個人が借金して不動産を保有する意味というのは、その不動産を担保にしてさらに金を買い入れる可能性があるという事でしょう。個人のバランスシートが大きくなればなるほど、個人が労働から解放される時間が大きくなります。バランスシートを拡大する事で、なるべく労働しない生活スタイルを確立していく事が重要になります。
どんなにお金に困っていたとしても、お金がなかったとしても、それでも5万円でも10万円でもいいので貯金して、それを投資に回していく必要があるでしょう。もし投資活動を全く行わなければ、自分の労働力だけに頼って生きていく事になり、今の日本で、グローバル化している世界においてもそれは全く現実的な事ではありません。
低金利で借金を重ねる
極端な話を言えば、低金利の日本で1兆円の借金を行って、米ドルに投資するという極めて単純(It's simple but it's not easy)な投資であったとしても、スワップ金利から得られる収益が、日本で借金した金利より大きければ収益になるという事になります。簡単な話、日本で借金して米国債をどんどん買えば、その収益で暮らせるかもしれないという事です。米国債が大暴落しても、借金の支払いさえできれいればOKという事です。
ソフトバンクが15兆円を上回る負債を抱えてなお健在なのは、低金利であるので利払いの支払いが低く抑えられているという事があるでしょう。それでもソフトバンクの利払いだけで年間で約5000億円にも達しており、国内企業の利払いの2割で銀行から見ても「もはや運命共同体」ともいえる状況です。これで金利が上昇局面になってくると、ソフトバンクがかなり苦しくなる可能性があります。ソフトバンクは、海外の会社を買収することで国際化を急いだり、10兆円もの巨大ファンドを設定したり、ソフトバンク社を上場させる事でリスク分散を行おうとしています。
投資銀行と化したソフトバンク
ソフトバンクは、もはや投資銀行業務を行う会社になっており、事業会社と呼べる状態ではなくなっています。孫さんの頭の中は、投資業務の事で頭がいっぱいでしょう。特にソフトバンクが2013年にスプリントを買収した後から利払いが大きくなり、その失敗を取り返すためにソフトバンクは、さらにバランスシートを拡大していく事になります。バランスシートの拡大は、損失を小さく見せるのに役立ちます。
ソフトバンクがこれだけ巨大な借金ができるのは、中国で最大級のインターネット企業であるアリババ株という担保が存在しているからです。ソフトバンクは、『アリババ株の大株主』という事で、それが全ての事業を支えているという側面を持っています。中国企業の成長にここまで上手に乗れた企業は他になく、アリババ株を担保にすれば、世界中のほとんどの個別企業を買収できてしまうのです。
ソフトバンクのバランスシート拡大
ソフトバンクは、アリババを担保に借金をする事もさすがに限界にきており、従来の手法でバランスシートがこれ以上は難しいという状況になりました。そこで、今度は新たに10兆円規模のソフトバンク・ビジョン・ファンドと称するファンドを形成して、それにサウジアラビアなどの出資を受ける形で、バランスシートの拡大に乗り出しました。ここまでくると、日本の銀行も支援しない訳にはいかず、日本の銀行もバックアップしている事でしょう。
ソフトバンクの誤算は、スプリントの有利子負債が4兆円に達しており、利払いだけで2000億円もあるのに、スプリントが思ったように収益を生み出さない事です。スプリントが収益を生み出さなければ、利払い分の負担2000億円をどこからか調達してこなければいけない事になります。利払い5000億円を毎年支払う事はどんな巨大企業にとっても簡単なことではなく、そのためソフトバンクは自社のバランスシートの拡大を急ぎました。自社を大きくすることで、利払いの負担割合を小さくする目的です。
結局、2018年にソフトバンクは、スプリントをTモバイルと合併する事で合意に至り、T-Mobile USの株式を27.2%保有、筆頭株主は41.7%を持つドイツテレコムで話がまとまり、スプリントが消滅する事になりました。
バランスシートを拡大で稼ぐ
