最近、コンビニであったり、ファミリーレストランに入っても、店員のやる気のなさというのがはっきりと表れている事が目につきます。言われた事をやっていればいいという事で、挨拶やらをしっかりしたりする事はするのですが、細かいところにやる気のなさが出てしまっているのです。アルバイトの間には、「アルバイトをしても、技能が身に付かない」という事が分かっているので、異常なまでにやる気がなくて、時間が過ぎるのを待っているという感じが見え隠れしてしまっているのです。
現状に対する諦めの蔓延
最低賃金が800円で1日8時間20日働いたとしても、12万8000円しか得ることができません。無理して1日10時間働いたとしても、16万円にしかできません。12-16万円という収入では、年収200万円を割り込んでくるので、生活するのに本当にギリギリの金額であり、とても余裕がある生活などできそうもありません。そうしたフリーターが、今では日本で数百万人にもなり、深刻な事に「中年フリーター」と呼ばれる35-54歳のフリーターも、270万人に及ぶという事です。
民間給与統計(国税庁2006)によれば、年収200万円以下の人が1000万人(23%)を超え、年収300万円以下だと全労働者の38.8%に当たるという事で、非常に深刻な事態になろうとしています。多くのフリーター・非正規労働者は、その日暮らしのような貧しい生活となっています。
貧乏であるからこそ暇がない
貧乏であればあるほど、低賃金労働者として長時間働かないといけないので、暇がないという悲惨な状況に陥ってしまいます。忙しく働いていないと安心できないので、忙しく働いたりしても、生活の水準が全く向上せずに将来が見えない状況になっている人が沢山いるのです。何らかの打開策を探そうとしても、とにかく時間がなく働いているので、何もできない状況に陥っているのです。
貧しい人にとって選択肢というのは決して多くはありません。一生懸命になって働いたところで生活の質を改善させる事が全く期待できない賃金ですし、働かないと生活できないという大変な状況に陥っています。所得が労働にのみ依存する状況で、賃金が低下するという事は、生活の質が上がる見込みがないという大変な状況に陥ってしまう事を意味しています。
貧困を打開していくのにどうするか
本来であれば、貧乏を打開する方法として、「正社員になって給与を上げる」という方法と「自営業者になって自分の道を開拓する」という選択肢がありますが、多くは正社員を望むのに対して正社員のポストが限定されていますし、自営業者になるという事も、時間がなくてお金もない低賃金労働者からすると簡単な事ではありません。つまり、打開策がなにもないままに時間をすごしてしまう人が大半なのです。
アルバイトをしながら副業として自営業を少しずつ始めて・・・という余裕があればそういった事も可能なのかもしれませんが、それには親が一定の期間は生活支援するなど、生活の支援が欠かせないでしょう。自営業者というのは、簡単に稼げるものではなくて、専業でしばらくやらないと、まともに稼げるようにはなりません。自営業として独立しようとする人は多いですが、完全に稼げる前に諦める人も多いという事実もあります。
ワーキングプアが企業を崩壊させる
日本における働いても豊かになれない「ワーキングプア」というのは、若者が特に多くて、更に中高年にも広がりを見せています。ワーキングプアの能力を最大限に発揮できないという事は、日本企業の競争力が全くなくなっていく事を意味しています。企業の中で正社員を減少させて、ワーキングプアのような奴隷層を増やしていくと、同じレベルのサービスを維持する事が厳しくなってしまうからです。例えば、ファストフード店などでは、理論上ではうまく動くはずなのに、現場におけるサービスの質が低下したりするなど、顧客に対するサービスが大幅に落ちてしまうのです。それを防ぐ為にスタバなどでは、契約社員を正社員化したぐらいです。
現場でトラブルが起こって顧客離れを招いたところには、すき家などがあります。すき家のアルバイトなどは、ほとんどやる気がなくて不衛生です。アルバイトの数も足りておらず、皿が現れずに放置された様子がインターネットの写真などで公開されて炎上しました。実際に顧客に触れる最も大事な現場において、アルバイトが1人で仕事を任されたりしても、時給900円で良い仕事ができるはずがないのです。こういったビジネスモデル自体が既に破綻していて、最前線に出るスタッフの賃金を高くしたり、保証を厚くしたりする必要性が出てきています。
こういった現場でのトラブルというのは、企業の正社員にも起こっている事です。賃金をジワジワカットして社員の福利厚生もカットすると、管理側が厳格に管理していると思いこんでも、社員がやる気がなくなっていきます。社員のやる気がサービスの質に直結して、顧客の満足度を大幅に下げる事になってしまいます。
賃金労働者というのは、やる気がない
そもそも、資本を何ら保有していない賃金労働者に対して、資本を保有している経営者と同じだけの「やる気」を求めるのは、絶対に無理があります。働いても、働いても暮らしが豊かになれないというのは、資本主義国家というよりは、社会主義国家に似ています。労働を行ったとしても最低限の暮らししかできないのであれば、その労働の実態は、社会主義国における「配給制度」と似たような状態であると言えるでしょう。
貧しい生活で現状を変化させられない
自分が何か学びたい事があったとしても、旅行に行きたかったとしても、貧しい生活の状況では、何もすることができません。時給が900円~1200円ぐらいの低い賃金であれば、長時間の労働を行わなければ、満足のいく給与を得ることができません。ある程度の収入(月に手取りで20万円以上)ぐらいはないと、本当に何もできない(旅行すら行くのが難しい)生活になってしまいます。子育てするのであれば、月額25-30万円が最低ラインです。日本では、子育てに国の援助が薄いので、子育てに凄くカネがかかります。
貧しい生活だと、遊びに行く事もできないので、恋人どころか友達と遊びに行くのも躊躇するようになってしまいます。私の友人などでフリーターの人などは、「お台場に遊びに行くのに交通費がかかるから」という事で、お台場に行ったことがないという事で驚いた事があります。交通費を考えて生活するようになっていたら、本当に余裕がないんだろうなと思います。
貧しい生活で健康を損なう可能性
日本において、年収200万円という貧しい生活を過ごしていると、健康を損なう可能性が出てきます。それは、低所得者ほど肉や野菜の摂取量が少ないとされているからです。カップラーメンであったり、コンビニのパンなどで過ごしていると、体が抵抗力を失って健康を損なう恐れが出てきます。将来的には、食生活によって癌になりやすくなったり、高齢者になって病気になる可能性が増すことが明らかになっています。
健康に気を遣えるというのは、それだけで余裕がある証拠なのかもしれません。自分の食べるものが気にならなくなったりするという事は、それだけ余裕がなくなっている証拠です。
増え続ける社会保障費
現在の国が支払う社会保障費は、年間1兆円ペースで増え続けていますが、これから更に増える事が予想されています。フリーターなどが高齢者になると、国民年金が満額で僅か6万円しか貰えないという事が発生します。それでは生活できませんので、フリーターが高齢者になった時には、生活保護で補う事になってしまって、国からの支出が更に増える事になってしまうのです。つまり、日本の社会保障というのは、今よりも更に増加して、国が支える事がほぼ不可能になる可能性が高まっています。
社会保険などのセーフティネットからもこぼれ落ちると、最後に頼れるセーフティネットは生活保護しかない。生活保護受給者は7月時点で216万人と過去最多を更新していますが、これから更に増える見込みなのです。国から生活保護の受給者だらけになると、国の財政は更に悪化して、どうしようもない状況になってしまいます。そうなる前に、若いうちから最低賃金を上昇させるなどして、貯蓄をさせておいたり、子供を作らせたりするなどの対策を行っておく必要があるのです。