全ての会社員がフリーランス(自由業)になる時代
アメリカでは、4人に1人がフリーランス(自営業)の形態で働いている(フリーランスは約5,300万人、アメリカの人口の34%;Freelancing in America: A National Survey of the New Workforceより)のに対して、日本では40人に1人しかフリーランス(自営業)の形態で働いている人が存在しないとされています。日本では、新卒一括採用が定着しており、企業が人を育てて年功序列で給与が上昇していくというシステムが今でも残っていたりします。
日本でも、今後はアメリカのようにフリーランスで働く人材が増加していくものと考えられています。会社のレールに乗って自分を向上させるという事が日本の多くの企業においても限界となっており、自分の能力を自分で伸ばしたり、自分で仕事を開拓したりする事が求められるようになってきているからです。
固定費を削減できるフリーランス
企業の側からすると、フリーランスという雇用形態は、固定費を削減する事ができる非常にメリットが高い雇用形態でもあります。フリーランスと言えば、悪く言ってしまえばホワイトカラーの期間工みたいなもので、プロジェクトの必要な期間だけ、必要な人材を外部から確保しようという流れです。ただ、期間工と違うのは、特殊な最先端の技能を持った人が求められる場合が多いという事です。
フリーランスは、派遣会社などを通さずに人脈による「紹介」で仕事を回される事が多いです。その理由としては、仕事の内容が特殊な場合が多くて、信用できる人材に任せたいという場合が多いからです。例えば、会社の機密を扱う部分があったり、有名人などに絡んだ仕事があったりするという事があります。紹介という場合には、履歴書すら不要になって、すぐに仕事を始める場合も多いです。
チームの一員としてのフリーランス
フリーランスは、あるプロジェクトに突然にチームの一員として入り込む事になる場合があり、かなりの適応能力が求められる場合があります。チームのメンバー同士が知り合いであるにも関わらず、自分だけ誰も知らないという状態でチームに入り込んだのでは、仕事に支障をきたす場合も数多くあります。1人で仕事をしている身ながら、いかにチームと交わるかという事が大変に重要になることがあります。
その一方で、全くチームを形成することはなくて、1人で自宅で行える作業を受注しているフリーランスも沢山います。そういった場合には、自分のペースで作業を進めていくことになります。また、フリーのプロデューサーのようにチームの人材をバイトなり自分で外から集めてきて、チーム全体を指揮していくような立場のフリーランスというのもあります。いずれにしても、仕事をプロジェクト単位での受注する事が多くなります。
個人を売り込むフリーランス
フリーランスは、個人のセルフブランディングや人脈などが重要になると言われる事があり、これは確かに個人がフリーランスを行っていく上で重要な事です。はあちゅう氏のように電通などの経歴を活かしながら、個人ブランディングを成功させて、書籍などの出版をしながら人間関係を構築する方法というのがあるでしょう。また、イケダハヤト氏のようにブログを活用してセルフブランディングしていくという方法もあります。
セルフブランディングで生活を成り立たせている個人(成り立たせていなければブランディングは失敗)を見ると、多くの人は非常に有能である事がわかります。例えば、はあちゅう氏のブログなどを見ても、遅刻などを絶対にしないと書いてあったり、ビジネスマナーに敏感であるなど、人間関係に気を使っている姿が見て取れます。会社員であれば会社の立場を代表して人に会う事になりますが、フリーランスというのは、相手と対等な立場の人間として会う事になるので、人間関係に真剣さが求められるという事でしょう。
個人のセルフブランディングの注意点
個人のセルフブランディングの注意点としては、会社員よりも更に社会の変化に敏感に対応できるようにしなくてはいけないという点があるでしょう。言い換えれば、常に自分を変化させて、注目される話題を提供し続けないといけないという事です。同じ話題ばかりだと、いずれ注目していた人も飽きてきてしまいます。いつまでも同じような話題の中心に居たのではダメで、新しい事にチャレンジしていかないといけないという事になるでしょう。
今まで交流していた人と別の人に接点を持ってみたり、今まで自分が話さなかった話題などを提供していく必要が出てきます。勝間和代さんなどは、そういったことに敏感になっており、自分の趣味の分野などで書籍を出版するなど、常に新しい事にチャレンジして生き残りをはかるという姿を見て取れます。また、良いか悪いかは別として、イケダハヤト氏が高知に移住というのもひとつの環境変化として考えられるでしょう(これは私はマイナスに作用すると考えていますけど)。
今まで行ってきた仕事をずっと引き受けるのではなくて、自分を向上させる為に新しい仕事を積極的に始めて、多くの新しい人と付き合いを持っていくという姿勢が重要になってくるでしょう。そうすれば、新しいチャンスで仕事を増やせる機会がめぐってくる可能性が強くなります。
法人化させる為のフリーランスアプローチ
はあちゅう氏やイケダハヤト氏のような形で個人の名前でセルフブランディングでフリーランスをするという方法もありますが、最初から法人化をさせようとしてフリーランス形態をとる人もいます。その場合には、特定のサービスやメディアを自分1人で作り込んで法人化を目指す事などをするので、セルフブランディングというよりは、どちらかと言えば自分の作るサービスをメインに動くフリーランスという事になります。
例えば、ブログを匿名で書いて法人化したり(2ちゃんねるのまとめサイトなどに多い)、NAVERまとめをフリーランスで作って稼ぐような人たちは、それほどセルフブランディングを意識しているとは思いません(NAVER運営側としてはアカウントのブランディングを意識させたいと思っていた感じもありますが、匿名なんでそんなうまくいってませんね)。法人化するのであれば、個人よりもコンテンツなど保有資産に重点を置いていく必要があるという事になると思います。
フリーランスの種類
フリーランスの種類とと言っても様々な形態がある事が想像できます。以下のアメリカの例だと、上から多い順に並んでいるのですが、派遣労働者(Temporary Worker)というのが日本の派遣労働者と違うのかどうかというのは議論になりそうです。良く考えれば、日本の派遣社員というのも、フリーランスで派遣されていると考える事もできます。
・Independent Contractor(独立契約者)
・Moonlighter(本業を終えてから副業)
・Diversified Worker(複数の収入源を持つ)
・Temporary Worker(派遣労働者かバイト)
・ Freelance Business Owners(フリーの事業主、オーナー)