手元に資金がなければ、ソフトバンクのように借金をして事業を行うしかありません。日本の場合には、ほとんどの資金を高齢者が握っていますので、若い層ほど将来の発展のために借金をせざる得ない状況になっています。その1例としては、奨学金と称する高額ローンの存在です。大学を卒業するために4年間で500万円もの高額ローン借金を行う人が50%にも達しています。借金を背負って社会人になってから返済を行うのは大変です。
先進国が労働賃金でキャッシュを生み出せなくなったので、今度は自身であったり、企業が保有するバランスシートの拡大によってキャッシュを生み出していこうとする試みが広がっています。グローバル企業1社のバランスシートは、既に小さな国家歳入を超えていて、国よりも企業(=少数株主)が影響力を持つ世界構造になってきています。こうしたグローバル企業の株式保有者は、世界の新しい王様とも言える状況を形成しています。
個人の投資は20代から始める
個人の投資は、20代から始めて勉強した方が良いでしょう。なるべく若いうちから始める事で、投資の失敗しても修正出来たり、長期投資で成功する事が出来たりと、大きなメリットがあります。少額の投資はメリットがないという事を言う人がいますが、リターン以上に投資を学習したり、興味を持ち始めるというメリットがあります。
労働者の労働賃金だけでは、とても豊かな生活する事はできなくなっていますので、労働者を含めて誰もがお金の勉強を怠る事はできない状況になってきています。20代から株式投資を開始して、30代から本格的にポートフォリオを構築できれば、50代、60代になる頃に個人であってもある程度の資産を築けるようになっているでしょう。
バブル世代の親たちの中には、労働者として稼げば何とかなると思い込んでいる人もいますが、労働者としていくら頑張っても賃金が上がる時代ではなくて、むしろ下がっていく可能性もあります。従来と考え方を変えて、20~30代から投資をおこなう事によって稼ぐ方法を模索していく必要があるでしょう。
収益性資産・Profitable Assetの保有
個人で行える収益性資産の保有というのは、とにかくキャッシュを生み出すものを長期で保有する事になります。少しずつキャッシュを生み出すものを長期で保有する事によって、自分の労働時間を少しずつ減少させていくというものです。キャッシュを生み出すものは、個人事業主であれば、自分の事業から生み出すキャッシュというのが最も堅実です。会社化して収益が上がっていれば売却する事も可能です。
自分の事業が特になくて、キャッシュを生み出すものを保有していないようであれば、自分で調達した資金(労働調達、借金での調達)をお金を生み出す収益性資産に投下します。
貯蓄ゼロ生体の増加
日本において、貯蓄ゼロ世帯が急増しています。貯蓄ゼロというのは、毎月のようにお金を使い果たしてしまって、手元にお金が残らない状態です。資産と呼べるものを全く持たない「完全なる無資産階級」と呼べるものであり、失業した時点で収入が失われると、自分の身の回りに売却できるものが何もないという状況を生み出します。
投資の時代は変えられない
労働者が軽視されて、お金が移動して歩く『投資の時代』は、もう簡単に変える事ができません。労働者は移動して歩くのは極めて難しい(言語の問題などもありますね)のですが、お金はグローバルに移動して、リターンが高い所に投下される傾向があるからです。このために日本で自分が労働した賃金が減少して、海外に投資して収益を得る必要が出てきました。
海外に資金を投資して収益を得る事は、個人でも可能になってきており、携帯のアプリから米ドルを購入する事も簡単にすることができます。個人でもインターネットを使って簡単に投資できるので、どんどん投資して自分の資産を増やすルートを広げていくのが良いでしょう。
投資の話が出来る友人を選ぶ
投資・経済分野について全く無知な友達を選ぶより、投資・経済について話が出来る友達を選んだ方がいいでしょう。もちろん、必修ではありませんけど、投資の話をしない人は確実に下流の労働者階級となっていきます。投資の話を積極的にすることで、自分の情報源を増やして、下流の労働者階級に落ちる事を防ぐことが大切になっていきます。