日本の給与水準というのは、ジワジワ下がってきている事は誰もが実感している事だと思いますが、今後の見通しというのは更に悲観すべき現実があると考えられます。それは、日本が少子高齢化で衰退に向かうという事が最大の要因であり、たとえ今から移民を受け入れたとしても、社会の根本的な問題を解決するのには、長い時間がかかるという事でもあります。
日本は、今まで国内外に資産を蓄えてきましたが、それは日本の人口ボーナスがあっての事でした。日本人は、1億2千万人という世界でも大きな人口を持っており、島国が統一した教育システムを持つことを強みとして、高い教育水準などで安定した生産を行う事を可能にしてきました。しかし、日本が少子高齢化していくなかで、その優位性が失われつつあります。中国では大卒者が大量にいて、道路などのインフラ整備も進んで工場も進出しやすくなっています。
労働者が安い労働力とみなされる
資本家と労働者という関係が崩れ去っていて、労働者となった人の大半が安い賃金で労働する事になるという形になってきています。この要因としては、パソコンの能力が飛躍的に向上した事によって、ほとんどの作業がパソコンで行えるようになったという事があるでしょう。典型的な例は、塾に行かなくても学習が可能となっている「オンライン学習」です。高いお金をかけなくても、月額1000円ほどで学べるオンライン学習が盛んになってきています。
従来であれば、特に地方の学生などは、塾に行くのが大変でした。今では、オンラインで全国の学生が塾に行かなくても学ぶ事が出来るようになっています。予備校なども同じで、自宅でオンラインで浪人する事も出来るようになってきているので、予備校にわざわざ通う必要がなくなってきているのです。
高学歴者の就職難
高学歴者が就職できない事も増えてきています。いかに高学歴であったとしても、それが企業の生産にどれほど関与できるかという事は、企業側にとって未知数であるからです。企業側は、なるべくお金を生み出す生産者を必要としており、それが高学歴であるかどうかは関係ないと考えるようになっている訳です。なるべくお金を生み出す生産者というのは、やはり実務経験が豊富にある人という事が出来るでしょう。
日本では、ある企業で実務経験が豊富で技術に長けた人材というものが多いですが、それは1社だけの経験であれば、特殊過ぎて転職しづらいという状況も起こってきています。例えば、半導体の工場で働いてたとして、その工場が移転した場合には、地元で就職を探すのが難しいといった事が起こっています。
労働者のプライドがズタズタにされる
大学を卒業して20万ぐらいの賃金で会社に入っても、それから賃金ががあまり上がらず、35歳ぐらいで昇進しないと、会社の隅の方に寄せられて、40歳ぐらいで首を切られるという事が現実化してきています。
学者は、まるで「予備校講師」のように人気を出して生徒を呼び込めるようにならないと、単に教えるだけではお金にならなくなってきています。大学教員は、教えたり、研究したりするだけではなくて、実際にビジネスとして学生を取り込めるような『知名度』を持つことを求められるようになってきています。大学の先生も、今までなかった仕事が増えてきたり、給料を減らされるなどプレッシャーにさらされています。
自分で耕せる畑を持つことが大事
インターネットの書き込みなどを見ても、40代から就職するというのは、非常に困難であると書かれています。転職サイトの多くの求人が39歳までであり、40代からの求人は一気に減るのです。しかしながら、年金支給年齢の65歳まで働く人は増えており、40歳から20年以上も働く事になるのです。それを考えると、40代以上になってからは、20代・30代以上に相当の努力をしないと厳しい状況になるという事が容易に予想できます。
40代になってから「就職を探そう」としても、300社受けて面接にたどり着けないなどという事も多くなってしまっています。会社にとって使えるスキルなどがなければ、安い給料で今までの職歴と全く関係のない介護職などをやらないといけなくなったりする人も多いです。
時代の変化に乗る事が重要になる
今の時代には、パソコンを使いこなす事は当たり前で、多くの人がスマートフォンなどから情報を得る時代になっています。こうした時代には、IT産業などに従事している人の方が高給を得られる可能性が高くなるでしょう。多くの人が利用するサービスであるIT産業は、給料水準が高くなりますが、それだけ求められるスキルなども高いものが要求されるようになってきています。常に学び続けないと、すぐに技術の陳腐化を起こしてしまう事になるでしょう。
常に時代の最先端を探求していかないと、淘汰されるという事です。例えば、歯医者だって過剰にある訳で患者の方の知識レベルも上がってきているので、5年前と同じサービスを展開していたのでは淘汰されてしまいます。また、ビデオクリエーターの業界などは、カメラの質が良くなっているので、小型のビデオカメラで4Kレベルの動画が撮影できるようになってきており、良いカメラを購入して丁寧に撮影ができれば、テレビ局並みの画質でインターネット上に流す事ができるようになっています。
最新のものを取り入れる必要がある
最近、フェイスブック上に動画をアップロードするのが流行っています。問題になっちているのは、YOUTUBEに動画をアップロードすると、Adsenseでマネタイズできるにも関わらず、フェイスブック上にアップロードしても1円のお金にもならないという事です。それでもフェイスブックで動画を見る人が多ければ、フェイスブックにも動画をアップロードしていく必要があるでしょう。マネタイズをどこでするかは、後から考えれば良い事で、とにかく人々の目につく場所にコンテンツを置いておくことが最近では大事だとされています。
税を取られるけど福利厚生を得られない社会
日本では、消費税が8%など税金がかなり高いにも関わらず、高齢者が多いので若者の福利厚生がほとんどないという状況になっています。つまり、若者にとってみて、日本に住んでいるという事は、税金は取られるけれども、それに見合っただけの福利厚生が得られていないという事でもあります。それでも20代・30代は肉体労働で何とか持ちこたえられるかもしれませんが、40代以降になってくると、負担が大きいのに何も保証がないような状況で大変な状況になります。