際に脱サラしてコンビニの経営者になって、苦労ばかりで後悔している人は沢山います。本部と加盟店が平等であるというのは建前で、本当のところは加盟チェーン店が『逃げ出すことができない弱い立場』に置かれています。
コンビニのアルバイトを探すのも大変です。それは、コンビニのアルバイトをやっても『見に付くものが何もない』からです。基本的にコンビニチェーン店のアルバイトというのは、履歴書に書いてもほとんど評価の対象にはなりません。コンビニのアルバイトは、他にやる仕事がない人が来るような場合が多い場所になっています。
手順書を作るクリエイティブ時代
日本は、アメリカの方式をコピーして経済成長した側面もあり、それは外資を導入して急成長した現在の中国が同じように急成長を遂げています。豊富な労働力がある中で、外国の技術力を導入しながら、自分たちの技術力を高めていくというスタイルです。しかし、こうしたスタイルは、世界がフラット化していく中で壁にぶち当たる事になります。
日本においては、三菱重工などが新しい産業を作りだす事ができず、今頃になって巨大客船で大失敗して、航空機MRJもほぼ失敗が確定しています。産業自体が高度化しており、簡単にクリエイティブなものを作りだせなくなっているのです。
大学を卒業しても能力が低い
大学までに10年も英語を勉強しているのに、日本人のほとんどが英語をまともに扱えません。更に社会で絶対に必要となるであろうIT系の基礎的な知識もほとんどの人が保有しておらず、おまけに金融知識を教える授業もありません。大学の教授をやっている人でさえ、英語がまともに話せなかったり、ITの基礎的な知識に欠けています。
集団の能力としては、中国などの人口大国に勝てる訳もないので、個人の能力値が高くないと1人1人が生き残っていけません。しかし、現実的に個人の能力は高くなる教育スタイルが行われておらず、トップ大学以外の能力値が非常に低い状況になっています。
40歳ぐらいまでは何とかなる
日本で35歳までが転職の限界点と言われるのは、35歳ぐらいまでは競争力がゼロでも若さだけで転職できるからです。かなり人材の競争力が低い状態でも、40歳ぐらいまでは『頑張ります』と言えば何とかなる状態です。しかし、それ以上の年齢になると、何が出来るかが真剣に問われてくるので、15年以上も同じ作業を行って学び直していなかったりすると、かなり厳しい状況に追い込まれる事は間違いないでしょう。
実際、シャープで『40歳以上の社員は必要ない』と言われていますし、三越・伊勢丹も45歳以上の社員の首きりを行っています。1つの企業に勤務する事は、出来る事を増やす事ではないので、単に給与所得者として給与所得が増えないと、厳しい状況になっていく事は間違いありません。
消耗品としての若い労働者
競争が激しい女子アナの世界では、30代を過ぎると、人気があった女子アナはフリーアナウンサーとして独立します。人気がそれほどでもなかった女子アナは、30代になると人気が落ちるのでアナウンサールームに行くだけの日々になったりします。それと同じ事は、会社員が40代になって昇進していなければ起こりうる事です。
若いうちは、技能が低くても消耗品として戦力になりますが、女子アナが30歳を過ぎると賞味期限切れで実力勝負になってきます。しかし、それまで消耗品として活用されてきた人材は、まともに実力勝負が出来ません。営業・販売にあたってきた人に技術職を求めても無理ですし、少なくとも20代・30代前半ぐらいまでに技能レベルを一定に高めておく必要があるという事です。
先進国の労働者が貧困化
日本の労働者は、例えば新卒採用などを見れば分かる通り、若くて安い労働力を期待されている場合が多いです。そのように『若くて安い労働力』を期待されて入社すると、ほとんど成長しないで単純労働者になってしまう可能性があります。日頃から勉強をしないで、誰でも出来るような単純作業・単純労働を行っていると、将来的に自分の仕事がなくなってしまう可能性があるでしょう。
単純作業をしている時には、一応ながら収入が確保できるので良いのですが、仕事を失うと次の職業がなくなるという事態が発生してしまいます。アメリカでは、ラストベルト(五大湖周辺の自動車産業がさびついた地帯)の労働者が工場がメキシコに移転して失業して大変な事になっています。工場労働者が以前と同じような作業で同じ給料(中間層の給料)を貰えるというのは幻想でしかなく、中国・メキシコなどと同等の賃金しか受け取れない現実がそこにはあります。
変化できる人材が生き残る
変化すると言うのは簡単ですが、実行する事は簡単な事ではありません。AKB48のアイドルになってテレビに出演したりできても、引退後につまずく人は多いです。テレビであったり、ラジオなどの大型チャンエルを利用しないと、活躍できないと思っている人が多いカラです。実際には、事務所に所属しないでユーチューバーとしてタレントより多く稼いでいる個人も大勢います。
変化する為には、前からフォロワーを集めておくなど、仕込み・準備を行って必要があります。そうした事がないと、事務所に仕事任せになってしまって、結局は大した仕事が来ないという事になります。最近では、フォロワーが多い、少ないという事に期待して仕事を振るケースも多いからです。新しいものに手を付けるのは簡単で、ツィッターアカウント、フェイスブックのページは3分で作れる。でも、それを大きく伸ばしていくには、それなりの苦労が必要です。
反グローバリゼーション化
アメリカでは、70年代から工場の海外移転が加速して、特に90年代から中国に多くの工場が移転しました。アメリカで中産階級を成していた工場労働者の多くが給与水準を下げたり、失業したりしました。1900年代に巨大都市として栄えたデトロイトの中心街(ダウンタウン)は、今では廃墟となって治安が悪化している事は有名です。
影響で、工場労働者などの層がドナルド・トランプを支持したともされています。トランプ氏は、アメリカに富を引き戻すとして、反グローバリゼーションのような話をしました。しかし、現実的にそんなことが不可能なことは誰もが分かっていた事です。グローバル企業は、安い場所で生産を行わないと、製品の価格が高くなってしまうので競争で負けてしまうからです。衰退していたピッツバーグは、最近になって金融・研究開発などで復興しています。
必要となる研究・開発分野
日本における教育スタイルは、従来とほとんど変化しておらず、個性を尊重しない集団主義の教育になっています。そして、新卒一括採用に見られるように、個人の専門性を重視して採用するようなスタイルではありません。20代のうちに人材を単純労働で殺してしまっているのと同じです。かつての高齢者たちは、若手の人材を『搾取の対象』と捉えているのです。また、日本において大学に入学しなおして学び直せないという問題点もあります。
今、20代のうちに単純作業を行っていると、40代・50代になっても単純作業しか行えない競争力のない人材しか仕上がりません。そうなってくると、年齢的に再教育も難しくなるので、生活保護に一直線になってしまいます。労働者の学歴で立ち向かうならば、大卒だけでは不十分であり、最低でも修士課程のレベルが必要で、更に2つの修士ぐらい持ってないと競争力がありません。